第18話「念願」
翌朝、目を覚ますと一行はレアラがいる部屋へと向かった。
「あら、早起きね。ちゃんと地図の用意は出来ているわよ」
そう言うとレアラは一枚の地図を広げた。
「この青く発光している印が宝剣の居場所よ。無事を祈ってるわ」
「助かる。剣を手に入れてきたら解呪の方も頼むぞ」
グンダ達は獣闘場を後にして、地図を頼りに目的地へと向かった。
ガテリヤ王国北の草原を抜け、大きな川が流れる土地にそれは居た。
灰色の人型の体に羽根を携えている。
歪な顔面は、悪魔を思わせた。
それは、どこで斃して来たのか小型の妖獣の肉を齧っていた。
「あいつがそうみたいだ」
グンダが静かに言う。
「じゃぁまず私が術をかけて」
シティスが颯爽と乗り出す。宝獣に向けて念じるように手を伸ばす。
だが、宝獣の動きは変わらなかった。
「あれ、どうして?」
こちらに気が付いた宝獣が翼を羽ばたかせ飛び上がると、左腕が巨大化し、剣の形を取った。
勢いよくグンダ目掛けて急降下してくる。
咄嗟にグンダは剣を抜き、宝獣の腕と交える。
ガキィンと大きな音がし、お互いに一歩も譲らない。
激しく剣を振るうグンダだが、宝獣は動きに合わして軽くいなす。
スギヤマが背後から拳をぶつけようとするが、後ろに目がついているかのように気配を察知され、飛び上がる。
再び急降下して今度はシティスを狙い、腕の剣を勢いよく突き刺す。
ガァン!スギヤマが身を挺して宝獣との間に入り防御する。
宝獣は牙を覗かせると、再びグンダに向けて剣の腕を振るう。
お互いに譲らず攻撃を続けると、一瞬の隙を突き、グンダの一太刀が宝獣の肩を斬る。
「鉄鋼!」
よろめいた所を見逃さず、スギヤマが羽目掛けて拳を叩きつける。
鈍い音がして羽の骨が折れた宝獣は動きを鈍らせた。
それでも剣の太刀筋は衰えず、致命的な一撃を与える事が出来ないスギヤマ達。
しばらく膠着状態が続き、スギヤマ達に疲れが見え始めたころ、宝獣が腕の剣を変形させ、三日月状に変えた。
すると三日月の中心部が発光し、光線が射出された。
身を躱す隙も無く、グンダに直撃する。
グンダはたちまちにして灰色に変わっていき、石像となってしまった。
焦るスギヤマは頭の中にかつて聞いた声を感じていた。
その声が大きくなり、口から出る。
「圧殺!」
宝獣の頭上に巨大な黒い円柱が現れ落下する。
骨が折れる音がし、円柱が消えると動かなくなった宝獣の姿があった。
「グンダ!」
駆け寄るスギヤマ達は皮膚が完全に石となったグンダを前に茫然としていた。
すると宝獣の体が変形し、一本の剣に変わっていく。
刀身に黒の宝石が嵌め込まれた剣だった。
「これが、幻瑚の宝剣……」
「けれど必要としていたグンダさんが石化してしまうなんて」
「レアラに伝えて、治してもらおう」
グンダをその場に残したまま、スギヤマ達は獣闘場へ向かった。




