57話「特殊魔道具」
「はぁぁ〜。リン⋯一旦部屋を出なさい。その涙が収まったら戻ってきなさい。」
シリルたちがあまりにもシェーリーンを注視しすぎたせいか、ヘレナが気づいてしまった。
大きなため息とともに、シェーリーンは一旦部屋を出るよう言われてしまった。
「おがあさっま!っで、でっも!っひっく。」
シェーリーンは大粒の涙を流しながら答えた。
どうやら涙もろいらしい。
母が来て緊張の糸がほどけてしまったのもあるのかもしれない。
「リンッ!」
再び調合をしながら、ヘレナはシェーリーンを叱った。
そして、静かに部屋を後にした。
「さてと、ちょうど薬もできましたし。」
皆の話の相手をしながらも、黙々と調合を続けていたヘレナ。
ようやく薬ができたらしい。
「よいっしょっと。」
ベッドの縁に腰を掛け、まずは先ほどシリルが針を刺したものと同じ魔道具をもう一度使うようだ。
「『洗浄』。これで完璧ですね。」
ヘレナは先程使用した魔道具を魔法で綺麗にした。
そして、シリルたちよりも圧倒的に手際よく組み立てていく。
「あっという間ですね。」
ちょうど2つ組み立て終えた頃、ルーカスが言った。
「慣れたものよ。このくらいね。」
ヘレナの早さは異常だった。
おそらくキースが1つ組み立てている間に、ヘレナなら3つか4つは組み立てられるだろう。
経験値の差が歴然だった。
「殿下。そっちの棒の先にこれをかけてください。針には触れずに、管を持って待機していてくださいね。」
ヘレナはエマの方に座っていたので、アル側で待機していた3人の中で一番棒に近かったシリルに頼んだ。
「わかった。」
高さはシリルの背丈と同じくらいだった。
先程よりも低くなっている。なぜだろうか?
「かけたよ!」
シリルは瓶を逆さまに吊るした。
「少々お待ち下さい。」
ヘレナは棒の下の方に触れると、いきなり棒が伸びた。
あの棒も魔道具なのだろう。
そして、先程は右腕だったが、今度は右の手の甲に針を刺した。
「お待たせしました。殿下、ください。」
エマに針を刺し終えると同時に、素早くアル側の魔道具を持っているシリルに声をかけ、先程同様に針を刺した。
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