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5話「危機到来」

「ねえ、エマ」


沈黙を破ったのはアルだった。


「なあに?アル」


エマは、顔を上げずに静かに返す。


「僕達はこの本を移さなくてはいけないね」

「そうだね」


二人は顔を上げ、黙々と書き綴る。


「ねえ、私たち本当に死んじゃうの?いやだよお」


エマは、我慢の限界が来て泣いてしまった。


「僕だって泣きたい。誰も教えてくれないから」


エマにつられてアルも泣き出してしまった。


「ハァ、ハァ、」


「エマ?ねえどうしたの。ってすごい熱!」


「アルもよぉ?」


「え?」


アルは自覚が芽生えた瞬間一気にその場にエマのように座り込んでしまった。


「しょういえばしゃあ、アリュ、いわれてたよね。わらちたち。感情が大きくかっれてしまったら、まじゅいって」


「そうらね、これはまじゅい」


「ひろ(ヒーロー)よばなくちゃ」


「ひろ(ヒーロー)なんているか」


「ここどこらとおもってるのエマァ」


二人は危機的状況だった。


ここは禁書庫。王族以外は入れない。

入れるのはお父様、お母様、お兄様、お祖母様と僕らぐらいだ。


「ネックレシュ!」


エマが叫ぶ。


「そうら!光ってる!よかった。」


双子は少し安堵する。


「しばらくしちゃら、助けてくれる」


「階段どうしゅるのかな?」


「というかしゃ、そもしょも、わたちがきんしょこいくってとちょだりぇもしんじてにゃいよ?」


双子は、一応通る時に言いふらしてはいたが信じてもらえないことを薄々わかっていたのだ。


「あ........」


ドサ!!!


ついに床に倒れてしまった。双子はかろうじて意識はあるが⋯


「アル〜!エマ〜!どこ?」


そんな声がしてきた。この声はお祖母様だ。

お母様のお母様だ。


「あぁ、どうしてこんなことに⋯」


高熱を出してその場に寄り添うように倒れる双子を見つけて、そっと駆け寄る。


そこからはあっという間だった。


「オフィーリア!リアム!シル!禁書庫よ。今すぐに入口に来て!あと、入口にヘレナと担架!侍女2と騎士4人!早くしなさい!」


そのまま双子はお祖母様に抱きかかえられた。


そこからの記憶がない。

どうやら意識をふたりとも失ったようだ。


『ここどこ?』


起きたタイミングも一緒。

「さすが」というべきなのか。


「エマァ?アルゥ!起きたのぉ!お母様!お父様!お祖母様!」


双子は、ベッドサイドを見てこう思う。

(え?なぜお兄様は泣いているの?)


「よかった。よかった。あぁ私の大切なアル、エマもう禁書庫に2人だけでいかないで!シルを連れていきなさい!」


双子は、混乱する。

(ん?どういう状況?これ?)


『どういう状況??』


ついに、双子は考えていた言葉がそっくりそのまま飛び出す。

条件反射のようなものだ。


「魔力が暴走して、意識を失って今日で3日目!この3日間生きた心地がしなかったのよ。無事でよかった」


泣きじゃくる母をなだめる父に、それを安堵したような表情で微笑ましそうに見る祖母。

母と全くおんなじ状況の兄。


「僕ね、あと一日目覚めなかったら、またアレを使うつもりでいたんだよ。よかった」


今目覚めてよかったと心から思う双子であった。

読んでいただき、誠にありがとうございます。


本作を読み「本作が面白い!」「続きが気になる!」と感じていただけましたらぜひ【ブックマーク】や【評価★★★★★】で応援してくださると幸いです。


今後も連載を続けていきますので、応援よろしくお願いします!

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