第15話「獣闘場」
そうして日々は過ぎ、碧星が満ちる日が近づいてきた。
「目的地は国を出て西の方角だな、遅れずに行こう」
グンダが場所を確認して言う。
野宿をしながら二日程歩くと、地図で示された場所に辿り着いた。
草原の中に櫓が立っている。
真下まで行くと、櫓の中から鳥の頭をした生き物が話しかけてくる。
「何の用だ?」
「獣闘場があると聞いてきたが」
「おう、待っていろ」
ゴゥーン、ゴゥーンと音が響き、土が見えていた円形の地面が開いていく。
現れたのは地下に続く階段だった。
三人はゆっくりと降りていく。するとフードを被った人物が椅子に座っていた。
「参加者かい?観客かい?」
濁った声で尋ねてくる。
「参加者だ」
グンダが答える。
「了解。一人目の参加者は名前を」
「スギヤマです」
「了解。こちらへ」
フードの人物は立ち上がり、奥の通路を手で示す。
「行ってくるよ」
「頑張ってね」
シティスが腕を振って言う。
通路にはフードを被った別の人物がいてスギヤマを誘導する。
少し進むと中は広くなっており、高校の体育館程の大きさがあった。中央には大きな檻があり、周りを取り囲んで観客が座っている。
檻の中ではスギヤマの身長の三倍はあろうかという巨大な牛と筋肉質な上半身裸の男が対峙していた。
牛は地面を足で何度も蹴り、勢いをつけると男の元へと突進していく。
男は避けようとするが、牛は向きを合わせ男に角を突き刺した。
ドォォォッと歓声があがる。
男は倒れ、その上を何度も牛が踏みつける。
その光景を見ながらスギヤマは連れられて檻の扉の前までやってきていた。
「ここで参加者敗れる~!監獄の戦牛ガーヴィ強し!次の参加者は何の変哲もない男スギヤマだぁ!一体どんな戦いをするのか!」
紹介が終わると扉が開けられ、スギヤマは中に入る。
相手の牛の体は大きく、この世界に来る前であればとても太刀打ち出来なかっただろうが、スギヤマは落ち着いていた。
牛はスギヤマを確認すると、先ほどと同じように狙いをつけ突進してくる。
スギヤマは両腕を縦に、頭を守るように出し、力を込める。
牛の角が当たるとスギヤマは後ろに突き飛ばされた。
傷はないが、体重差の影響は大きく支えきれない。
スギヤマは走り出すと、腕を振りかざす。
「鉄鋼!」
牛の角目掛けて殴りかかると、角の根元から折れ曲がる。
牛は苦しそうな声をあげ後ずさる。
続けて牛の腹へ拳を殴りつける。
牛は声もなく倒れ込んだ。
オォォォォっと歓声が上がる。
「突き飛ばされ、またしても駄目かと思われた参加者!なんと無傷で反撃の末勝利だぁ!一体何がどうなっているのか!」
檻から出て待機席へ座るスギヤマ。
観客席にはグンダとシティスの姿があった。




