43話「懸念」
「あ!エドだぁ!」
「どこどこ?本当だ!」
御者のエドが王家の馬車の前で待っていた。
「お待ちしていました。」
エドは双子の声に気づき、脱帽して馬車の扉を開けて待っていてくれた。
「エド。貴方の両親からお手紙を預かってきましたわ。」
彼の両親は王宮で働いている。女王が手紙を持ってくるくらいだ。よほど側近として仕えているのだろう。
「陛下自らですか!?ありがとうございます。」
エドは女王自ら手紙を渡され驚いたようだ。
「さてと。アル・エマ。お母様とお父様のお膝の上においで。」
この馬車は本来4人乗りだし、オフィーリアのドレスが場所を取るので、アルとエマは両親のお膝の上なのだ。
「お母様とお父様。私もお膝に乗せたいです。」
シリルはせがんだ。
「だめよ。危ないもの。」
しかし、あっけなく却下された。
「ところでお母様〜!護衛はいないのですか?」
エマは母の膝の上から尋ねた。
「そういえばそうね。リアム、どうなっているの?」
オフィーリアはヴァルドに聞いた。
「ああ。家族の時間を四方八方から聞かれたくなかったのでね。まあ気にするな。影と精鋭の騎士合わせて36人が少し離れたところから見ているから。明確な敵意がある者が現れたときや危険が迫ったときのみ近づいて構わないし、攻撃魔法も使ってよしって言ってある。」
抜かりないようだった。
「さすがリアムね。」
オフィーリアは少し誇らしげだった。
「だが、心配だよ。この時期、新入生一家を狙って盗賊が増えるのでな。」
この時期は入学するために寮に荷物を運んでいる馬車が多いからだろうか?それを懸念しているようだ。
「こんな暗いお話、入学式の後でしょう?もうやめましょう!お父様、家族五人で馬車に乗るのははじめてでは?」
シリルは話題を変えることにした。
確かに来るときもバラバラだった。
「あら?昔、王城の端にピクニックに行ったときに乗らなかったかしら?」
オフィーリアは疑問に思い尋ねた。
「何言ってるの〜?あのときは僕の魔法で行ったんだよ?」
アルはきょとんと首を父の膝の上でかしげた。
「あら?そうだったかしら?」
オフィーリアはあやふやなようだ。
「お母様。多分僕と家族3人で行っていた……いや。アルとエマがお腹にいた頃に5人でよく行った、あの同じ場所のピクニックじゃない?あの頃は馬車で行ってたから。」
これはアルとエマがわからなくて当然だった。
「そうね!たしかにそうかもしれないわ!」
オフィーリアは納得した様子だった。
「ああ。それはそうと。アルとエマ。君たち生徒か……わ!」
いきなり大きな衝撃とともに馬車が停止した。
「はぁ〜……ほらな、シリル。俺の懸念が当たったろ?」
ヴァルドは大きなため息とともに頭を抱えた。盗賊の襲撃だ。
「お父様。どうするの?」
シリルは不安になり、隣に座っていた父の腕を掴んだ。
「心配ないさ。護衛がなんとかしてくれる。負けることはないだろう。」
ヴァルドは自信満々だった。
アルとエマは不安ながらも魔法で探知魔法をかけた。
「お父様……これちょっとまずくないですか?」
アルは不安げに答えた。
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