46話「無力」
「リカ、シリル、アル、エマ!早く馬車の中に!」
ヴァルドは叫ぶと、馬車から飛び出していった。
残ったのはベアトリクス、キース、ルーカス、3兄妹、オフィーリア、それに精鋭の騎士10人と魔術師15人だった。
「敵本陣へ突撃するぞ!」
「おっおお〜!!!!!」
ヴァルド達の部隊はあっという間に森の中へ消えていった。
「ベアト。魔法で援護できる?」
「ああもちろんだ、アリス!」
二人は息ぴったりだった。
「キースにルーカス。私の子供たちを頼んだわ。あと、ベアトリクスの魔法で目隠しするから離宮へ逃げなさい。王命です。」
オフィーリアまでもが飛び出していってしまった。
オフィーリアとベアトリクスは後衛で魔法による援護に回った。
「ベアト!馬車を!」
「アリス!水でいいよな?」
ベアトリクスの魔法によって馬車が水で覆われた。
「アル、エマ。お願い。」
俯きながら、シリルは頼んだ。王命は絶対だ。
「転移魔法」
離宮のアルとエマの部屋の大きなベッドの上に、皆一緒に落ちた。
ぼふっん!
「お兄様。僕だって戦えるのに。なんで、なんで!」
アルは泣いていた。
「私もよ。」
エマまで泣き出した。
「ああ、そうだな。」
シリルは二人を抱きしめながら、申し訳なさそうに言った。
キース、ルーカス、シリルは天井を見上げていた。
「ルーカス。僕達、本当に足手まといだったんだね。」
キースがルーカスに言った。
「みたいだ。少しでも戦力になると思ったのだが。」
ルーカスも落ち込んでいた。
「ねえ、お兄様。僕達は無力だね。何にもできない⋯」
シリルはだんまりしていた。
「そうよ。少しは戦力になったのに。どうして!」
二人は泣き叫んでいた。
5人はベッドの縁に座り、落ち込んでいた。
「おにいしゃま〜。どうしてなんれふか?」
アルは疑問を兄に投げかけた。
「ん?おい、アル。呂律回ってないよね?ってことはエマも⋯」
シリルは顔をしかめた。
ルーカスとキースはまだ状況がわかっていない様子だった。
「は〜い。なぁに?」
明らかに様子が変だ。
「嘘だろ。おいおい。取り敢えず寝かせるか。」
シリルは双子をベッドに寝かせた。とにかく困っていた。
「殿下、どうしたんですか?」
キースが不思議に思い尋ねた。
「キース、ルーカス。二人の額を触ってみろ。」
シリルの言ったとおりに二人は従った。
「アッツ!」
「うっわ。」
2人はそのことの重大さにやっと気づいたようだった。
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