第12話「燐火団」
やがて船が到着するとガテリヤ王国へ向けて出発する。
街道を道なりに進むと、道中特に妖獣にも出くわさずガテリヤ王国が見えてくる。
「この国では警備がしっかりしているのか穏やかだな」
グンダが不思議そうに言う。
「妖獣狩りが行われているんじゃない?」
シティスが言う。
「何にせよ体力を使わずに済んだな。俺は図書館でしばらく調べ事をする。期間は一週間ってとこだな。食事には宿に戻ってくる」
一行は拠点にする宿を探す。大通り沿いの古くからやっていそうな宿に決め、部屋へ荷物を下ろす。
「ちょっと街を見てくる」
スギヤマが伝える。
「いってらっしゃい」
シティスが飲み物を飲み終えると答える。
街は様々な種族で賑わっていた。
屋台で軽く何か食べ物を食べようと覗いてみる。
肉の串焼きを選び、グンダから渡されていたお金で買う。
頬張りながら歩いていると子供たちがボール投げをしている。
横目に通り過ぎると寂れた古道具屋が現れた。
興味を惹かれ入ってみると眼鏡をかけた羊のような頭をした店主が座っていた。
店内には使い方の分からない変わった物や、古本が所狭しと置かれている。
何を買うでもなく、しばらく眺めた後、店を出た。
「冷やかしは感心しないなぁ」
レピリクが目を細めて言う。
「買ったとしても荷物になるだけだから仕方ない」
日が暮れてきたので宿へ戻ると、グンダも部屋に帰って来ていた。
「今日の所は進展なしだな。だが資料は豊富にある、宝剣の手がかりも掴めるだろう」
こうしてガテリヤ王国での滞在が始まり、日が過ぎていった。
やがて一週間が経った頃、グンダがいつものように食事で進展を話していた。
「失われた遺物に関する本は見つかったんだが、すまない、もう少し時間をくれ、あと一週間あれば詳細が分かるはずだ」
スギヤマは日課になった街への散策へ出かけると、街では人々が何やらざわめいていた。
道端で話をしている年配の女性二人に近づき、聞き耳を立ててみた。
「今日の午後から行われるらしいわよ」
「ようやくあの一団が解散するのかしらね、広場に見に行きましょう」
スギヤマは手に入れた情報を元に、広場へ行ってみた。
すると人でごったがえしており、中央には兵士に囲まれて縛られた人物が連れられていた。
しばらく待っていると、銅鑼の音が鳴り、人々は静まった。
「清澄なるガテリヤの民よ、ここにいる男は国に仇なす盗賊団、燐火団の首領である!数多に及ぶ罪科によりこれより銃殺刑に科す!」
銃を持った兵士が五名、横に並ぶ。
ターンッ。
乾いた音が響き、兵士の一人が倒れる。するとどこからともなく白煙が立ち込め始める。
縛られた人物の周りは煙で包まれ様子が分からなくなった。
がやがやと聴衆が騒ぎ出す。
やがて煙が流れ去ると数人の兵士が倒れており、縛られていた人物はいなくなっていた。
「何をしている、追え!」
怒号が飛び交う中、スギヤマは広場を後にした。
「今広場に僕らとは別の刻晶獣が来ていたよ、そして街を離れていった」
レピリクが知らせる。
「騒動の原因を作ったのはそいつか?燐火団とやらの一員だろうか」
「だろうね」
「そうなると厄介だな。協力してもらえるとは限らない」
宿へ戻り、シティスに今日あった出来事を話す。
「処刑される人を助けたって事は追われる身よ。契約は出来ないわね」
「七つの刻晶獣の力を手に入れるには倒す方法があるって言ってたが、具体的にはどうするんだ?」
スギヤマが尋ねる。
「簡単さ。刻晶を壊せばいい。刻晶獣と刻晶の持ち主との精神は共有している。刻晶が割れれば刻晶獣は消滅し、破壊した側の刻晶獣に新たな印が刻まれる」
レピリクが尻尾を揺らしながら答える。
「なるほど、どちらにせよ契約は三人までだから戦闘は避けられないわけか」
やがてグンダが帰ってくると、スギヤマ達は食事を取り、眠りにつく。




