火蓄戦隊ライフストッカーズ6
『火蓄戦隊ライフストッカーズ』6
・逃亡
組織から逃亡して早三日。彼らは変身せずに飢えを凌いでいた。最初は自分達の貯金から切り崩して食べ物を購入して食べていたが、次第にそれも出来なくなってきており、一種のホームレス生活を送る事となった。
炊き出しがある日はこれ幸いとがっつき、またホームレスの生活に戻るという日々を過ごしていた。
ある時チュウが「もう、いっそ捕まった方が良いんじゃないッスかね……?」と弱音を零した。しかしそれを他の四人は真っ向から否定。
「そんなの、死にに行く事と何ら変わらないだろ!」
「でも、ただ死ぬくらいなら、せめて多くの人達の為に役に立ちたいじゃないッスか!」
「駄目だ!それは社長の思うツボだ!」
「でも!このままじゃ……!」
「兎に角駄目だ!今は兎に角耐えるんだ!」
「……分かったッス……」
一方その頃、富士山頂上ではトリーが手当てを受け、完全復活を果たしていた。
「フッカ~ツ!」
「おめでとうぶひ~!」
「お疲れ様です。トリーさん」
「これでやっと人間達に復讐が~!って言いたいところだけど、もう雪雲が無いんだよね~……」
「それなら問題ありませんよ。もう活火山の調査は終わりました」
「そうなのかぶひ?」
「はい。うっしっし……これにて閉幕と致しましょう……ですがその前に、人間達にメッセージを送りましょうか」
「メッセージ?ぶひ?」
「トリー?」
「最後の時間くらい作ってあげたいじゃないですか。私達を作ってくれたパパとママの為に、最初で最後の親孝行ですよ」
「ぶひっひ~!良いじゃないかぶひ~!」
「トーットットットットットリー!」
ウーシは麓まで降り、そのまま株式会社火蓄戦隊ライフストッカーズに向かった。
「貴様!ウーシだな!?」
警備員はテーザー銃を構えた。
「おやおや。物騒ですね。まぁこっちも物騒な話を持ってきたんですけどね」
「何しに来た!?」
「パパ……社長に伝えてあげて下さい。来週末、氷河期が来ると」
「氷河期……?一体どういう事だ!?」
「確かに言いましたからね?では私はこれで……」
ウーシは走って人ごみに消えていった。
警備員は即座に社長に報告しに行った。「来週末、氷河期が来る」と。それを聞いて社長はすぐに火蓄する事にした。対要項エネルギー、地下熱、ありとあらゆる熱を溜め込み、自分達だけ生き残る道を選んだのだ。
一方でライフストッカーズの五人は路頭に迷っていた。そしてそこにウーシがやって来た。
「おやおや。ライフストッカーズの皆さんじゃないですか」
「ストックズ……!」
「おんやぁ?ちょっと見せて下さい?」
ウーシはヘロヘロになった五人の体を少し調べた。すると「私に着いてきて下さい」と言って富士山の麓までやって来た。そこにウーシはブータとトリーを呼んだ。
「ぶひっ!?ライフストッカーズ!?ぶひっ!?」
「何で呼んだのトリー!?逃げなきゃー!」
「まぁ待って下さい。ブータ君。彼らの臭いを嗅いでみて下さい」
「ぶひ……?臭い……?」
ブータは五人の臭いを嗅いだ。するとブータは驚いた。
「ぶひぃ!?これは驚いたぶひ!コイツ等、俺様達ストックズに成ってるぶひ!」
「お前達、分かるのか……!?」
「分かるぶひ!お前達、辛かったろう~!ぶひ~!」
「お前達に同情なんてされたくない……!」
「同じ穴の豚……じゃなかった。同じ穴の狢じゃないかぶひ!まぁ話くらいなら聞いてやっても良いぶひよ~?」
「俺達を許してくれるのか……?」
「許す訳無いだろ」
「えっ……?」
「話くらいなら聞いてやるって言っただけだ。図に乗るな。元人間」
「…………」
ブータは「ささ、こちらにどうぞ。ぶひ」と言われ、麓の小屋に誘った。一同は着いて行った。
「これで私達はイーブンな立場になりました。これからは一緒に暮らしていきませんか?」
「お前達と、一緒に暮らす……?」
「ぶひっ!?俺様はそこまで言ってないぶひ!」
「良いですから……で、どうでしょう?一緒に我々と暮らしませんか?」
「それは……」
「焚。コイツ等とは共生は出来ない。行くぞ」
「待って下さい。共生出来ないとはどういう意味ですか?」
「お前達には関係無い」
「そうですか……ではこちらの交渉材料として……」
ウーシは自分の腹を掻っ捌き、内臓を一部差し出した。
「これでどうですか?」
「これは……!?」
ライフストッカーズの五人は唾をゴクリと飲み込んだ。慌てるブータとトリー。しかしウーシは高速回復ですぐに傷は治った。
「た、食べて良いのか……?」
「勿論ですとも」
ライフストッカーズの五人はその肉を貪り喰った。そして久し振りの満足感に浸りながら、五人は幸せな気持ちになった。
「詳しく聞かせて頂けますかな?」
「……礼として教えてやろう」
「焚」
「先輩」
「良いんだ。炙。燃さん。彼らには真っ向から勝負したいんだ」
焚は語り出した。自分達はストックズの肉を食べないと生きていけない体になってしまった事。今は追われる身になっている事。会社が狂っている事。洗い浚い全部ぶちまけた。それを聞いてウーシは「成程……」と呟いた。
「それで我々とは共生出来ない、と……」
「そうだ。だからこれからは人間対ストックズの戦いじゃなくて、人間対ストックズ対俺達の戦いになるんだ」
「そうですか……ではこちらも最後の温情として、これだけは伝えておきますね?」
「何だ?」
「来週末、この星は氷河期に突入します」
ライフストッカーズの五人は「何だって!?」と驚いた。
「活火山ですよ。それらを一斉に噴火させて、分厚い雲でこの星を暗闇に包み込みます。それで太陽からの光を一切カットして氷河期の突入という事です」
「そんな事をしたら人間だけじゃなくて全ての生命が死んでしまう!」
「いいえ?違いますよ?生き残りますよ?植物と細菌。そして我々、毛皮を持った動物達はね」
「…………ッ!」
「でも良いでしょう?これで貴方方を襲う人間達から逃げられるんですから」
「……良くないわ!」
「燃さん……」
「燃先輩……」
「私達は、細胞はストックズでも、心は人間よ!私達は、最後まで人類の味方よ!」
「……そうですか。でも、もう予定は決まっております。お覚悟を……」
「その前にお前達を倒す」
五人は「火蓄チェンジ!フレイムストアー!」と叫んで変身しようとした時、ウーシが待ったを掛けた。
「おっとお待ちを。ここには幹部が三人いるんですよ?勝てるとお思いで?」
「そんなのやってみなくちゃ分からないだろ」
「炙。この前、ブータとトリーとの戦いを忘れたか?」
「……そうか。そうだな……腹が減るだけ、か……」
「分かってもらえて何より……では今日のところはお引き取りを」
「分かった」
ライフストッカーズの五人はその場を去っていった。
一方その頃、株式会社火蓄戦隊ライフストッカーズでは熱エネルギーの搾取で大忙しだった。自分達の保身の為の活動で……




