第19話「刻晶の力」
「一人少ないわね、まさかやられてしまったの?」
「石化してしまったんです。治してもらえますか?」
「残念だけれど専門外ね。私の作った宝剣が石化の術を使うなんて」
「そんな他人事な……」
「けれど約束は守るわよ。宝剣を見せて頂戴」
スギヤマは宝剣を取り出し、レアラに渡した。
レアラは剣を握り、八の字に振ると地面に置き、何やら念じ始めた。
三十分程経った後、嵌め込まれていた黒い宝石が透明に変わっていた。
「終わったわ、これでこの剣が持ち主を取り込む事はないでしょう」
そう言うとレアラはスギヤマに剣を渡した。
「一体これからどうするの?」
シティスが困惑する。
「解決策がある。刻晶の願いが叶うという力を利用するんだ」
「確かに何でも願いが叶うのが本当だというなら石化も治せるわよね」
「戦闘になるよりは協力したいけれど、あと一人上手く契約できないかな」
「あの蜥蜴男は無理ね。他にはどんな行動を取っているの?デコ教えて」
「なーなー、二人組と、単独行動が一人だなー」
「単独行動で近い方にあたってみよう」
話がまとまると、スギヤマ達は出発しようとする。
「あら、もう行くのね。また大会に参加するのを期待しているわよ」
「ははは……。機会があればまた来ます」
スギヤマは苦笑いで答え、獣闘場を後にした。
「どこの国にいるんだ?」
地図を開き、目的の人物がいる場所をレピリクに聞くスギヤマ。
「この辺りだね」
指差した場所は、海を越えた先にあるディラムという国だった。
「当分はグンダから受け取っていた金があるから生活できるが、それでも二、三ヶ月といったところだろう、それまでに刻晶の力を集める事を目標としよう」
「単独行動の人が危険人物じゃないといいけど」
「その時は戦うしかないぞ、もう後には引けない」
「私の術が効かない相手がいるなんて不安ね」
「そうだな。だけど治癒術があるおかげで臆せず戦える」
スギヤマ達は港に来ていた。
ディラム行きの船を待ち、乗り込む。
数日間移動し、目的の大陸に辿り着いた。
降りた先では、湿った風が吹きすさんでいた。
街道に沿って進んでいると何度か妖獣に出くわしたが、シティスの術も問題なく使えたため、やり過ごしていった。
そうしてディラム国が見えてくる。
「国へ着いたはいいけど、刻晶持ちはここにいるんだよな?」
「今は少し場所を移動してるね。東の方だ」
レピリクが言う。
「そうか。とりあえず街で支度を整えよう」
ディラムの街では子供達が楽しそうに遊んでおり、平和な様子を感じさせた。
スギヤマ達は食料を買い、泊まる宿を探した。
節約の為、豪華な宿とはいかなかったが、食事付きの宿を見つけ、宿泊した。




