45話「議論」
「リカ、シリル、アル、エマ!早く馬車の中に!」
ヴァルドは叫んだ。
4人は一斉に馬車の中に入る。
双子は、オフィーリアに抱えられる。
「皆、一瞬耐えてくれ!防御魔法と風壁を解除だ!」
ヴァルドの声に合わせて護衛が一斉に動いた。
すると、周りには50名近くの騎士と魔術師が来ていた。
「無事ですか!」
その援軍の中心にいたのはベアトリクスだった。
そしてなぜかルーカスにキースもいる。
「ベアトリクス。なぜキースにルーカスを連れてきた⋯」
ヴァルドは怒っていた。
その声は普段以上に低く威圧感を放っている。
「行くって聞かなかったんだ。」
ベアトリクスは呆れながらも答えた。
「足手まといでしかない。」
ヴァルドは絶対零度というような反応を見せる。
「お父様。さっきから思うのですが、皆を転移魔法で移動させるわけにはいかないのですか?」
アルはヴァルドに聞いた。
「それは思ったよ。しかしだな、騎士と王家を避難させる分にはいいんだ。でも残った盗賊はどうするんだ?また奴らは誰かを襲うぞ。だからここにとどまって一網打尽にしたほうがいいと思ったんだ。」
ヴァルドは盗賊を捕まえるつもりらしい。
「盗賊もろとも転送しちゃえばいいじゃない。気絶させて。アルと2人ですれば大変じゃないよ?」
エマはアルに賛同した。
「だめだ。転移魔法の発動条件は、今視界に入ったものおよび触れているものだろう?つまり盗賊に近づかないといけないんだ。それは危険だ。」
たしかにそのとおりだった。いくら双子でも世界の理は曲げられない。
「なら風魔法で捕まえて上空にあげちゃえばいいんだよ。そうすれば見えるから転移魔法で送れるでしょ?」
アルは反論した。確かにそうしてしまえばいい。
「だめだ。それは王立騎士団に送るつもりだろう?だが、一度に空から降ってきたらそれもそれで困るし、後処理が面倒なのだ。」
ぐうの音も出ない。
「それにだ。そんなにたくさんのものを送ってしまうと、アルとエマの力がバレてしまう。今はあまりにも世間一般常識がないから、まだ隠し通しておきたい。」
ようやく父が頑なに拒んだ理由がわかったような気がした。
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