第10話「治癒の力」
やがて朝がくるとシティスの横に猫のような生き物がいる。
大きさは人の体の半分くらいで、尻尾は三つに分かれていた。
「夜中眠りから覚めたら体が熱くなって、気が付いたら姿が現れたの」
「なーなーよろしくなー。俺はデコ。黄天の使者だ」
「前に話していた刻晶獣か」
スギヤマが言う。
「そしてこれを見て!」
シティスが怪我をした腕を見せると、傷がなくなっていた。
「デコが現れると同時に新しい術が頭の中に響いて、唱えると傷が癒えたの」
「治癒術か。貴重だ」
グンダが身を乗り出して言う。
「刻晶の力を七つ集めるために契約をするって話だったよね」
シティスが言う。
「レピリク!話を聞かせてくれ」
首の石を押さえながら呼びかけると、どこからともなくレピリクが現れた。
「デメリットはないのか?」
スギヤマが尋ねる。
「三人までが契約に加われるけど、願いもそれぞれ叶う。途中で契約相手を替えられない位だね」
レピリクが尻尾を揺らしながら言う。
「よし、契約しよう」
「私もするわ」
「わかったよ」
「なーなーオッケー」
レピリクとデコが三つに分かれた尻尾を重ね合わせるとそれぞれの体が点滅し始める。
「終わったぞ」
デコが顔を撫でて言う。やがて二体は消えてしまった。
「その願いが叶うって話なんだが、どちらか幻瑚の宝剣を手に入れてくれないか?金なら希望の額を出す」
グンダが話に加わる。
「考えておくわ」
「俺は願いを決めてあるので、宝剣が見つかるまで探すのを手伝いますよ」
「そうか、それはそれで助かる」
船は西の大陸に到着し、スギヤマ達はその地に降り立った。
「遺跡は森を抜けた山の中にあるという。まずは近くの町で準備をしていこう」
グンダが言う。
しばらく歩くと看板が見えて来た。
『ようこそペッテラへ』
家がまばらに現れ始め、整えられた道が続く。
食事が出来る店を探し、肉料理と書かれた店を見つけ中に入る。
「いらっしゃいませー!」
元気のいい声が響き、席へ案内される。
「これ美味しそう」
シティスがメニューを指差すと顔を綻ばせる。
店員を呼び注文していく。
「スギヤマはどんな事が好き?」
シティスが尋ねる。
「どんなって……休みの日はインターネットをしてるよ」
「いんたぁねっと?」
スギヤマはつい素直に答えてしまった事に焦る。
「あぁ文字を読んでるって事かな」
「すごいね、勉強家なんだね」
「いやほとんど娯楽としてだよ」
料理が運ばれてくると、鼻をくすぐる匂いに耐えきれずそれぞれ夢中になって食べ始めた。
「やっぱり美味しい!」
「イケるな」
グンダも満足気だ。
食べ終えるとグンダが会計を済ませ店を後にした。
次に水と食料を買い込み、宿に向かう。
「それじゃぁ二人ともおやすみ」
スギヤマが言う。
「おやすみー」
「あぁおやすみ」




