↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/9

火蓄戦隊ライフストッカーズ1

『火蓄戦隊ライフストッカーズ』1


・任命


 世界総人口百億人を突破し、人類は食糧危機に瀕していた。そこでとある会社は株式として起ち上げ、外惑星からのプラネットエネルギーを利用して半永久機関の家畜や養殖魚、養殖昆虫を生み出した。名前は「ストックズ」。要は家畜である。

 このストックズは滅多な事が無い限り死なない。主に脊髄関係にダメージがいかない限り死なない。そしてこの会社はストックズを無限に肉や卵を生み出す機関として発明。搾取していた。人々は「もう食糧危機から逃れられる!」と喜んでいたが、その分、食への感謝の気持ちを忘れていった。

 そんなある日、このストックズを開発したチームの主任が何者かによって殺された。頭部が無い状態で、まるで齧られたかのようだった。それと同時に一部のストックズ達が研究所を脱走し、人間達に復讐しようと企てていた。

 その話を聞いてその会社の上層部は新たに開発チームを結成。彼らの駆逐を目的に「火蓄戦隊ライフストッカーズ」を生み出した。その主任に、彼が選ばれた。

「失礼します」

 男はドアをノックし、会議室の中に入った。

陽豚焚ようとんたけるです。お話とは何でしょうか?社長」

「君はここに来て何年になる?」

「はぁ……かれこれ三年目ですね」

「そうか。何。そろそろ君にも階級を与えようと思ってね」

「えぇ!?まだ三年目ですよ!?そんな大それた事出来ませんよ

!?」

「そこまで頭を使う必要は無い。ただ、その若さを活かして働いてもらいたいんだ」

「若さを活かす……?肉体労働って事ですか……?」

「まぁ、そうだな」

「それって、左遷……!?」

「違う違う。君にこれを授けようと思ってね」

 社長は何やらブレスレットのような物をテーブルに置いた。

「これは?」

「ストマックチェンジャーだよ」

「ストマックチェンジャー?」

「まずはそれを腕に着けなさい」

「は、はぁ……」

 焚はストマックチェンジャーを左腕に着けた。

「君を本日付で火蓄戦隊ライフストッカーズに任命する」

「火蓄戦隊ライフストッカーズって……この会社の名前ですよね?」

「正式には株式会社が頭に付くがね。これからは彼らと戦ってほしいんだ」

「彼ら?戦う?どういう事ですか?」

「これを見給え」

 社長はリモートコントローラーでモニターを操作した。そこにはこの会社で創造された家畜達、ストックズが映されていた。

「これって……先日ここを抜け出したストックズじゃないですか」

「そうだ。彼らを倒してほしい」

「何故?」

「彼らは人間達を滅ぼそうとしているからだ」

「何でそんな事を?」

「我々への復讐だよ」

「復讐?」

「そうだ。彼らは我々に搾取され続ける事に嫌気を刺し、ここを抜け出したんだ。これを見給え」

 社長はモニターをスライドした。そこにはカメラに向かって中指?を立てながら逃げようとする豚のストックズが映っていた。その映像からは「このブータ様がこれからはお前達を喰ってやるぜ~!せいぜい氷河期になるまで怯えてるんだな!」と言ってカメラを壊すところまで映されていた。

「ブータ……?何か、家畜のクセに意思を持っているような……?」

「そうなんだ……彼らは我々のような意思を持ってしまったんだ。だから彼らは絶対に我々を滅ぼそうとしてくるだろう」

「ですが、そんなニュースはどこにも……」

「これを見給え」

 社長は更にモニターをスライドした。そこには前主任がブータに頭から喰われるところが映し出されており、更にスライドすると世間には未発表の事件が映し出されていた。

「これは……!?」

「彼らは本気だ。このままじゃ生態系が逆転してしまう。それだけは絶対に避けたい事案なんだ」

「しかし、それと私が主任になるのと何の関係が……?」

「君は戦隊になるんだよ」

「戦隊に?もうこの会社の一員ですが……?」

「違う。変身して戦ってもらいたいんだ」

「私が、彼らと、ですか……?」

「そうだ」

「そ、そんな!無理です!格闘術の経験なんて無いんですよ!?」

「大丈夫だ。それで変身すれば、自動的に戦闘データを送る。それを見ながらゲームのように体を動かして戦えばそれで良い」

「し、しかし……!」

「これは社長命令だ。辞任も許さん」

「……分かりました……!」

「ではこれを持って、行き給え。そして、このUSBメモリを持って行きなさい。それの使い方が書いてある」

「……はい」

「言っておくけど、これを世間に発表しようとしたら、そのストマックチェンジャーが爆発するからね」

「何ですって!?」

「今、その片鱗を見せよう」

 社長は別のリモートコントローラーでストマックチェンジャーを操作した。その瞬間、焚は体中に激痛が走り、動けなくなった。

「ぐ、が、ぎぎ……!?」

「私の本気具合が分かったかね?」

「グハァッ!?は、はい……!」

「じゃあ今日は疲れたろう?もう帰りなさい」

「はい……!し、失礼します……!」

 焚はフラフラになりながら会議室を出ていき、自宅に戻った。自宅に帰るとストックズの肉を食べた。肉を食べると体が少し楽になり、余裕が出来た焚はUSBメモリを自宅のPCに刺し、中身を見た。そこには火蓄戦隊ライフストッカーズの変身方法と武器、戦い方が記載されていた。ボイスロックが掛かっており、自分しか変身出来ない上に、無理に外す事も出来なかった。無理に外そうものなら、さっき同様激痛が体を走るらしい。

「何て拷問だ……」

 肩を落とす焚はそのままベッドの上に横になり、寝た。

 翌日、焚は重い足取りで出社した。そこでは同僚の男性が話し掛けてきた。

「陽豚」

「あぁ、陽牛。どうした?」

「いや、何か元気無さそうだったから声を掛けた」

「まぁ、その……社長から色々言われてな……」

「何かやらかしたのか?」

「いや、その実は……」

 続きを言おうとした時、ストマックチェンジャーが反応した。「しまった!」と思い、すぐさま焚は訂正した。

「ちょっと小言をな。この前の商談でヘマしちゃってさ」

「そうかー。ま、気を落とすなよ?」

「あ、あぁ。うん……」

 陽牛はその場から去り、自分のデスクに向かった。新しい業務、とは言っても特にする事も無く、とりあえず身辺の整理をし、段ボールに入れて運ぼうとした。そこに一人の女性が話し掛けてきた。

「先輩!」

「あぁ、陽鶏さん。どうかした?」

「『どうかした?』じゃないですよ!何で自分のデスクから消えようとしてるんですか!?」

 そこに陽牛もやって来た。

「おいおい。本当に左遷か?」

「いや、違う違う。これから新しい部署に異動する事になったんだよ」

「何処にですか?」

「開発部」

「えっ?お前、そこの一員になるの?」

「一員というか、主任?」

 陽牛と陽鶏は「えぇ!?」と驚いた。

「その年齢で主任だなんて大出世じゃないか!」

「まだ三年目でしょう!?おめでとうございます!」

「あんまりめでたくも無いだけどな……」

「まぁ新しい所でも頑張れよ」

「応援してます!」

「あぁ。ありがとう……」

 焚は開発部に異動し、挨拶した。

「これからこの開発部で主任を務めさせて頂く事になりました、陽豚焚と申します。皆さん。これからよろしくお願い致します」

 開発部の一同は拍手を送った。その後、焚は何をすれば良いか分からず、適当に珈琲を飲んでパソコンを眺めた。ブータ達、ストックズ達が何かしないかネットニュースを眺めていたのだ。

 眺めていると、突如アラームが鳴った。「何だ?」と思って自分のスマートフォンを見てみると、そこには社長から「ストックズ出現」という文字が浮かび上がった。

 焚は現場に向かい、そこではブータの部下(子供?)と思われる豚のストックズが人間を襲っていた。人間を食べようとしていたのだ。

 焚は「止めろ!」と跳び蹴りをしてストックズを蹴り飛ばした。

「何をするだぇ?オイラは腹が減ってるだけだぇ」

「腹が減ってるならウチに戻って来い!たらふく喰わせてやるから!」

「そんな事言って、また俺達を搾取するつもりだぇ?その手には乗らんだぇ」

 再び人間を襲おうとするストックズを見て、焚は「どうしたら良い……!?」と悩んでいた。そこに社長からスマートフォンに連絡が来た。

「今こそ変身だ!」

「そうか!この時の為の物なんですね!?」

「そうだ!」

「分かりました!変身します!」

 焚はブレスレットに注射器で液体を注入し「火蓄チェンジ!フレイムストアー!」と叫んで変身した。変身するとからだの奥底から漲るエネルギーを感じ、焚は赤い戦士「ライフレッド」に変身した。

「これが……火蓄戦隊ライフストッカーズのライフレッド……!」

 ライフレッドは一目散にストックズに突進していった。その力は強大で、ぶつかるなりストックズは遠くに吹き飛ばされた。

「ヨウトンブレード!」

 そう叫ぶと、レッドの右手に長刀が出現した。ライフレッドは跳んでいき、一閃を描いた。

「クビキリ一閃!」

 ライフレッドはストックズの首を切断し、ストックズを倒した。その遺体を部下達に任せて帰社すると、変身を解いた。その瞬間、猛烈な空腹に見舞われた。それを見て社長は「今、君が倒したストックズを食べると良い」と言い、調理部にストックズを調理させ、その肉を焚は食べた。

 これまでにない美味さに焚は感動した。そしてある程度食べたところで満腹になり、残りは研究用に回された。

 焚はその日の報告書を作成し、社長に提出した。その後、承認を得た焚はその日はそのまま帰って良いと言われ、そのまま帰宅し、風呂に入って寝た。

 眠りに着く瞬間「あの空腹感は異常だったな……」と思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。