第8話「ケセラム遺跡」
夜が明け、朝食を食べ終えると旅の支度を整える。
「港を目指して出発するぞ」
「準備いいわ」
「行きましょう」
街を出て、道なりに進んで行く。陽射しが照り付ける中、順調に進んでいると草の影から異様な生物が現れる。
巨大な蛇の下半身に一つ目の頭を持つ妖獣だった。
スギヤマに向けて飛び掛かってくると全身を巻き付けて締め上げ始める。
「うっ」
苦しそうに呻くスギヤマが力を込めるが、身動きが取れない。
グンダが剣で蛇の体に斬りかかると、濁った体液を噴き出してスギヤマから離れる。
狙いをグンダに変え、素早く移動しようとする。
「フェージキル」
シティスが術を唱えると、蛇の動きが遅くなった。
殆ど止まってしまった蛇をグンダが斬り付ける。
「鉄鋼!」
スギヤマが力を込めて蛇の巨大な眼球目掛けて拳をぶつける。
嫌な音がして粘り気のある水分が腕に飛び散る。
シティスの術が解けると、蛇はどさりと崩れ落ちて動かなくなった。
妖獣をやり過ごすと再び道を進む。
日も暮れかかって来た頃、野宿の準備をする。
「ここら辺でいいだろう」
見晴らしのいい草原の一角に寝袋を広げる。
携帯食を食べながら、スギヤマは思っていた事を口に出す。
「シティスも別の世界からやってきたのか?」
「私はブシュール出身よ、この世界に来る前は術も使えなかったし妖獣もいなかった。あなたも風星から来たの?」
「いや俺は地球から来た。そうか、風星……」
「地球?また別の世界かしら。私、こっちに来る前は確かに殺されたのよね。それが目を覚ましてみると見た事のない生き物がたくさんいるこの場所に。だからこの場所が死後の世界だって思ってる」
「死後の世界か。俺はまだまだ生きていたかったな。地球ではラーメンって食べ物が美味いんだ。色んな味付けがあって楽しめる」
「言っておくけど俺の見て来た中で死んだ奴が生き返った事はない。死後の世界だっていうんだったらここで死んだらどうなる?」
グンダが腕を組みながら言う。
「また別の世界に行くんじゃない?そういう経験をしたって事」
「はぁー気楽だねぇ」
話し終えると一行は眠りについた。
翌朝、スギヤマが最初に目を覚ます。
スギヤマは辺りの様子を見て、特に問題ない事を確認すると、グンダとシティスの目覚めを待つ。
やがて二人が起きると、朝食を取り出発する。途中、小型の妖獣に出くわすこともあったが、難なくやり過ごす。
ようやく港に着くと、船の出航予定を調べに行く事にする。
「北の土地行きは明日の午後出発みたいだな」
グンダが確認して言う。
その後宿で一泊すると、予定の時刻を待つ。
「あの船みたいですね」
スギヤマが港に入ってくる船を指差しながら言う。
部屋がいくつも備え付けられている大型の船だった。
船に乗り込み案内された部屋は、二段ベッドのある狭い部屋で、荷物を積み込むと出航の時間がすぐに来る。
船は順調に進み、十日後に目的地へ到着した。
港を後にするとケセラム遺跡のある山を目指す。
殺風景な灰色の岩山が見え始め、辺りの気温が下がり出す。
山を登るが、遺跡のある様子は伺えない。
辺りを探りつつ中腹まで登った頃、空に雲が立ち込め始め、雷鳴が轟き出した。
すると目の前を光が明滅し、体を震わせる音が鳴り響く。
何もない岩山だが、広まった場所にある一点を目掛けて雷が落ちたかと思うと、落ちた場所に明るい緑色の幾何学模様が現れた。
「何か埋まっているのかもしれないわ」
シティスがそう言って幾何学模様の上に乗ると、別の岩が震えだし、移動し始める。
岩があった場所に洞窟が現れ、壁を緑色の光が走っていた。




