↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/60

41話「降りれない」

「皆さん全員そろいましたか?」


ジルレーナは言った。


「はい。アストン先生」


みんなから元気な返事が返ってきた。


「コース選択は決められた方から、前にあるこの紙にご記入の上ご提出ください。」


前には真っ白の紙が40枚程度あった。このSクラスは入試成績上位者30名で構成されている。Sクラスはほとんどの人が卒業するのだとか。まぁ、自分の研究に明け暮れて単位のことをすっかり忘れている人も中にはいるそうだけど。


「先生、紙を2枚ください。」


アルはエマの分までもらいに行った。


「どうして?1枚でいいでしょう?」


アルが2枚要求したことを不思議に思ったようだ。


「エマと僕の分です。」


そう言うとジルレーナは席に座っているエマに視線を向けた。

エマはコクリと頷いた。


「わかったわ。2枚どうぞ。その代わり、渡すときは一緒に来てね。」


先生は快く2枚くれた。流石に提出は手渡しでないとだめらしい。


アルは席に戻ると、


「エマ。わかってるよね?」


アルは再度エマに確認を取った。


「ええ、もちろん。」


紙にはコースが書かれており、それに◯をつける形式だったので、効率重視の双子は全体を覆う大きな大丸を書いた。


「書いた?」


エマはアルに聞いた。


「ああ。」


今度は2人一緒に行こうとした。


アルは自分の胸くらいある長椅子に、さらにクッションでかさ増しされて高くなってしまった椅子から慎重に降りた。この教室はいろんな学年が使う時があるようで、1年生にしては机と椅子が高いのだ。みんな足がついていない。


「エマ?」


アルはいつまでたっても椅子から降りないエマを心配して声をかけた。


「怖いから嫌だ。」


エマは怖いらしい。


「この間あんな崖から落ちたのにか?」


エマはこの間、こんなの比ではないほどの大絶壁から落ちて生還している。なんともないはずなのだ。


「だってさアル。あれは落下までに時間があるけど、これは一瞬だし、着地地点は階段みたい。その上一歩間違ったらお隣の机に頭ゴンだよ?クッションはずれるし。アルみたいに上手に降りれない。」


たしかにその通りだ。困ったことにこんな公衆の面前だし、貴族やその側近もたくさんいる。そんな中で魔法を無闇矢鱈に使うわけにはいかないのだ。


「困ったな。僕じゃエマを受け止めきれないし。」


おそらく身体強化していないアルが受け止めるとバランスを崩すだろう。


このとき、この会話を聞いていたジルレーナは、手を貸そうか貸すまいか非常に悩んでいた。


「どうしたの?エマ。」


見かねたシリルが後方の保護者席を抜け出して来たのだ。


「あのね、お兄様。怖くて降りれないの。」


エマは正直に言った。


「アル。アストン先生の方に先に行ってくれる?」


シリルはアルをジルレーナの方に向かわせた。


「わかったよ。」


アルは移動した。


「エマ。大丈夫だから降りよう?」


シリルはそっとエマの腰に腕をまわした。


「うん。」


エマはアルよりは安心と思い、おろしてもらうことにした。


返事をすると同時に、エマの体は軽々と持ち上がった。

次の瞬間には床に足がついていた。


「行ってらっしゃい。アルが待ってるよ。ほら。」


シリルがしゃがんでアルの方を指差すと、アルはエマを待っていた。


「ありがとうお兄様!」


エマはお礼を言ってアルの方へ歩いていった。このときのシリルの顔は崩壊していた。


「これお願いします。」


「私のも。」


二人は無事に出せたのだった。


ここでまたも問題が発生した。椅子に登れないということだ。


「お兄様。まだいたんですか?」


アルはまだ自分たちの席の横でニコニコしながらしゃがんでいるシリルを見て言った。


「まあまあ。この椅子座れないだろう?」


シリルの意見はご尤もだった。


「僕は座れるよ?」


アルはさっき座れたのをいいことに反論した。


「アルだってさっきはよじ登っていたじゃないか。危なっかしいんだよ。それにエマは?」


シリルは正論を言った。


次の瞬間、アルはシリルによって反論する暇もなく持ち上げられていた。そしてクッションの上に置かれた。


「ちょっとお兄様!」


アルは何でも自分でしたいので反論する。


「次はエマだね〜!」


アルの意見など眼中にないシリル。


エマもアルと同じようにクッションの上に置かれた。


「アストン先生。お騒がせしてすみません。」


シリルは騒がせたことを先生に謝り、保護者席に戻っていった。


この学園はクラスのランクによる格差はあれど、実力主義なので身分は関係ないのだ。


「ちょっと!シリル。私もしたかったわ!」


「本当にそうだ。」


両親が「私も抱っこしたかった」と反論していたのは聞かなかったことにしよう。うん。それがいい。

読んでいただき、誠にありがとうございます。


本作を読み「本作が面白い!」「続きが気になる!」と感じていただけましたらぜひ【ブックマーク】や【評価★★★★★】で応援してくださると幸いです。


今後も連載を続けていきますので、応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。