第11話「ズードゥ遺跡」
翌朝、朝食を済ますと早速町を出発した。
段々と辺りの木々の密度が高くなり、森に入っていく。
小動物にたまに出くわすぐらいで危険な妖獣とはまだ出会わなかった。
途中、交代で見張りをしながら野宿をする。
翌日再び森の奥へと進む。
川が現れ、上流へと昇っていく。
やがて滝が現れた。
「どうやらここのようだ。話によると滝の裏に道があるらしい」
スギヤマ達は滝の裏に回り込む。
すると激しい水流の影に洞穴が続いていた。
恐る恐る奥へと入っていく。
道は段々と地下へ潜っていき、いつの間にか小部屋に辿り着いていた。
小部屋には壁の四隅に旗が立てかけられていて、それぞれ剣、王冠、盾、紋章だった。
部屋は行き止まりで、スギヤマ達は足止めされてしまった。
「あの旗、明らかに怪しいですよね。動かしてみます?」
「待った、よく考えないと罠も仕掛けられているかもしれん」
「順番が重要かもしれません、王冠、剣、盾、紋章が自然では?」
「重要……いや紋章、王冠の順だ。剣と、盾の順番だが、そのままにしよう。動かすぞ、いいか?」
グンダが納得したように言う。
四つの旗を時計回りにグンダの言う通り入れ替え、様子を伺う。
すると剣と盾の旗が倒れ、中央の床が開き階段が現れた。
「正解か?」
「階段の位置からしてここしかなさそうじゃない?」
シティスが言う。
「旗が二つだけ倒れたのが気がかりだが、進んでみよう」
階段の先は床が不思議な物質で出来ているのか、仄暗く光っていた。
やがて広間に出ると、中央に骨で出来た山があった。
奥の壁に扉が備わっており、目指して歩き始めると、どこからともなく高い異音がした。
「上!」
シティスが指差すと天井には大きな黒い生き物が張り付いていた。
生き物は飛び降りると齧っていた骨を中央の山に吐き出した。
「こいつにやられた成れの果てってわけか」
スギヤマ達は様子を伺う。
生き物は口から長い舌をグンダ目掛けて伸ばし足を絡み取った。
そのまま勢いよく引っ張ると鋭い爪をグンダの腹に食い込ませた。
「ぐあっ!」
腹から勢いよく出血し、うずくまる。
シティスがすかさず駆け寄り、叫ぶ。
「フィーア!」
みるみる内にグンダの出血が止まっていく。
「おお、これは……!」
生き物は高音で鳴くと、今度はスギヤマ目掛けて舌を伸ばした。
すかさずグンダが一太刀を振るう。
舌は真っ二つに両断され、生き物は激昂する。
グンダに再び牙を向けるとグンダが構えた剣で押し返す。
「スギヤマ!頼む!」
スギヤマは生き物に駆け寄り、全力で拳をぶつける。
「鉄鋼!」
生き物の体が鈍い音を立てて倒れる。
「先に進もう」
スギヤマ達は奥の扉に向かった。
扉の先には紋章の入った旗と鎧が立てかけてあり、その外には何もなかった。
「やはり外れか。最初の小部屋に戻ろう」
グンダが残念そうに呟く。
再び四つの旗のあった部屋に戻ると、スギヤマ達は再び思案する。
「それなら盾、剣の順だろうか」
「動かしますよ」
紋章、王冠、盾、剣の順に時計回りに配置すると、まずは中央の床が閉まった。
しばらくして、天井から梯子が降りてきた。
今度は全ての旗は倒れていなかった。
「今度こそ正解か?」
上を見上げると先へ続く穴が開いている。
スギヤマ達は梯子を登っていった。
梯子の先には同じような小部屋になっており、中央に石で出来た巨大な箱があった。
開くと中には王冠と、剣、盾が納められていた。
「どうやらこれが宝のようだ。幻瑚の宝剣……ではないな」
がっかりした様子でグンダが言うと、遺跡の外に出る事にした。
川に沿って降りていき、森を抜けるとペッテラの町に向かった。
スギヤマ達は再び肉料理屋で食事をすると宿へ泊まった。
「俺の知る遺跡はまだあるが、この調子では宝剣は見つからないだろう。一度調べなおす必要がある。ガテリヤ王国の古代図書館へ行く事にする」
翌朝、支度を済ますと港へと向かった。
船に乗り込むとしばらくの航海が始まった。




