↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/37

第35話「バールさん、デカ過ぎだろ……」

「バール様は、大きくなれるんですか?」


『吾輩は破壊神である。依代の大きさを変える程度、造作もない』


「じゃあ、お願いします」


『ただし、相応の魔力は必要であるぞ』


 僕はエクスカリバールへ魔力を流した。


 青い柄が太くなり、赤い先端が伸びる。いつものバールが三メートル、五メートルと大きくなった。


「まだ足りない」


 十メートルまで伸びたところで、腕へ急に重さがかかる。怪獣全体へ届かせるには、さらに十倍以上必要だった。


「一人で無理なら、わしも貸すぞ!」


 黄金龍のティアが僕の背後へ降り、額をエクスカリバールへ寄せた。


 温かい魔力が流れ込み、バール様がさらに伸びる。


 それでも、怪獣を全部壊せる大きさには届かなかった。


「まだ足りぬか……!」


『怪獣が春日部市内へ入るまで、時間がありません』


 ヘリの中で、椿さんが政府や自衛隊との連絡を続けている。


 アイは、巨大になったエクスカリバールとニュース映像を交互に見た。


「デスD。今の配信、どこまで届いてる?」


「ネットは全部だ。テレビにも回してる」


「もっと」


「もっと?」


「日本中の画面に出して。街頭画面も、避難所も、見られるもの全部」


「何する気だ」


「わたしの仕事」


 デスDが笑い、回線を開いた。椿さんもすぐに政府の緊急放送へ映像を接続する。


 テレビ、電話、街頭画面。日本中へ、僕とティアと怪獣の姿が流れた。


 音楽が始まる。


 アイのデビュー曲、『見てみて♡マイアイズ』。


 アイは揺れるヘリの中で、いつものようにカメラを見て歌った。


 でも、最後に向けた視線の先は、自分ではなかった。


「みんな! 私じゃなくて――勇者を見て!」


 何かが変わった。


 画面の向こうにいる人たちが、一斉にこちらを見たのが分かる。


 勇者ならできる。


 バールさんなら、きっと壊せる。


 無数の認識が重なり、《偶像〈アイドル〉》を通って一つへ束ねられていく。


「バール様」


『承知しているのである!』


 エクスカリバールが光った。


 十メートル。


 五十メートル。


 百メートル。


 それでも止まらず、雲を割って伸びていく。


「……大きくなったね」


『吾輩も少々驚いているのである』


『は?』

『でっか』

『待て待て待て』

『バールってそういう武器だっけ』

『バールさん、デカ過ぎだろ……』


 デスDはカメラを構えたまま、大声で笑った。


「そうだ! これだよ! これ撮るために俺ァここまで来たんだよ!」


 江戸川を進む巨大怪獣。


 その前に、雲まで届く巨大なバール様が立ちはだかった。


最終章最大のお祭り回です。悠の魔力、ティアの魔力、それでも足りない。最後のひと押しを担当したのは、ずっと「私を見て」と歌ってきたアイでした。


《偶像〈アイドル〉》の使い方は、人間側で以前から決めていた大切な到達点です。今回は理屈を説明しすぎず、アイが人々の視線を自分から悠へ渡す場面と、バール様が十メートル、五十メートル、百メートルと巨大化する絵を優先しました。AIには、その流れを短い会話と映像へまとめる初稿作りを手伝ってもらっています。


次回、第36話「勇者、この世界も救う」。


雲まで届いたエクスカリバールを、今度こそ振り下ろします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。