退屈しのぎで来られちゃ、こっちが迷惑だな
「デビーちゃんなら説明できるんじゃないかしら?」
「あた棒だ」
また、出た。なんの棒?
デビーはカヤに向かって、指をたてる。
「シャカのことは、カヤカヤも知っているよな?」
「お釈迦様ですか。はい、知っています」
「そのシャカの次にブッダになるのがミロクだ」
「……はあ」
シャカの次にブッダ? シャカとブッダは違うの?
戸惑うカヤをよそに、デビーはそれで説明が終わったとばかりにまたラーメンをすすっている。
ミロクも気にすることなく、料理に箸をつけていた。
「でさ。私、悟りはほぼほぼ開いてるじゃない」
「ま、そうだろうな」
「でも、ブッダになれるのってさ、五十六億七千万年後なわけよ」
「らしいな」
「だから基本ヒマなの」
「それで天使に?」
「そういうこと」
「退屈しのぎで来られちゃ、こっちが迷惑だな」
「あら。自信ないのかな、悪魔さんは」
「なぜ、おれが悪魔だと?」
「尻尾、見えてるよ」
「あ、しまった!」
カヤはふと、学食の隅に目をやった。
そこにはがっしりとした身体つきのあの青年ががひとりで食事をしている。やはり本を読んでいた。
(あの人はどういう人なんだろう……?)
悪魔がいて、弥勒菩薩まで出てきたけど、雰囲気からしてきっとあの人はマトモな人に違いない。
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「……やっぱりこうなったか」
と黒板に張り出された一次試験通過者の名前を見てデビーがつぶやいた。
そこには四名の名前が書かれていた。
「近藤トキオ」
「空野カヤ」
「デビー」
「ミロク」
他の受験者たちはすでに立ち去った後だった。
教室には通過した四人だけがいる。
「あなたがトキオ君ね。よろしく」
とミロクがあのがっしりした身体つきの青年に言う。
「私たち三人はもう互いに挨拶は済ませたのよ」
「あ、そうなんですか。初めまして。近藤トキオです」
とトキオは一人ひとりに礼儀正しくお辞儀をする。
(良かった。やっぱりこの人はマトモだ)
とカヤがそう思った瞬間、デビーが言った。
「お前、人間じゃないな」
(え?)
「霊だよね」とミロク。
(はい?)
「そうなんです」とトキオ。
「ええ〜?」
とカヤが驚きの声をあげる。
トキオが頭を掻きながら話す。
「僕、ずっと地縛霊だったんですけど、この前ピリポさんに声をかけられて」
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「ヘイ! そこの地縛霊くん、時間ある?」
「はあ、時間ならたっぷり……」
「君、天使のアルバイトしてみない? 動けるようになるよ」
「あ、それならぜひ!」
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