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何も知らない  作者: 梅子


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あの路地

 電車でもそわそわする。早くマップ見たい。でも何か、周りが気になって、電車では見られない…

 家に帰って、さっそく見る。でも、路地が曲がれない。マップ上の矢印を押すと、強い流れに呑まれるように、大通りに、ぐんっと、進んでしまう。角度を変えて、また、矢印を押す。でも、曲がれない。何度も何度もやってみる。でも、できない。悔しいけど、分かる。そうか、この道は、車が入れないのかもしれない。マップに登録されていない道なんだ。


 あの路地…車さえ入れない路地…

 気になっているうちに、梅雨が来た。傘を差しながら、いつもあの路地を覗く。竹藪が見える。青い竹藪が雨を弾きつつ、ぼんやりと霧の中に押し留められている。

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