51話「超人」
3人はしばらくベッドの端に座り、呆然としていた。
「シリル様。そろそろ15分経過します。」
体温を測る時間が来てしまったようだ。
右腕には針が刺さっているので、左側に体温計を当てて測る。
「ピピピッ」
10秒ほどで大きな音が鳴った。
「頼む、下がっててくれ⋯」
3人は見たいような見たくないような、なんとも言えない複雑な気持ちで結果を見た。
「アルが39.8に、エマが39.7だ!」
熱は下がっていた。
「やった!」
「これでひとまず安心でしょうか?」
「あの瓶が空になるまで、まだまだ時間がありますね⋯」
3人はひどく安堵した。
「殿下!聞こえますか?」
いきなりエドから連絡が飛んできた。
「陛下たちに状況を報告いたしました!すると、『長期戦に持ち込めないわね。情報収集したかったけど、短期戦で片をつけましょう。本陣を潰すわよ!』とおっしゃいまして、突撃されました。あのままいくと、2時間以内にこちらに軍配が上がるかと。」
なんと、情報収集するために長期戦に持ち込むつもりが、双子の容態が心配すぎて早々に決着をつける方針に変わったらしい。
「あと、私ももうすぐ着きます。屋敷周辺の賊15人程度を片付けますので。あと5分くらいでしょうか?」
ぶっち!
通信が切られた。
「よかった!」
「ルーカス、シリル様。思ったこと言ってもいいですか?エドはどんな強さなのですか?1:15を5分以内とか⋯」
キースは疑問に思った。
シリルは知っている。
あの父が、精鋭中の精鋭でもない者を側仕えとして置くはずがないことを。
それに、通学時の馬車の護衛は誰もいないということを。
父がよほど信頼している影なのだろう。
でもこれは言えない。
「僕も知りたいさ。」
シリルは適当に受け流した。
「本当に良かったです。山場を乗り越えられたようで。」
皆は一安心していた。
「すみません!お待たせしました。」
エドが戻ってきた。まだ3分くらいしか経っていない。
「返り血ついていないなんて、急いだ割には気がきいてるな。」
シリルは言った。
「ああ、遠距離からなので大丈夫ですよ。」
遠距離とは一体どんな戦法なのだろう?
「さてと、アル様とエマ様のご容態は?」
エドはベッドの横に駆け寄った。
「さすがですね。設置は完璧です。でも、精霊石には定期的に魔力を込める必要があるので覚えていてくださいね?今、呼吸器の性能が落ちていますから。」
失念していた。気が動転しすぎて肝心なところが抜けていた。
でも、ぱっと見ただけじゃわからないのに、どうやってエドは初見で気づくのだろうか?
「あと、なぜ針が刺さっている右腕はともかく、左腕を布団の中に入れないのですか?」
実は、先程体温を計測してからそのままだったのだ。
ダメ出しを食らってしまった。
「ごめんなさい。」
「すみません。」
「申し訳ない。」
3人は正論なので反論できないのであった⋯
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