48話「衝撃」
「この紫の液体でなんとかなるでしょうか?そうですね〜。どのくらい投与すればよいでしょうか?悩みますね。」
エドは量で悩んでいた。
「本当に大丈夫なんだろうな?」
シリルを含め皆は心配していた。
「大丈夫ですよ。たしか⋯アル様とエマ様って5歳ですよね?」
エドは確認したいのか知らないが、シリルに尋ねた。
「そうだよ。」
シリルは答えた。
「なら、致死量の半分でいいか。」
適当すぎる⋯。
「シリル様。試しに魔法で水を出してから、お二人に飲ませてみてください。」
エドにはなにか考えがあるようだ。
「あ、ああ。わかった。」
シリルは魔法で水を生成し、二人の体をルーカスとキースに起こしてもらい、飲ませてみた。
「ごほっ、ごほ!」
二人はむせてしまった。水もほとんど飲んでいない。
「これは何をするために?」
シリルは問いかけた。当然だ。弟妹がこんなにも苦しそうにしているのに。
「薬を自分で飲めるか、飲めないかでぜんぜん違うからね。これは注射だね。」
水を自力で飲めるかどうかで調べていたようだ。やはりエドは冷静だった。
「ふんふ、ふん〜。」
エドは手際よく注射の中に紫の液体を入れていく。
「これでよしっと。」
あっという間に2つの注射ができあがった。
「シリル様。注射を刺した後にあの魔法使っても構いませんよ?」
エドは血統魔法のことも知っているようだ。
「それは助かるな。」
シリルは感謝した。
「キース様、ルーカス様。二人の体を起こしていただけますか?シリル様は私の手伝いを。」
エドは手際よく指示を出す。
キースはアルを。ルーカスはエマを起こした。
「な〜に?」
「どーしたの?エドオ?」
2人は起きてしまった。意識は朦朧としていた。
「アル様。ごめんね。少しチクってするよ?」
アルに紫の液体が入った注射器を刺した。
「いちゃい。う、うわああん!」
アルはたちまち泣き出してしまった。
「シリル様!」
エドに言われるまでもなく、シリルはすかさず血統魔法を使う。
「エマ様。ごめんね。ちょっと我慢してね。」
エマに紫の注射器が刺された。
「なにしゅるの!いやぁ!うわあああん!」
エマは抵抗したが、ルーカスに抑えられてあっけなく刺された。
「シリル様!」
シリルは大忙しである。
双子の大きな泣き声だけが部屋に響いた。
「安眠魔法。」
エドは双子を強制的に魔法で眠らせた。
「さてっと。この魔道具を知ってるかい?」
なんだか細長いよくわからない魔道具だった。
「初めて見ますね。」
「なんでしょうか?」
「わからないな。」
3人とも知らなかったらしい。
「これは人の身体の温度を測る計測器だ。略して体温計。あんまり普及してないからね。僕達人は36℃前後だ。」
そう言うと、2つあった体温計をそれぞれアルとエマの脇に入れた。
「ぴぴぴ!」
ほぼ2つが同時になった。なるまでに10秒ほどだろうか?
「うわー。」
その温度を見てエドは絶句した。
「何度なんですか?」
シリルは尋ねた。
「アル様が40.3℃に、エマ様が39.9℃ですねー。」
どうやらかなり体温が高いらしい。
「これからどうするのですか?」
シリルは聞いた。
「んー。15分おきに測って、皆さんが戦闘から帰られても下がらないならヘレナ師匠連れてきますよ。そこまでになると、どうしようもないでね。」
これで下がるのを祈るしかないということか。
「取り敢えずですね、水に浸した布を額に当てて、置いてください。定期的に冷やしてくださいね。あと、シリル様。いくら苦しそうだからといって魔法を使うべきではありません。初期ならば良いのですが、ここまで来ると逆効果なので。」
双子の症状はそれほどまでに重篤なのだろうか。
「しばらく様子見ますか。このペンダントを渡します。もしもなにかあったら、魔力を込めてください。僕がすぐに戻ります。ちょっと戦闘の方の現場を知りたいし、師匠に連絡しなくてはなりませんから。あと、陛下たちにもね。でもこの事情を誰かに伝言してもらうわけにも行かないので、ぱぱっと戻ってきます。20分くらいお待ち下さい。」
この状態の双子を置いていくのか。そう思ったが、この秘密を無闇矢鱈に言っていいものではない。なので仕方がないと思う。おそらく僕達3人が向かったとしてもやられてしまうだろう。
「早く戻ってこいよ。」
シリルは行ってもらうことにした。
「はい!」
そのままエドは姿を消した。
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