7話「3兄弟の決断」
「わあ!こんな場所があったのですね!お兄様!」
そこはみずが透き通るきれいな場所。
シリルは、アルとエマが生まれるよりも前に何度か両親とピクニックに来ていた場所だ。
「きれいだろう?僕のお気に入りの場所だ」
優しく微笑んでいる。シリルの膝枕でエマが寝ている。
「そろそろいいかな。安眠魔法解除」
目を開けたと思ったら、急に起き上がった。
そして、周囲をきょろきょろする。
そして、上を見るとシリルとばちっと目が合った。
「おはようエマ。ここは安全な場所だよ。大丈夫」
そう優しく、ゆったりとした口調で言うシリル。
「エマ〜〜〜!ごめんね」
そう泣き目で言っていたのはアル。
横からひょこっと表れて、泣き出す。
「大丈夫よ。ちょっとびっくりしちゃっただけだから!」
エマは落ち着いたようで、優しく答える余裕を見せる。
この様子にシリルは一安心。
「よかった。顔色も大丈夫だね!これならアレを使わなくても大丈夫!」
その時一人とても内心焦っている人がいた。
それはアルだった。
《やばい、やばい!あと1回多く魔法使ってたら、お兄様に迷惑かけるところだったぁ!》
それが顔に出てしまっていたみたい。
「アル?どうしたの?さっきは怖かったね。もう大丈夫だよ」
アルは、一瞬見抜かれたのかとドキッとする。
しかし、シリルはアルを安心させるような口調で話し、頭を撫でる。
「うん!僕は大丈夫だよ!」
そう、表では甘えん坊ではあるが、裏ではこう思っている。
《違う!お兄様の心配をしてるの!僕は!》
こうみえて、アルも正真正銘のブラコンである。
「ねぇアル、エマ。そろそろ日が暮れそうだから戻ろうか」
そう腰掛けていた木の幹を離れて立ち上がった。
「そうね!」
そう答えるのはエマ。
「え?うん。そうだね!」
それと同時に少しぼーっとしていたアルはいきなり言われて少し驚く。
「ねぇアル、エマ。魔法使える?」
シリルは、突然立ち止まり、双子を見る。
『どうしてぇ?』
双子は不思議そうな顔をして見上げている。
「早く帰ったほうがいい。城の者が心配しているだろう。かくれんぼだけにこんなに時間かかるだなんて思ってないだろう」
不安そうに言ったシリル。
「そうですね」「そうね」
三人顔を見合わせてさすが兄弟。
息ぴったり。
『転移魔法』
三人は一気に王城の横の森に転移した。
「やっと着いたね」
そう安堵していたシリルだったが、そんなのはつかの間の休息に過ぎなかった。
「シリル様!アルフレッド様!エメライン様!どこですか〜!」
「いたら返事してください!」
そう叫ぶ声がたくさん聞こえた。
侍女、騎士、文官、側近⋯案の定というべきか、すでに捜索隊が出たあとだった。
もうすでに大騒ぎどころではないだろう。
そうひとりで考え込むシリルだった。
【お兄様、聞こえますか?これは念話です。対策会議をしましょう】
そういったのはアルだった。
そこから三人は念入りに計画を立てた。
結果論は、みんなの声を聞いている限りでは、女王夫妻は謁見の間で報告待ちしているそうなので、三人で転移魔法を使い、謁見の間まで移動し、お父様とお母様に謝ろうというものだ。
三人は顔を見合わせ覚悟を決めた。
『転移魔法』
しゅっっっっっん!
どっっっさ
『シル!アル!エマ!』
そう両親に言われ、我に返った三人だった。
「お母様!お父様!」
そういいながら、玉座を降りて眼の前に来ていた両親に飛びついたのはエマだった。
「今日ね怖かったの!」
そう言いながら泣きじゃくるエマを見て、ただ事ではないと判断されたようだ。
「エマをお願いできるかしら?」
そう言いながら、お祖母様にエマは抱っこされて、すぐに眠ってしまった。
「オフィーリア。私はこのままエマのお部屋に行きますわね」
そのまま、おっとりとした口調でその場を去っていった。
「さぁ〜て。シリル、アルフレッド?なんで私のかわいいエマちゃんが泣いているのかしら?説明しなさい!」
シリルの想像通りそう言われてしまった。
その後ろで、父は後ろで無言の圧力を放っていた。
さすが元軍人。威厳がすごい。
「あのですねぇ。えっと」
そう言いながら口を開いたのはシリルだった。
秘密の訓練場のことは絶対に話せない。
どうしよう。
僕は生まれて初めて本気で焦るというのを経験した気がする。
弟であるアルは泣き目になっていて、話にならないだろう。
だから、僕が自然という役割になってしまった。
兄はこういうときに辛い。
「シリル。なぜ答えないのだ?なにか隠し事でもあるのか?ここには3公と王族しかいない。話しなさい。何があった。そして、なぜお前の弟妹はこんなにも泣いているのだ?言いなさい。シリル・フォン・イグア・テーリア」
今まで黙っていた父だった。
「王命よ。シリル言いなさい」
母は王命まで使ってきた。
まだ立太子すらもしていない僕には逆らえるはずもない。
親子である前に、王と王子なのだから。
読んでいただき、誠にありがとうございます。
本作を読み「本作が面白い!」「続きが気になる!」と感じていただけましたらぜひ【ブックマーク】や【評価★★★★★】で応援してくださると幸いです。
今後も連載を続けていきますので、応援よろしくお願いします!




