火蓄戦隊ライフストッカーズ7
『火蓄戦隊ライフストッカーズ』7
・混戦
人類対ストックズ対ライフストッカーズの戦いが始まった。
氷河期突入まで残り十二日。人類は一部の人間達を隔離し、熱エネルギーを有効活用していた。
ライフストッカーズの一同は相変わらず路頭に迷っていた。そこにマスコミがやって来た。
「株式会社火蓄戦隊ライフストッカーズの方々ですよね!?お話をちょっと!」
押し寄せるマスコミを潜り抜け、一同は河川敷に来た。
「なーんも無くなっちまいましたね……」
「地位も名誉ももう意味が無いもんな」
「でも、俺、このままじゃいけないと思うンスよね」
「チュウ君」
「人類のカウントダウンまでまだ十二日まであるンスよ?それまでに和解策を見付けられると思いませんか?」
「それはまぁ、そうだが……」
「まぁまだ十二日あるんだ。それまでに、解決策を探そうじゃないか」
「そうッスね……」
一同は河川敷で石をポチャン、ポチャンと投げていた。
一方株式会社火蓄戦隊ライフストッカーズでは核シェルターに社員が避難していた。とことん自分達の事しか考えていない彼らに考えに、世間では非難の声が上がっていた。
「何故人類を救おうとしないんですか!?」
「一般市民はどうなったって良いって言うぬですか!?」
と責め立てられていた。会社の方は「人類救済計画は順調です」とだけ答え、以降黙秘を貫いていた。
はたまた一方でストックズ一同は活火山の噴火の最終段階に入っていた。経過は順調。後は邪魔が入らないように辺りを警戒している様子だった。
ライフストッカーズはこれからどうしたら良いか分からず、焚は決心をした。
「会社に戻ろう」
一同は「えっ!?」と驚いた。
「何でだよ!?焚!戻ったら解剖されるんだぞ!?」
「炙。このままじゃ人類は滅んでしまう。だったら、そこを交渉材料に、人類を救う代わりに、安全なストックズの開発を出させるんだ」
「で、でも先輩……それを会社は聞き入れてくれるでしょうか……?」
「聞き入れるかどうかじゃない。やるんだよ」
「そんな……主任、気は確かですか?」
「そうッスよ!また俺達も家畜扱いされたらどうるンスか!?」
「その時は……腹を括るしかないな」
「腹って言うか、クビを括るの間違いでは?」
「ははっ。面白い事を言うね」
「笑ってる場合かよ。もっと真剣に考えろよ」
「真剣だよ。真剣だからこそ、提案しているんだ」
「……そうか。分かった。俺はその話に乗る」
「炙先輩?」
「コイツの言う事は、何処か説得力がある。俺は会社に戻る」
「……じゃあ私も」
「燃先輩?」
「この二人が言うなら、部下として着いていきます。貴方達はどう?」
「正直、怖いです……」
「ウオ……」
「でも、確かに現状を変えるには、俺達が行動を起こすべきだ。違うか?」
「……そうだな、ウオ。よし!俺もその話、乘るッス!」
「じゃあ戻ろう。会社に!」
一同は「応っ!」と答えて会社に戻った。
会社に戻ると警備員が呼び止めた。
「貴方達、ライフストッカーズですね?」
「そうです」
「今更何の御用ですか?」
「話し合いに来ました」
「……社長に通報します」
警備員は社長に通報した。ビルの中を案内され、社長室に辿り着いた。中に入ると、社長と武器を構えた部下達が待っていた。
「おいおい、物騒だな」
「君達が安易に来るとは思わなかったのでね。用心の為だ」
「何。別に戦争をしに来たんじゃありませんよ?話し合いをちょっとですね」
「ふぅん……?お前達、下がりなさい」
「宜しいのですか?」
「何かあったら緊急ボタンを推せ」
「……畏まりました」
そう言って部下は社長室を出ていった。
「で?話って何だね?」
「俺達は、ストックズと最後まで戦います」
「そうなのか?どういう風の吹き回しだね?」
「奴らと話をしてきました」
「何だと?そこでどんな話をした?」
焚達は旗り出した。来週末、氷河期を訪れさせると。そして自分達もストックズの一員である為、協力関係を結びたいと言ってきた事を。
それを聞いて社長は眉間に皺を寄せた。
「それで君達は何と答えた?」
「勿論、協力関係は結べないと答えました」
「その証拠は?」
「これです」
炙はボイスレコーダーを取り出して一部始終を流した。
「炙。お前いつの間に……?」
「たまたま持ってたんだ。パワハラ予防の為にな」
「……成程。君達の決意は分かった。この会社に戻ってき給え」
「ありがとうございます。しかし、条件があります」
「条件?何だね?」
「ストックズと我々を、保護して下さい」
「保護?君達はまだしも、ストックズも保護なのかね?」
「はい。彼らは意志を持った個の生命体です。プラネットエネルギーがあるなら、それを人類に分け与えて共存する事は可能じゃありませんか?」
「……成程ね……プラネットエネルギーを人類に分け与える、か……案外悪くない」
「じゃあこれは決定という事で宜しいですか?」
「いいや。まだ問題がある」
「何です?」
「人類にプラネットエネルギーを付加させるにはあまりにも時間が無さ過ぎる。後十二日でそれは不可能だ」
「じゃあ俺達が彼らを説得してきます」
「可能なのかね?」
「話が通じない訳ではありませんからね。説得してみます」
「奴らの居場所は分かるのか?」
「富士山です」
「富士山?」
「富士山の何処とまでは分かりませんが、少なくとも麓には拠点のいっこがあるようです」
「そうか。分かった。じゃあ早速向かってくれ」
一同は「はい」と答え、再び富士山に向かった。この時点で氷河期まで後十一日。富士山の周囲にはそれらしい人影は見当たらず、五人は登山した。頂上に着くと、マグマ溜まりの所にブータ、ウーシ、トリーがいる事に気が付いた。
「おーい!ブータ!ウーシ!トリー!」
三人は驚いて顔を上げた。そこでライフストッカーズを見て「何しに来たんですか?」とウーシは聞いた。「交渉だ」と焚が答えると、ウーシは神妙な面持ちで話を聞いた。「君達を保護する」。そう言うとブータもウーシもトリーも「信じられない」といった様子で五人を眺めた。しかし炙は「証拠としてコレがある」と言ってまたボイスレコーダーを取り出した。そのボイスを聞いて、ブータ達は少しホッとした様子だった。
これで万事解決。そう思った、しかしウーシは言う。
「これがパパ……社長の本心だという確証は?」
それはその場にいた全員を凍り付かせた。
「社長は本当に保護してくれるのですか?そのまままた搾取と解剖実験で切り刻むだけなのではないのですか?」
「それは……俺達にも言える事だ。確証は無い」
「じゃあ交渉は決裂ですね。今日のところはお引き取りを」
「……また来る」
「何度来ても気持ちは変わりませんよ」
「それでも、また来る」
それから九日が経った。毎日のように訪ねてくるライフストッカーズにウーシはもう疲れを見せていた。
「何です?会社員ってそんなに暇なんですか?」
「これが仕事だ」
「そうですか……で?今日はどんな交渉をしてくれるんですか?」
「これだ」
焚は麻袋に入った何かを出した。
「むー!むー!」
そこにはロープで手足を縛られ、口をガムテープで塞がられた社長がいた。
「これは?」
「この人のケジメを着けに来させた」
「どういう事です?」
「食べちゃってくれ」
「良いのですか?」
「あぁ。コイツを喰わせてやる代わりに、氷河期の時間をもう少しだけ遅らせてほしい」
「……成程。そういう事ですか。良いでしょう。しかしこれは貴方隊は我々と同じ立場になってしまった。それだけは忘れないで下さいね?」
「その十字架を背負う覚悟はある」
「そうですか。では食べますが、その前に最期の会話をパパ……社長としても良いですか?」
「構わない」
ウーシはガムテープを剥がした。
「ブハァッ!お、お前達、正気か!?本当に私をコイツ等に食べさせるつもりか!?」
「そうです。貴方が言ったんですよ?『生みの親の責任』だと」
「だからって、人を殺す事は無いだろう!」
「おや?おかしいですね。あんなに人間の命をストックズに食べさせておいて……!」
「貴様ぁ!」
「パパ……私と最期の話をしましょう」
「貴様っ……!」
「貴方は多くの罪を作って来た。その責任の取り方を、身をもって教えて差し上げますからね」
「何だと……!?ほ、本当に食べる気か!?生みの親の子の私を!?」
「正確には、私達を作ったのは開発部の人間で、貴方ではない」
「た、た、た……!助けてくれ!」
「今更命乞いですか?見苦しいですね」
「お前達の事はもう何も関与しない!約束する!人間も食べて良い!だから許してくれ!」
「そう同じ事を、我々は言ってきて殺されて食べられてきたんですよ?それに、人間を食べて良いと今仰いましたね?では貴方を食べます。何故なら、貴方も人間だからです」
「ヒッ……!」
「ブータ君」
「はいはいぶひ~!」
ウーシはブータを呼び、ブータは社長を食べた。断末魔を聞きながら、ライフストッカーズの五人は目を逸らした。
その後、ブータは腹が満腹になった事で機嫌を良くし「氷河期は先送りにするぶひ~!」と言って帰っていった。ウーシもまた「貴方達の覚悟は分かりました。前向きに人間との共生を検討して見ます。ですが作戦決行は先送りにする事はここに約束しましょう」と言ってその場を後にした。具体的にどれくらい先にするのか聞こうとするとウーシは「それはまた後程、会議をしてからご連絡致します。勿論、人類との共生も視野に入れつつですよ」と言って帰っていった。
ライフストッカーズの五人は「これで良かったんだよな?」と思いながら帰路に着いた。
「焚主任。これで良かったんですかね?」
「あぁ。これで良かったんだ。これで……」
「本当ッスか?」
「あの人は罪を犯した。その罪を償うのは、大人としての責任であり、上司の義務だ。そう。俺も君達の上司だ……この責任は、必ず取らなきゃな……」
「その時は、私達も一緒ですよ。焚先輩」
「そうだぞ。焚」
「皆……!」
「上司だけの責任じゃないです。少なくとも、少しでも関わった私達にも責任と義務があります。食べるとは何なのか、生きるとは何なのかを考えながら私達人間は生きていくしかないんです」
「……そうだな。それが人間の業ってものだよな……」
五人は自宅に帰った。




