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38話「科目選択」

「アル!エマ。お待たせ!想像以上に時間かかっちゃった」


シリルは息を切らしながら現れた。その後ろにキースもいる。


「さ、見に行こうか。クラスを⋯まぁ確認しなくてもいいだろうけどね。首席は絶対にSだろうね」


シリルの予感は当たっていた。

Sクラスだ。


その横には、入試の各科目上位20名の名前と結果が貼ってあった。そして、双子の欄はすべて「測定不可能」と記載されていた。


「あはははは!測定不可能なんだ!私の弟妹は」


シリルは笑い転げていた。


「シリル様の印象変わったかも⋯」


「あんなふうに笑うお方だったのね」


「冷血かと思っていたけどそうではないのかも⋯」


お兄様は学園で一体どんなふうに振る舞っているのだろうか?


「んっん!Sクラスおめでとう。一緒に行こう」


なんだか、公私が混同しているようだ。


しばらくして、ひときわ存在感のある扉を開くと、大きな黒板が置かれており、その前に階段状に机と椅子が並べられていた。


3兄妹が入室すると大きなどよめきが起こった。

シリルはすかさず後方の保護者席へ移動した。


双子は当然黒板前の最前列に、クッション付きの特別席だった。

二人は不満そうだが、きっとシリルが手配したのだろう。本人は満足げだった。


「皆さん揃いましたね。自己紹介をいたしましょう。私はこのSクラスの担任を務める、ジルレーナ・リン・アストンです。アストン先生とお呼びください」


中年の女性だった。

メガネを掛けていて、黒色のカジュアルなワンピース姿。


魔力量もとてつもなく多い。

ジュリア先生と同等かそれ以上だろう。


アストンといえば伯爵家。

女伯爵で、夫が早くに亡くなったため長男との間をつなぐ形で伯爵になったはずだ。

領地経営も優秀で財政はうなぎ登り。

絶対に多忙な人だ。


「では、次に皆さんの自己紹介を⋯」


コン、コン。


先生が皆に自己紹介を促そうとした瞬間、扉がノックされた。


「どうぞ。お入りください」


ジルレーナは入室を許した。


ゆっくりと扉が開かれた。


「遅れてしまってごめんなさいね。アル・エマ。服装を着替えていたの」


そこに現れたのは女王夫妻だった。


正装から普段着に着替えているのは本当らしい。

その場は一同騒然である。


しかし、貴族や令嬢よりも驚いていたのは3兄妹だった。


「陛下!どうしてここに!」


真っ先にシリルが叫んだ。

今は公務外なので陛下でなくてもよいはずなのだが、なぜか母のことを陛下と呼んでいる。


「お母様、お父様?なんで?」


「え?」


双子は困惑していた。


兄から両親は来れないと聞いていたし、自分たちも当然そうだと思っていたからだ。


「ああ、ジルレーナ。今日は『生徒の保護者』として私とリアムは来ているの。だから特別扱いしなくていいわ」


オフィーリアはきっぱりと言った。


「え、?陛下⋯わかりました。では今からコース選択のお話をいたします。」


ジルレーナはとんでもなく困惑していた。

否、当然だ。


普通、王族や大貴族は親ではなく執事や補佐官などの信頼できる部下を説明会によこす。


だが、なぜかテーリア王家が勢揃いしている。


シリルが来ただけでも驚きなのに、今度は女王夫妻まで。


教師が驚くのも無理はない。

先生は驚きのあまり、みんなの自己紹介をすっかり忘れてしまっている。


「10個すべてを詳しく解説いたします」


先生は解説を始めた。


「1つ目は剣術です。ここでは主に剣の扱い方や技、俊敏性などを磨きます。将来近衛騎士団などの騎士になりたい方は選んだほうが良いでしょう」


スピードは早くなって損することはないな。


「2つ目は魔法です。ここでは魔力の扱い方や魔法陣の書き方、魔法の習得など、魔法に関すること全般ですね。この学園の研究者となった方は大半がこのコースを選択されております」


魔力の扱い方!

ベアトリクス先生は応用的なことしか教えてくれなかったから、基礎の基礎を学べるかもしれない。


基礎ほど応用がきき、学べるものはない。

何事も基礎が大切だ。


まあ、双子はそれを全無視して育ったようなものだけど。


「3つ目は体術です。これは主に護身術ですね。護衛がいなくともある程度は自分の身は自分で守れるように。と習う方は多いですね。体術では簡単な身体強化魔法も習いますよ。なので、剣術と一緒に選択される方が多いですね」


体術か。

これは誰からも教わったことないな。

剣術と似たようなものだろうか?


身体強化は習得済みだが、これは今後役に立つかもしれない。

シリルが昔涙ながらに言っていたたあの危険もあるのだし。


「4つ目は商売です。ここでは投資の仕方や鑑定技術や交渉術などを学びます。結構、領地を運営する際に商会とセットで経営される方は多いように思います」


商売か。


詐欺師に騙されないようにするのも手かもしれない。

それに実験材料はお金がかかる。

王家から出してくれるだけでは絶対に足りない。


商売でもして研究費にするのはありかもしれないな。

交渉術はあって損はしないだろう。


「5つ目は経営です。これは主に書類仕事や税金のこと。などの領地運営や商会運営などをされるときに使う基礎的なことを学びます」


これは必須だな。

絶対に役に立つ。


「6つ目は戦略です。この大陸は長年魔物と魔族によって侵略され続けています。それを守るための戦略や運営をするうえでの戦略など、内容は多岐にわたります。良く剣術や経営、商売などと同じにする人が多いですね」


戦略か.......なんかかっこいいな。


「7つ目は法学です。この大陸にはテーリア王国・ヴィルトーナ帝国・リベルニア商業国・セルリア皇国といった4つの国が存在します。今から80年ほど前に4カ国同盟ができました。その時に4カ国共通で作られた法律⋯ヴィリアセ法典というものがあります。これは4カ国のそれぞれの国名をもとに名付けられました。ヴィリアセ法典を主に学んでいきます」


なにかいちゃもんを付けられたときの反論としてありかもしれない。


「8つ目は礼儀です。これはほぼ全員が選択します。礼儀作法の基礎を学びます」


これは将来家族に、みんなに迷惑かけないために必須だな。


「9つ目に医学です。薬草の種類や毒草の種類。応急処置の仕方、治癒魔法の効率化などを学んでいきます」


薬草は楽しそうだ。

将来この体をなんとかできるかもしれない。


「10つ目は情報です。これは主に情報収集や情報のまとめ方、情報の正確さなどを見極めることを学びます」


情報か。

あって損はないな。


「以上10の中から最低5つ、最高10個を選択していただきます。今からちょうどお昼休みなので、ご家族の方とよく話し合いお決めになってください。今から2時間後に始めますので、それまでにまた同じ場所にお越しください」

読んでいただき、誠にありがとうございます。


本作を読み「本作が面白い!」「続きが気になる!」と感じていただけましたらぜひ【ブックマーク】や【評価★★★★★】で応援してくださると幸いです。


今後も連載を続けていきますので、応援よろしくお願いします!

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