第26話「記憶」
草原が風に揺れ、陽光が燦々と射している。
木で出来た二階建ての家からは子供の笑い声がする。
「シティス姉ちゃん、また間違えたー!」
男の子と女の子がぬいぐるみを箱の中から当てる遊びをしている。
「二人とも、お菓子が出来たわよ」
女性の声を聞き、二階から降りてくる二人。
机の上には、黄色のジュースと、ドーナツのようなお菓子が置かれている。
「ハルアももうすぐ上級生ね、体も大きくなってきた事だし、そろそろ何かスポーツでも始めたら?」
「考えておくよ!それより姉ちゃん外で遊ぼうよ!」
家から出て、外でフリスビー投げをする二人。
すると遠くから馬のような生き物に乗った四人組がやってくる。
生き物から降りると四人組の一人が素早く男の子を殴打する。
「やめて!」
女の子が叫ぶ。
麻袋を男の子に被せ生き物に乗せると、別の一人が女の子に近づく。
薬が染み込んだ布を嗅がすと、気絶した女の子を連れて行く。
家から母親が出てくると、四人組は立ち去って行く。
「シティス!ハルア!」
冷たい風が吹きすさんでいる。
薄暗い湿った空気の中、目を覚ました女の子は足に鎖が繋がれている事に気が付く。
男の子を探すが見当たらない。
目の前にあるのは黒い鉄格子だった。
「ハルア!いるの?」
声は掻き消え、静寂が広がる。
やがてコツコツと足音が聞こえ、白髪の落ち窪んだ目の女がやってくる。
鉄格子を開けると、女の子の手を縛り、外へ連れ出す。
別の部屋へ着くとそこには巨大な太った一つ目の豚の頭をした生き物がいた。
落ち窪んだ目の女は女の子の腕に注射を打つ。
女の子は体が痺れ動けなくなり倒れこむ。
豚は巨大な包丁を光らせると女の子の腕の肉を切り取る。
「……っ!」
痛みはないが、体が失われていく恐怖に女の子は襲われていた。
腹を裂かれ、腸を引きずり出されると、豚は肉を食べ始めた。
意識が遠くなっていき、最後に聞いたのは首に刃物が食い込む鈍い音だった。




