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量産兵のボクにチートなアドバイザー(オレ)がつきました  作者: 星野林


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到達するべき目標

 基地長達が処刑された少し後、クルックさんが女狐って言っていたお偉いさんが基地で動ける人員を動員して、再び砦攻略に取り掛かった。


 前よりも少ない人数で、攻略は無理だとボクは思ったが、《オレ》から脱走とかそういうのは考えないほうがいいと言われていた。


 〈何なら今回は多分楽に勝てるぞ〉


《オレ》はそう言う。


 よくわかってないエレンとミラは置いておいて、スクエニーの顔色が優れないのでボクは《オレ》に聞いて、今回の砦攻略は前回よりも楽に攻略できる理由を説明する。


「〈第一に魔王軍直属の部隊のエリート兵が出てきたこと〉」


 聞けば女狐と言われているお偉いさんは魔王様より直接名前を授かっている人で、1人でここの基地全員で襲いかかっても勝てないくらい実力に差があるから、人間の軍でも僻地の砦に彼女を倒せるような兵は居ないだろうと言われた。


「〈第二に砦を奪うってよりは多分魔法で壊すだろう〉」


 防衛拠点を失った人間の軍の抵抗はほぼ無いに等しい。


「〈最後に人間側は前の損害の補充が追いついてないだろう〉」


 と教えてくれた。


 スクエニーはボクがそこまで考えていたんだ〜って感心されたけど、《オレ》に全部言ってもらって、ボクも聞きながらそうなんだ……って思ったくらいである。


 〈逆に砦攻略が終われば雪崩込む様に人間領への侵攻が待っているからね。多分サキー隊長なら無茶な作戦はしないと思うし、基地ができるまでは何処かの村でも間借りするんじゃないかね〉


(じゃあ今回の侵攻の際には家の荷物とかも全部持っていった方が良いかな?)


 〈そうだな……雑魚兵に荷物を持たせて、移動したほうがいいだろう〉


 隊長に一度確認してからだけどなって言われて、ボクはスクエニーやエレン、ミラの3人に荷物の整理と、いらなそうな物は纏めて商人に売却し、持ち歩きしやすい魔石とかへの交換をお願いするのだった。





「ふむふむ、確かに今回来た将軍様が全部片付けてくれる可能性は高いね」


 サキー隊長も今回来た女狐のお偉いさんこと将軍様が全部1人で片付けてしまう可能性が高いことを理解していた。


「それじゃあ私達がやるべきことは……そうだね……商人達の護衛を立候補しようか」


「商人達の護衛ですか?」


「うん」


 サキー隊長は武功が挙げられないのであれば、次の手を打つに限ると言って、砦が攻略されれば人間領への侵攻が始まる……その時に商人達が居つける場所を提供してあげれば、物質とかも集まりやすいし、奴隷を売買するのも楽になるからねって教えてくれた。


 先の先を読んで行動する……ここらへんはいつも《オレ》頼りになっちゃってるからボクも身につけていかないと……。


「補給部隊から荷車を借りてきて、テントも明日には解体しておきな。明日には出発になるだろうからね。ウルフにも伝えておいて」


「了解しました」


 隊長は大隊長に自分達は商人や補給部隊の護衛にはいることを伝えに行くのだった。




 翌日、テントを解体した後に部隊編成が始まり、多くの部隊が出発していった。


 数合わせで元商人で徴兵された補給兵や慰安部隊でサキュバスやインキュバスがいる部隊の護衛をボクらがすることに。


「いやぁ……デバス……いや、今はスクエニーだっけ! 強くなったわねぇ」


「本当本当、私らと一緒の才能無し組だと思ったんだけどな〜」


「そんなことないよ……僕は今でもあまり才能ないと思っているよ。名付けてくれたバーンが凄いの!」


 補給兵の皆さんにはデバス時代のスクエニーの知り合いも多いらしく、力は弱いけど頭が回る隊長が好きそうな人員が多かった。


 隊長も、


「補給部隊の人達と、私に充てがわれた新兵交換してくれないかな……」


 って呟いていて……。


 エレンとミラは初めての行軍に若干緊張していたけど、若い少年少女が好きなサキュバスとかインキュバス達が結構話しかけてもらっていた。


 インキュバス側がエレンの絶倫ぶりに、種族インキュバスじゃないって言っていたのが印象的だったり。


 ミラがサキュバスから性技の技術を聞いて顔を真っ赤にしていたり……。


 さてさて、途中で食事の時間。


 飯を作る部隊は別に居て、飯を貰いに行っても良いけど、ボクが作れるので、サキー隊はボクとエレン、ミラ、スクエニーの4人で料理を作っていく。


 石で窯を作って、そこの上に釜を置いて、ライススライムからお米を削り出してから釜で炊いていく。


 3人も教えたらご飯は炊ける様になっていて、十分戦力。


 後はウルフやモンキー、ポークの3人に協力してもらって、芋や肉を切ってもらい、鍋に食材ぶち込んで香辛料を入れて水を入れる。


 緑色のドロっとした液体になり、香ばしい香りが辺りに溢れる。


 〈エレンの回復薬を混ぜたグリーンカレー。香辛料混ぜてカレー擬きはできたんだけど、まさか回復薬を入れると、苦味が上手いこ中和されて味が引き締まるとは思わなかった〉


(《オレ》から料理を習っているけど、今回はボクのアイディアがよかったよね!)


 〈ああ、そうだな〉


 今日……と言うより行軍中食料の関係で、朝はパンとスープ、昼飯にグリーンカレー、夕食は炊いたご飯をおにぎりにして食べていた。


 で、このカレーという料理は大量に作ることができるし、回復薬が混ざっているので、疲れも回復してくれる。


 そして味も美味しいから補給部隊や慰安部隊の人達からも好評を頂いていた。


 毎日カレーを食べているけど、香辛料は魔王領で大量に作られているし、肉が腐らないようになるので重宝されていて、求めれば手に入れることができる。


(もっと早く知っていればよかったな……)


 まぁそんな感じで砦までの道中は特に問題もなく、他の部隊は人間の斥候と対峙して小さな戦闘が行われたりもしたらしいが、砦近くに陣を設営する動きをするのかと思っていると、上空に巨大な青い火球が現れ、それが隕石の様に砦に降り注いだ。


「戦闘準備! 戦闘準備!」


 伝令兵が戦闘に備えろと叫ぶが、降り注ぐ火球、既に砦跡地になってしまっている人間の砦。


 生き残っている人間を捕らえるだけの簡単な作業である。


 〈な、やることないって言ったろ〉


(これが……上位魔族の実力……)


 名前をもらって浮かれていたけど、なんだありゃ……。


 今のボクに勝てるわけない……。


 〈でも将来的にはあれを超えてもらわないと困る〉


(将軍様のあれを?)


 〈将軍って言ってるが、魔王軍の中央のエリート兵でしか無いからな〉


《オレ》が分かりやすく説明してくれたけど、レベルという数字にすると、ボクが50くらい、対して将軍様は100くらいあって、魔王様は250くらいらしい。


 将軍様でも魔王様からしたら雑魚兵でしかない。


 〈その差をどうにかするために《オレ》がいる。とりあえず第一次魔王軍が負けるまでには将軍様くらいまでは強くなるぞ〉


(本当にこんな強い人が魔王軍の中央には沢山居るのに魔王軍って負けるの?)


 〈魔王軍は負けない……魔王が負ける〉


(んん?)


 〈今は分からなくていい。さて隊長のところに行ってこい〉


(はーい)








 隊長のところに行くと、地図を広げられて、次の作戦が伝えられた。


「私らの部隊は近くの村や町から隔離されている集落が放った斥候によるとあるらしいから、そこを襲うことにするよ」


 〈お? 多分魔女とか魔法使いの集落だな……上手くいけば無血で取り込めるかもしれないぞ〉


(隊長に交渉役として向かった方が良いか聞いてみる?)


 〈スクエニーも連れていけば面白いことが起こるかもしれないぞ〉


 ボクは隊長に交渉役を一任してもらうと、その集落を攻め落とすために行動を開始するのだった。

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