火蓄戦隊ライフストッカーズ3
『火蓄戦隊ライフストッカーズ』3
・屠殺
新年度になり、ウオとチュウが入社した。同時に開発部に加わり、研修を行う事になった。まず変身テスト、耐久テスト、武器の使用法等を学んだ。
ウオとチュウは「出動はまだか」と待っていた。早く戦いたいと願って。
一方、富士山山頂ではブータ、ウーシ、ウーオが作戦会議をしていた。
「ぶっひひ~!ウーシ!お前はどうやって人間を滅ぼすつもりだ~!?」
「私は火山の噴火で地球を暗闇に包む予定だ」
「おいおい~!それじゃあこの山も吹き飛んでしまうだろ~!?それはまだ困るぞ~!?」
「じゃあウーオ。君が指揮を執りなさい」
「僕が……?」
「そうだ。君がやるんだ」
「で、でも僕は……」
「やるんだ」
「やるんだぶひ~!」
「……分かったよ。こっちに来て?サーメ」
「やってやるぜ!」
「サーメ。人間達を削減してきて?」
「やってやるぜ!」
サーメは海に繰り出た。そこで船舶を狙い、沈没させていった。海に投げ出された人達を、サーメは食べていった。
通報を受け、ライフストッカーズは出動した。
現場では人々が失った家族に対して悲観の声を上げていた。それを見てウオとチュウは怒りを覚えた。怒りのまま「火蓄チェンジ!フレイムストアー!」と叫んでウオはライフイエローに、チュウはライフブラックに変身した。焚、炙、燃も変身して船で海に向かった。そこには今にも人を丸呑みにしようとしているサーメがいた。ライフピンクはヨウケイガンで遠隔射撃でそれを阻止した。
「イッテェな!」
「そこまでだ!ストックズ!」
「ここからはライフストッカーズ様が相手だ!」
「お、おい。君達。まずは話し合いを……」
ライフレッドの発言も虚しく、ライフイエローは海の中に、ライフブラックは空を飛んで攻撃した。最終的に陸に打ち上げ、五人はそれぞれの武器で戦った。サーメは攻撃を諸に喰らい、その場に跪いた。
「た、た、助けて……!」
その声にライフイエローとライフブラックは一瞬躊躇した。
「俺にも家族が居るんだ……!許してくれ……!」
しかしその声を無視してライフホワイトはヨウギュウアックスでサーメの首を一刀両断した。五人は変身を解き、すぐに会社の人間達に回収された。
帰社したウオとチュウは後悔していた。彼らも命ある存在だったのだと。それを悪戯に、ゲームのように殺そうとしていた事を。自分達はヤバい所に就職してしまったのではないかと思っていた。戦いの後は腹が減る。しかしさっき倒したストックズを食べる気にはなれなかった。だがこの空腹を抑える為には喰うしかない。いざ食べてみたら、それはそれは極上の味だった。この味を知ったら、他の料理が霞むような、それくらい凄い味に感じた。
「……チュウ。お前、どう思った?」
「ウオ……俺は、その……」
その瞬間、二人のストマックチェンジャーが光り出し、二人に電流が走った。
二人が目を覚ますと、そこは救護室だった。二人はゆっくり起き上がり、辺りを見渡した。そこには社長と焚、炙、燃がいた。
「しゃ、社長……?」
「目を覚ましたか」
「これは一体……?」
「君達の躊躇いを検知したからね。そのストマックチェンジャーには爆破機能が備わっている。妙な事を考えたら、次は無いからね?」
「ば、爆破……!?」
「そんな説明、聞いてません!」
「書いてあったはずだよ?契約書に。最後までキチンと読まなかった君達が悪い」
ウオとチュウは「そ、そんな……!」と項垂れた。
「じゃあ今日は疲れたろう?もう帰って良いよ」
そう言って社長は救護室を去っていった。
「……正直、悩んだだろ」
ウオとチュウは無言で頷いた。
「良いか?生き物を食べるってのはな、生き物を殺すって事なんだ。その覚悟が、今の世の中にどれだけ大切な事か、分かるか?」
二人は「はい」と答えた。
「一度ライフストッカーズになったからには任務を遂行するまで脱退を認められない。それでも戦えるか?」
「……正直、怖いです……」
「ウオ……」
「チュウ。お前はどうだ?」
「……俺も、怖かった。あんなに感情を持った、心を持った生き物を殺すなんて、俺には出来なかった……!」
「感情が無ければ殺しても良いのか?心が無ければ殺しても良いのか?」
「そ、それは……」
「人に限らず、全ての生き物は、誰かの命を奪って生きている。それを忘れてはいけないよ」
ウオとチュウは「……はい……!」と涙を浮かべて答えた。
一方で富士山山頂ではまたもブータとウーオとムッシが作戦会議をしていた。
「ぶひひ!ウーオ!お前の部下は役立たずだぶひ!」
「ご、ごめんよ……ブータ……」
「ムッシ!次はお前だぶひ!」
「……正直、嫌なんだけど……」
「何でだぁ?」
「人間とも和解の道があると、僕は思う……」
「それを人間達が今更認めると思うかぁ!?」
「そ、それは……」
「良いからやれ!人間を一人でも多く、俺様の所に連れて来い!」
「わ、分かったよ……クーワ」
「はいはい。只今」
「人間達をここに連れてきて?」
「はいはい。只今」
クーワは山を下りて人間達をかき集めていった。その通報を受け、ライフストッカーズは再出動した。
「はいはい。只今。はいはい。只今」
網で包まれた人間達は富士山頂上に向かって飛んでいった。それをライフピンクがヨウケイガンで網を破り、落ちてきた人々を五人がキャッチした。
「あらぁ?」
「そこまでだ!ストックズ!」
「何だぁ?お前達はぁ?」
「ライフレッド!」
「ライフホワイト!」
「ライフピンク!」
「ライフイエロー!」
「ライフブラック!」
「株式会社!火蓄戦隊ライフストッカーズ!見参!」
後ろで爆発が起こった。
「いざ出陣!」
縦横無人に飛び回るクーワに、ライフピンクとライフブラックは飛んで対応した。そして羽をもぎ取り、クーワを地面に落とした。羽をもぎ取られ、痛みにもがいているクーワを見てライフレッド、ライフイエロー、ライフブラックはまた躊躇いが出た。しかしホワイトが言った。
「今だ!五人の武器を合わせるんだ!」
そう言ってライフレッドを先頭に五人の武器を合体させ、巨大な剣を作った。
「ショクヨクトサツダイダイケン!これにて終幕!」
五人は「セイヤー!」と叫びながら巨剣を振り下ろし、クーワを縦に真っ直ぐ切った。デロリと中身を零したクーワは、息絶えた。
回収班はすぐに遺体を持ち帰り、ライフストッカーズも回収された。帰社すると、すぐにクーワを調理した物を出された。
焚は「頂きます」と手を合わせて言ってから食べ始めた。それを見て、ウオとチュウは頭に疑問符を浮かべた。
「あの、その『頂きます』って何なんですか?」
「え?学校で習わなかったの?」
「え、えぇ……」
「今の学校じゃ、グローバル化が何だのって事で言わせない家庭が増えてるらしいぞ」
「そうなのか。『頂きます』っていうのはね、食物への感謝の気持ちを表す言葉なんだ」
「食物への感謝……?」
「そう。勿論、それに携わった人達への感謝でもある。今ある自分の命は誰かの未来だったんだ。それを背負って生きていく為にも、この言葉を食べ物に投げ掛けてから俺は食べるようにしている」
「そう、ですか……」
「『頂きます』か……そうだよな。命を『頂いてる』んだもんな……」
ウオとチュウは顔を見合わせ「頂きます」と手を合わせて言ってから食べ始めた。それを見てか、炙と燃も手を合わせて「頂きます」と言って食べ始めた。
翌日から、五人は少し「生き物を殺して食べるとはどういう事か」を考えるようになり、日々、逃げ出したストックズ達の事を真剣に考えるようになった。




