帰宅部部長
転校生。すごくかっこいいってわけじゃない。でも、話し方が好き。下を向いて笑うところが好き。祐介って名前も好きだ。
でも、前の学校のことも、家も、家族のことも、私、まだ何も知らない。
学ランの色が違う。よく見るとボタンも違う。前の学校のをそのまま着てるんだろう。間に合わなかったのかな。でも、よく見ないと分からない。遠目には、同じ黒だ。
彼は帰宅部だ。帰宅部部長だと思う。私の好きな冗談に彼のイメージは、ぴったりだった。帰宅部部長。この冗談を彼にも伝えたかった。
私は、祐介くんを…祐介部長を、少しつけてみることにした。すごくドキドキした。でも、駅まで、そうだ、最寄り駅までなら、いいかな…と、思った。言い訳もできる。駅に用があるって言える。もし…もし、見つかって、何してるの?と聞かれても…
うちの中学は、電車通学の人が多い。だから、祐介部長も当然、そうだと思い込んでいた。しかし、駅に続く、車通りの多い道を、彼は、曲がって、路地に入っていった。
えっ?ここ?ここは、ばれるよ!
祐介くんの黒い背中は、どんどん小さくなる。私は、このまま行こうか、と思った。けれど、私の制服はあまりに目立つし、つけていることがばれたら、私は、彼を怖がらせると思った。だから、後でマップで見てみよう。と思った。彼の家を探してみようと。




