58話「目覚め」
「これでよしっと。おや⋯アル様にエマ様、目が覚めましたか。」
ヘレナはどういう手段を使ったのか、双子は全く泣いていない。
「呼吸器外しますね。」
ヘレナは今度はアルの方から呼吸器のマスクを外した。
そして、エマも同様に外された。
「起こしますね。これを飲んでください。甘くて美味しいですよ。」
ヘレナが調合した薬は、錠剤をすり潰して散剤にし、薬がよく混ぜ込まれた上にシロップがかけられたものだった。
「わかっちゃよ⋯」
エマは喋れるほどに回復していた。
それほどまでにエドの処置が適切だったのだろう。
エマは抵抗せずに、小さなコップに入った薬を飲んだ。
「おいちいねぇ〜⋯」
どうやら美味しかったらしい。
「良かったです。」
ヘレナはにっこりした。そして、エマの頭を先程よりも高くして寝かせた。
「次はアル様ですよ〜。起こしますね。甘くて美味しいですよ。」
ヘレナはエマ同様にアルを起こした。
「ほんちょうに〜?」
アルは疑っていた。エマよりも警戒心が強いのだ。
「えぇ。エマ様が飲めたのです。エマ様に飲めてアル様が飲めないわけがないですよね?」
ヘレナは笑顔の圧をアルにかけた。
すると、アルはヘレナが口元に近づけたコップから薬を飲んだ。
「甘くて美味しいでしょう?」
ヘレナはくすくす笑いながら言った。
「うん⋯」
アルは頷いた。
エマと同じように、先程よりも頭を高い位置にして寝かせた。
「アル様、エマ様。痛いとか苦しいとかありますか?」
双子はまだ起きていたので、起きているうちに問診が始まった。
「ちぇとね、あしがにぇいちゃいの⋯」
アルは答えた。
「わたちもたげろね、ここもにぇいちゃいのよぉ。」
エマが指さしたのは胸部だった。
おそらく息が苦しいと言いたいのだろう。
「あ、しょれぼくもよぉ!」
エマの意見にアルは賛同した。
「あちょはね、まんまえにぇ、ぐにゃぐにゃ!」
エマは答えた。
「そうですか。わかりました。」
ヘレナはベッドの側を離れ、部屋に置いてあるソファに腰掛けて、なにやら紙に羽ペンで文字を書き出した。
「殿下。あとでエドからのペンダントを貸していただけませんか?おそらく片方はベアトリクス様がお持ちなので。」
どうやら連絡を取りたいらしい。
「ああ、もちろんだ。」
シリルはペンダントを握りしめ、答えた。
「ひとまず、これは付けないとかな。アル様、エマ様。これつけましょう。」
ヘレナは再び呼吸器を付けた。
「お母様。只今戻りました。」
シェーリーンが戻ってきた。
「よく戻ってきた。しばらくは大丈夫だろう。ここを頼んだよ。私は3人と話があるからね。」
ヘレナはシェーリーンの肩を軽く叩き、頼んだ。
「へ?えぇぇぇ!私が?」
シェーリーンはすごく驚いていた。
「ああ、そうだ。なに、数分で戻る。殿下、キース様、ルーカス様。ちょっと来てください。」
4人は部屋を後にしたのだった。
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