ホントに天使のコスプレだ
ピリポがカヤを案内したのは、キャンパスの片隅に建っている小さな教会だった。
「こんなところに教会があるんですね」
「まあね。一般の人には見えないけど」
ピリポがしれっとそんなことを言う。
「はい?」
「本郷帝都大学は国立の大学だから、構内に教会があると問題になる。だから見えないようにしているんだ」
「………」
教会の扉を開くと、真っ先に目に飛び込んできたのは正面のステンドグラスだった。
外からの光を受けて、幻想的に輝いている。
その下に祭壇があり、ノーエルが立っていた。
入り口から祭壇の前までは赤いカーペットがまっすぐ敷かれており、その左右には木製ベンチが列状に並んでいる。
ピリポはカヤをエスコートするようにカーペットの上を進んでいった。
「おめでとう。今日から君は私たちの仲間だ」
と、祭壇の上からノーエルが言った。
「ありがとうございます」
「では、早速だが、業務に必要な道具を」
とノーエルが言って、合図をした。
それをきっかけに天井から小さな天使たちがそれぞれの手に道具を持って舞い降りてくる。
ノーエルが一つずつ受け取り、説明しながらカヤに渡す。
「まずは耐熱耐寒耐攻撃性強化服。高温や低温、さらに外敵からの攻撃等に耐えられる機能を備える。装着は瞬時に行えるように改良してある」
と渡されたのは手のひらサイズの円盤だった。
「天使のコスチュームだね。この円盤を鎖骨と鎖骨の間に押し当ててボタンを押したらシュルルルって感じで首から下の全身が白いコスチュームでおおわれるよ。服の上からでも大丈夫」
とピリポが横で解説を加える。
「次に羽根だ。胸部から背面にかけて装着することで保持性を強化している。羽根の開閉は意思との連動による」
「前にも言ったようにブラタイプの羽根。開けと思えば開くし、閉じろと思えば閉じる」
「続けて、心理波自動照射機。人間の心の偏りを調整するための自立・共感・反省の心理波を照射する。照射方向は視線と連動する」
「例のリモコン。狙った相手に向けてボタンを押せば命中。弓矢は言ったように素人の君には扱いが難しいから」
「………」
「最後に無線機。本部および協力者たちとの連絡に用いる」
と渡されたのは白く光る輪っかだ。
「頭の上に浮かぶタイプの無線機。これで僕たちと会話ができる。……で、これ全部着けたら可愛い天使のできあがりってわけ!」
「ありがとうございます」
とカヤは両手にのせられた道具に目をやる。
ホントに天使のコスプレだ。
でも、これを私が受け取っていいものだろうか……。




