↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/55

39話「偽名」

一家は移動して今はシリルの自室に、防音結界と防御結界を張って、お昼ご飯が運ばれてくるまでソファーでくつろいでいた。


「どーしてっ来たんですか?!」


シリルは吹っ切れていた。


「リカが行きたいって言うから。それにシリルの時だって止めるの大変だったんだぞ」


ヴァルドは言った。


「もう。愛しい我が子の入学式を、なぜ来賓から見ねばならないのですか?これくらいのワガママはいいでしょう?シリルのときは我慢したんだから。ねえリアム?」


実に大人げないオフィーリアだった。


「お母様、前から気になっていたのですが、なぜお父様のことをリアムと呼ぶのですか?それにお父様もリカとお母様を呼ぶのですか?」


エマは思い切って聞いてみた。前々から疑問に思っていたことだ。


「あら?私達の本名知らないの?私はオフィーリア・アン・フレデリカ・テーリアが本名なのよ。フレデリカだからリカって呼ばれてるわ」


「俺は、ヴァルド・フォン・リアム・テーリアだからリアムだ」


なんと、両親は互いのことを愛称で呼んでいたらしい。

道理で意見が食い違うわけだ。


「ちなみにね、貴方たちの本名はシリル・フォン・イグア・テーリア、アルフレッド・オーウェン・ブライアン・テーリア、エメライン・ローズ・キャロライン・テーリアですよ」


オフィーリアは笑いながら教えてくれた。


「なんで王族の名前がやたら長いか知ってるか?」


突然の父からの質問だった。


「知らない」


「なんで?」


「わかんない」


3兄妹は知らなかった。


「リアム。私が解説するわ〜。あのね偽名に使えるからよ。シリルならリール、ルカ、イグアあたりかしら?アルならオーウェン、ブラル、イアンかしらね?エマはローズ、キャルル、ライナとかかな?今言った名前を覚えておくといいわ。何かあったときに使えるから。私はね、フィユ、アローズ、デリカとかかしら?まあよく使うのはフィユだけどね」


確かに王族は立場上偽名を使うことも多いだろう。


今までは名前が長くてややこしくて言い難かったけど、こんな理由が仕込まれているのならば喜んで使う。


でもお母様は3つ以上偽名があるようだし、一体普段どんな仕事をしているというのだろうか?疑問だ。


「リカ。そろそろ進路の話をしないとだろう?」


脱線しまくったのを元の軌道に戻したのは父だった。


「アルとエマはどれがいい?剣術・魔法・体術・商売・経営・戦略・法学・礼儀・医学・情報の中から選んで!」


シリルは言った。


「ちなみに僕は全部だね。将来のこと考えたらそうなってしまったよ。」


なんと!意外と身近なところに同じ選択をする人はいるんだ!


「もちろん全部だよ」


「私も」


二人は兄と同じ選択をした。


「え?嘘でしょ。やめたほうがいいよ?」


両親と兄はあまり良く思っていないようだ。


それもそうだろう。


2人は死と隣り合わせで生きているんだから。

シリルのように健康体ではない。

そんな2人が無理をしてしまうことを恐れているのだろう。


それだけ双子は愛されていることなのだ。

そのことを本人たちもよく理解している。


だが、引きこもり研究人生を送るためには早々に学校を卒業する必要があるのだ。

すべてを受ければ絶対に単位は上がる。


それにハンス様は言っている。

居眠りしていても満点が取れるって。


そのことが今も変わらないのならば単位はうなぎ登りで取れるだろう。


ある噂がある。

それはシリルが飛び級できる単位を有しているにも関わらず、飛び級しないというものだ。

おそらくそれは僕達の入学を待っていたのだろう。


「嫌だ」


「これは譲れない」


いつまで持つかわからないこの体だからタイムリミットはそう遠くないだろう。


それまでに研究できることをできるだけ多く時間を確保せねば。

これだけは譲れない。


「わかったよ」


シリルは了承したけど、問題は両親だった。


「シリルがそう言うなら⋯」


オフィーリアも許したけど、父は未だ渋っている。


「ん〜。よし。3人の誰か一人が卒業するまで、王家の影の精鋭を3人それぞれに常時2人ずつつけるなら許そう」


それは嫌だ。なぜなら夜ふかししていることがバレてしまうし、夜な夜な魔法の研究をしているのがバレてしまうのだ。冗談じゃない。


「それは嫌だ」


意外なことに否定したのはシリルだった。


「お父様、大体僕達は離宮通いなんですよ?せめて学園内と登下校中だけにしてください。離宮の使用人はほぼ影ではありませんか。ただでさえ護衛されているというのに、これ以上警備を増やしてどうするのです?それに離宮の者はみな精鋭でしょう?離宮以上の者を送り込んでしまったら、離宮の者が悲しみます。僕は1年と少しお世話になり、良くしていただいた方々を悲しませたくありません。いくらなんでも親バカすぎます」


シリルは真正面から正論をぶつけた。横でオフィーリアは苦笑していた。


「ぐっ。そうだな。仕方ない、その案に乗ろう。でもなシリル。親バカは余計だ」


シリルの案により、夜の秘密の研究タイムを奪わなくて済んだ双子であった。

読んでいただき、誠にありがとうございます。


本作を読み「本作が面白い!」「続きが気になる!」と感じていただけましたらぜひ【ブックマーク】や【評価★★★★★】で応援してくださると幸いです。


今後も連載を続けていきますので、応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。