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みるくの爆弾発言

 お日様が沈んだからといっていきなり真っ暗になる訳ではありませんが、黄昏というようなほの明るい気配が残りました。


 ぼんやりと薄暗くなったので、みるくは食事を思い出し、部屋の外に出ようとしました。


 しかしなぜか鍵がかけられているようで、扉はびくとも動きませんでした。

 困ったみるくは電気をつけようとスイッチを押しますが、電気すら点灯しないのです。


 念のためにベッドサイドにあるランプをつけてみましたが、こちらもまったく点灯しませんでした。


 う~ん、少し考えてから、まずはみことを呼び出すことにしました。

「みこと。」


 みことはすぐにみるくの膝に飛びおりてきました。

「どうした、みるく。」


「多分、閉じ込められているんだけどねぇ」

 みるくはのんびりとそういいます。


「それでどうするつもりなんだ?」


 みるくは心底困ったように考え込みながら

「方法は2つだよねぇ。部屋に閉じこもるか部屋からでるか?」


 みことは呆れたようにみるくに聞きます。

「それってそんなに悩むことなのか?」


「だってねぇ、状況がわからないからねぇ。どうしたらよいかなぁ。だれも来ないでしょう?と言う事は誰も部屋から出ていないか、それとも部屋からでたけれどもあえて迎えにきていないか?のどちらかなんだけど。」


 みるくの話を聞いているうちにみことはすっかりイライラしてしまいました。

「何考えてんだみこと。ちゃんと説明しろ。」


「わかった。ちょっとあの子に様子を聞いてみてからにするね。」


 そういうなりみことは、換気窓から人型を外に出してしまいましたが、すぐに人型を張り付けた妖が目の前に現れました。


「しょうけら、じゃないか。なんでしょうけらみたいな妖がこんなとこにいるんだ。」

 みことが叫ぶと


「え~と、たぶん私たちを見張ってたんだとおもうんだけどね。しょうけらお前が見たものを映し出してごらん。」


 みるくが命令するとあの執事の式神がしょうけらたちを術でしばって命令をしているところが映しだされました。


 もともとしょうけらというのは覗き見をする妖なので、子供たちの様子を覗いて執事に知らせるようにと言われています。


 しょうけらにとってはお安い御用というところですから、わざわざ術を使ったのは、気まぐれな妖が子供たちから離れてしまうのを恐れてのことでしょう。


「うん、そこは知ってるところだからいいんだけど、他の子どもたちがどうしているか見れるかなぁ。」


 しょうけらはちょっとばたばたしていましたが、なんとか情報を集めることができたらしく、また映像を映し始めました。



 俊はさっさと結界を解いてしまったらしく、食堂でのんびりと食事を初めています。


 拓はここは慎重にいくと決めたらしく、部屋に結界を張り巡らして籠城作戦にでたようです。


 守は心底うんざりした顔をすると、さっさと寝てしまうことにしたようです。


 マコは物理で結界を破ろうと、ただいまハクと奮戦中でした。



「みこと、これでだいたいわかったよね。」


「つまりこれは樹季先生の訓練という訳か?みるく。」


「うん、そーなんだよね。だから別に正解とかはなくて、どっちでもいいんだよ。俊が迎えにこないのは、これも勉強の一環だからだし、守たちは明るくなってから部屋から出るつもりみたいだし。」


「最初からわかってたのか?」


「まぁね。悩んだのはみんながどっちを選ぶかわからなかったからだよ。もうみんなでご飯食べてるなら結界を解除すべきだけど、みんなが部屋にこもる気なら、ひとりだけ外にでてもつまらないでしょ。」


 なんだかみことは力が抜けてしまいました。

 みるくはつまりこんな子ではあるのですが、どうしてこう茫洋としていられるのでしょうか。


「で、どーすんだ?」


「俊がいるならご飯食べよっかな。マコちゃんもそのうちやってくるからお風呂はいる約束してるしね。という訳でみこと結界の解除お願いね。」


「オレがやるのかよ。」


 みことはぶ然としていますが、みるくはさっさとしょうけらから人型を外すと、バイバイと呑気に手を振ってます。


 みことは扉をあけると

「ほら、飯くいにいくぞ!みるく。」

 と偉そうによびました。


 みるくはにこにこしながら

「はーい。」

 と良い返事をしていことを追いかけていきます。



「俊、きょうのご飯なぁに?」


「みことか、ビーフシチューとサラダにパンだ。ここパン焼き立てでおいしいですよ。」


「わぁ~い。じゃぁそれとたっぷりのカフェオレもお願いしますね。」

 みるくはうれしそうに給仕さんにお願いしています。


「もう、誰もこないかと思ったよ。」

 俊がそういうとみるくが当たり前みたいに言います


「マコがもうすぐくるよ。拓と守は今夜は来ないことにしたみたいだよ。あっ、給仕さんマコもくるから、さっきの4人前にしてね」


 俊の頭にクエスチョンマークが浮かんでいるのを見て、まことがそれまでの詳細を俊に教えています。

 俊は愉快そうにみるくを見るとクックと笑いだしました。


「あ~ひどい目にあったぁ、なんなんこれ!」


 プリプリと怒りながらマコが食堂に入ってくるのと食事が届くのは同時でしたので、ともかくみるく・マコ・ハク・みことは仲良くビーフシチューを食べました。


 食事をとりながら拓や守のことを聞いたマコはプリプリ怒って


「それじゃぁ、拓や守は食事抜きやないの。そんなんあんまりや。どーして迎えに行ってあげへんの。」

 というなり食堂を飛び出して行ってしまいました。


「あ~、せっかく一緒にお風呂に入ろうと思ったのに。」


 みるくがいかにも残念そうにいうのでみことが

「戻ってきてから一緒にいけばいいだろ、」

 と言ったとたんに、いかにも残念な子をみる視線がみことに集中してしまいました。


「それは無理ですわねぇ。よろしければ主に代わって私がお背中をお流ししましょうか、みるくさま。」


「自分で身体くらい洗えるよ。でも一緒にはいろうよハク。温泉だからきっと気持ちがいいよ。」


「ありがとうございます、みるくさま。ご一緒させていただきますね」


 女たちがマコ抜きでお風呂に入るのが当然といった会話をしているので、みことは思わずヤマトに視線を走らせてしまいました。


「さようですな、マコさまは今夜は迷宮を一晩中さまようことになりましょうなぁ。あの樹季という御仁はルール違反には厳しい罰を課すでしょうからのう。マコさまもお気の毒ですが、別段命にかかわることがある訳でもありませんし、よいお灸になりますかな。」


「お前たち、いったいそんなことどこで知ったんだよ。」


「みことは少し思慮が足りないんですよ。これは訓練なのですから手助けできる筈はないでしょう。それに危険もありませんよ。一晩くらい寝なくても、食事を取らなくてもね。なにしろその訓練を課しているのは朱雀の鬼神ですからね。」


 俊の言葉をきくとまことは飛び上がりました。


「な、な、なんであの妖殺しが先生なんかやってやがんだよ。それならそうと先に言え。俊。」


 みことがあんまりビビッているのでみるくは、不思議そうに聞きました。


「みこと、樹季先生を知っているの?」


「知ってるもなにも知らない奴なんかいるのかよ。妖を今までで一番刈ってきた鬼神なんだぞ。朱雀の鬼神の名前を知らないとしたら、なんでみるくは樹季先生の訓練の邪魔をしなかったんだよ。」


「え~と。だって守も拓も間違った対応はしていないよ。扉を破るのも明るくなるまで潜むのもどっちも術者としては良い選択でしょ。どちらが正しいなんて結果を見なきゃわからないじゃない。だから守達の選択を尊重しただけだよ。」


「それと樹季先生が凄い人なのは、あの時霊力の残滓を残したことで十分にわかるとおもうけどなぁ。あの縊鬼に憑依されている状態で、自分の霊力を僅かでも外に出せると思う?凄い意志力と霊力だよね。だからまことに止められても、解呪の術式を込めた人型を作ったんだもの。」


「それじゃぁみるくは絶対に解呪できると踏んで、術式を使ったていうのかよ。無茶じゃなくて計算だったと!」


「当たり前だよね。術者としては相手の力量を測れなければ術は使えないよ。返された術を消せるだけの技術はまだ持っていないもの。あの時霊力の洩れを感知しなければ、みるくは俊に任せてたよ。みるくが死にそうになればみことがみるくを守ろうとして今度こそ消えちゃうかもしれないんだから。」


 そしていかにも当たり前という顔でみるくはさらりと言ってのけました。


「だってみるくはみことが好きなんだもん。」


 一瞬にしてその場は凍り付き、みことは顔を真っ赤にして叫びました。

「生意気いうのは百年早いぞ!馬鹿みるく!」


「みるくは馬鹿じゃないもん。そんなこというみことが馬鹿だもん。」


「あ~、そー言って人のこと馬鹿っていう奴が馬鹿だからな!。」


「ひどーい。今みことが馬鹿っていったんだから馬鹿はみことだ!。」


「なんだと!馬鹿に馬鹿っていって何が悪いんだ。ばーか。」



「これはこれは、まったくお子様の喧嘩ですねぇ。」


「しかたありませんわ。みるくさまはまだ幼くていらしゃるのですもの。それに引き換えあの馬鹿猫は、少しも主を敬っておりませんわ。みるくさまも少しは厳しくなさればよろしいのに。」


「きっとあれでいいんですよ。あの不思議なアンバランスさがみるくの魅力ですからね。まったく可愛いものですね。



 実際みるくの衝撃の告白かと思われた出来事は、いつのまにか可愛い子供同士の喧嘩として納まってしまった。


 果たしてみことがこれを狙ってわざと喧嘩を吹っ掛けたたかどうかは誰にもわからない事だった。


 ハクは仕方がないというようにみるくに近づくとその腕をつかんで引きずりだした。


「そろそろ温泉に入りますよみるくさま。少しお湯につかってのんびり致しましょう。明日も訓練が待っておりますわ。」

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