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量産兵のボクにチートなアドバイザー(オレ)がつきました  作者: 星野林


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死体漁り

(それで……この三日月の盾ってどのへんが強いの?)


《オレ》に聞いてみると、ゲームだとダメージ60%カット、身につけていると魔法の威力向上の効果が付くとのこと。


 欠点はそこそこ重いことだけど、まぁそれは仕方がないよね。


 〈ゲームだと中盤の終わり頃に出てくる結構良い装備だ。いやぁ〜掘り出し物だったな〉


(それは良かった)


 買い物を終えたボクはエレンとミラに購入した服を渡してあげる。


「ありがとうございます!」


「いやいや、どういたしまして……さて、じゃぁ読み書きの勉強を続けようか」


「「はい!」」


 今日も勉強を続けるのだった。






 エレンとミラが基地に来てから2週間が経過したある日、基地にお偉いさんが来るとのことで、基地全体がピリピリしていた。


 そして少しした後に、基地の中央で処刑が行われて、砦攻略に失敗したこと、不用意に犠牲者を多く出したとかの理由で基地長含めた基地の幹部4人がそのお偉いさんの手により殺されて、亡骸が広場で晒されていた。


(あんまり気分のいいものじゃないね……)


 〈それよりも、今回着任したお偉いさんが再び砦を攻めることになる。多分今回はお偉いさん単独で砦攻略されるだろうから攻め込む準備と……晒されているお偉いさん達の身体の一部を貰い受けるぞ〉


(ええ、死体漁りをしろってこと……)


 〈いや、人間を魔族にする魔法の触媒に使えるし、もしかしたら魔石が残っているかもしれないからな〉


(魔石……換金するの?)


 〈いや、上位者の魔石を身体に取り込むことでパワーアップすることが可能なんだ。新しい魔法を覚えることができたり……成長とは違った強くなるための処置だ。知っている奴は少ないんじゃないか? 〉


《オレ》にそう言われて、皆が寝静まった夜……警備していた魔族には賄賂を渡して見逃してもらい、処刑された魔族の角や尻尾、手とかをナイフや腕の力で折ったりしながら、回収していく。


「おやおや、死体漁りをする兵がいるとは……関心しませんねぇ……」


 いつの間にかボクの目の前に青髪の悪魔が立っていた。


 警戒するが、《オレ》が気にせずに回収を続けろっていう。


(誰なの?)


 〈お偉いさんに引っ付いてきた魔王軍中核の上位兵のだ。名前は確か……〉


「ボクはバーン、理由あって処刑された人達の亡骸を魔法の触媒に使わせてもらおうと思ってる」


 〈おい、こら! 〉


(多分話した方が良いよ。ボクよりも明らかに強いし……)


「ふむ……魔法」


「人間を魔族に変える魔法の触媒に魔族の肉体の一部が必要なんだ。触媒の質が良ければよいほど強い魔族に生まれ変わる」


「ふむ……なるほど……確かにそういう魔法があることは存じていますが」


「あと魔石の回収です。これはボクや仲間が強くなるために……終わったら残った肉体は火葬しようかと」


「ふむ……ただの死体漁りというわけではなく、自身が強くなるため、魔王軍の為に死体でも利用するという魂胆ですか……ふむ、実に素晴らしい」


 パチパチとその男が拍手をする。


「いや、なに……私も似たようなものですよ。うちの上司は処罰と言って自身が強くなるために彼らを処刑したのですよ。ソウルイート……魂食い……魂を吸収することで成長する魔法をうちの上司はよく使いましてね。敵である人間でやれば良いのに、仲間である魔族ばかりに使う」


 正直辟易してますよ……と悪魔の男は言う。


「ただ強くなるという1点においては実に魔族らしい方ですよ。それに比べたら死体漁りくらいは見逃しましょう。私も供養しに来ただけですからね」


「ありがとうございます」


 ボクは直ぐに胸を切り裂いて、心臓の横にある魔石を取り出す。


 そして治癒魔法で傷口を塞ぐ。


 死体なので治りは悪いけど、魔石を抜き取った跡くらいは綺麗に消し去ることができる。


「ほぉ~治癒魔法を」


「人間の教会にあった魔道書を解読して自力で覚えました」


「ふむふむ……素晴らしいですね」


 最後に亡骸を纏めて炎で燃やす。


 高温で一気に燃やすので骨が少し残る程度だろう。


「興味を持ちました。私の名前はクルック。女狐(お偉いさん)の側近をしております」


「サキー小隊副官のバーンです」


「小隊……君が小隊の副官ですか……」


「はい!」


「覚えておきましょう。それでは良い夜を」


 その瞬間クルックさんは闇に紛れて消えていき、ボクの目の前から居なくなった。


 〈あっぶねぇ……理解ある奴で良かった……〉


(流石に目立ち過ぎたね。骨の一部も回収するんだよね?)


 〈ああ、それも触媒として使えるからな〉


《オレ》の指示に従って燃え残った骨も回収し、自分のテントに戻るのだった。






「そんな危ないことをしてきたの!」


「ああ、でもやった甲斐はあったよ」


 翌日、スクエニーに心配されたけど、ボクは4つの魔石を取り出す。


「これを食べるんだ」


「普通の魔石よりも大きいね」


 普通の魔石が小指の爪くらいの大きさとすると、今回の魔石は人差し指くらいの大きさがある。


「食べるの大変かもしれないけど……食べれば強くなれる」


「……バーンが言うなら僕は食べるよ」


「俺もたべます!」


「わ、私も」


 エレンとミラも食べると言ってくれて、魔石を渡すと、一気に飲み込んだ。


「「「「んん!」」」」


 ドクン……


 心臓が大きく高鳴ったのがわかる。


 そして体の奥から力が沸き起こった。


「ふう……うん。力がみなぎる」


 肉体的には変わったところはないけど、強くなったという実感はある。


「おお!」


 エレンは手に力を入れると緑色のどろっとした液体を溢れ出し、ミラは光の矢を出現させていた。


 そして、スクエニーも指先に黒い球体を作り出す。


「新しい魔法を覚えることができたみたい」


「それは良かった」


 〈お前が覚えたのは身体強化の魔法だな。更に近接戦闘が強くなったな〉


(それは良かった……この魔法って他の人にも教えられるの?)


 〈適性があればな。ここの面子だと……エレンなら覚えられるんじゃないか? 〉


(じゃぁ今度教えることにするよ)


 〈あと身体強化を使って筋トレすると、より効率よく魔法も身体も鍛えることができるからオススメだぞ〉


(良いこと聞いた……やっぱりリスク負っただけのことはあるね!)


 こうしてボクらは少し強くなることに成功するのだった。






 エレンやミラ、スクエニーが新しく覚えた魔法が何かボクらはその日を使って確認をしていった。


 エレンが覚えた魔法は回復薬の生成で、魔力を使うことでボクも研究所時代に飲んで悶絶していたあの苦い回復薬を生み出すことができる魔法だ。


 治癒では治しきれない病気とかにも効果があるし瓶詰めにしておけば保存できる。


 それに商人に売れるというのも大きい。


 瓶を買ってきて、回復薬入れて、それを商人に渡す。


 数渡す必要はあるけど差額だけで結構な食材と衣服分くらいの価値にはなる。


 魔法の感覚を掴む意味でもエレンには練習でやらせたほうがいいな。


 一方でミラは攻撃魔法である光の矢を覚えていた。


 空中に光の矢を出現させて、狙いを定め、そして放つと相手に目掛けて飛んでいく。


 盾とかで防がれることもあるが、魔法でできているし、ミラの実力が上がれば射程距離も同時に放てる本数も増えるので、結構便利な魔法だろう。


 最初のうちは狙って放つ感覚を覚える必要があるから基地の外で木を的に当てる練習からだろう。


 最後にスクエニーは黒い球体。


 ダークボールという魔法で、当たると強い衝撃をくらう。


 ボクでも盾で防がないと、衝撃で動けなくなるくらい威力があり、普通の人間に当てたら衝撃で体がぐちゃぐちゃになるんじゃないだろうか? 


《オレ》によると彼の死因であるトラックの衝突くらいの威力があると言っていた。


 トラックってなんだろうかっていういつもの疑問は置いておくが、皆結構強力だったり便利な魔法を覚え、エレンとミラは魔法を使うという感覚を掴むのを省略できたので、魔法を教えるのがやりやすくなるのだった。


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