第29話「救出」
「この喧噪、フィルクセップが攻めて来たのか?姫を見つけ出さないと……」
部屋から出ると、フィルクセップの兵士がトルクメアの兵士と交戦していた。
「敵襲!」
「数が多いわ、私の術で止めきれない」
「やるしかないのか!」
「私に任せて」
リルが雷で作った槍をスギヤマ達三人の周りに回転させる。トルクメア兵は近づけず後ずさる。
「あそこ!」
サルバが広間でフィルクセップ兵を次々と倒していた。
「どうにか隙を見つけ出さないと」
再び黒い霧が辺りを包み込むと、次々と悲鳴があがる。
「あの術に対抗する方法はないの……!」
シティスが思案する。
「シティスがすぐに治癒してくれるなら、あいつの一撃を耐えて捕まえられるかもしれない、後は声を頼りにリルが槍で貫いてくれ」
「わかったわ」
「じゃあ再戦といくか」
静かになった広間にサルバは佇んでいた。
「お前らか。どうやらフィルクセップも本気じゃないみたいだな、兵の数が少ねぇ」
「キエラを返してもらうぞ!」
「あぁ、王さえ来ればすぐに開放するというのに。この分だと王は来てないな、まったく腰が引けた王様だ」
「圧殺!」
円柱がサルバの頭上に現れ落下する。
ところがサルバは素早く回避する。
「当たんねぇな、どれ、闇封」
黒い霧が噴き出し辺りが包まれ視界が塞ぎ始める。
「シティス!」
霧が視界を完全に塞ぐ前にスギヤマの下にシティスが駆け寄る。
「怨嗟掌!」
程なくしてスギヤマの体に衝撃が走る。
スギヤマは痛みに耐えるとサルバの腕を掴む。
「リル!ここだ!」
「雷焔の影槍!」
「ぐっ!」
サルバの声が漏れる。
スギヤマは抵抗するサルバの体を全力で羽交い絞めにする。
「リル、連続で撃ち込め!」
霧で包まれた広間が激しく明滅する。
サルバの動きが止まり、霧が晴れ始める。
「鉄鋼!」
サルバは全身に強い衝撃を加えられ、倒れ込むと、サルバの刻晶が割れる。
「これまでかっ……姫ならこの先の寝室で眠っている、チームは強いな」
レピリクが現れ尻尾を揺らす。
首周りに模様が増えていた。
「これで金淵の力はその男から失われ、僕達の刻晶の力が強まったよ」
「残りは三人というわけか。それよりもまずは姫を迎えに行こう」
スギヤマは奥の寝室を開け、眠っているキエラ姫を見つけた。
「キエラ姫、起きてください」
「んっ」
目を擦り、伸びをしながら上半身を起こすとスギヤマ達と目を合わせる。
「あ、あなた達……えっと」
「スギヤマです」
「助けに来てくれたのね、嬉しいわ。でもここからどうやって出るの?」
「任せてください、魔法を使います」
シティスが言う。
スギヤマ達は姫を連れて、出来るだけ衛兵に見つからないように移動する。
門番をシティスの術でやり過ごし、トルクメア国を出た。




