37話「入学式」
「ねぇアル。お兄様に待っといてねって言われたよね」
「だね。待とうか」
プラチナホールの出口付近は、新入生と保護者でごった返していた。
けれど双子の周囲だけは、なぜかぽっかりと空間が空いていた。
誰も近づこうとしない。
否、近づけないが正しいのだろうか。
「……なんか、見られてるね」
エマが小声で言った。
あの日選んだドレスとスーツを着用し入学式に挑んだ。
「これより王立学園入学式を開催する!」
今年は例年よりも華やかに行われた。
「新入生一同起立!」
司会の若い女の先生の声に合わせて立つ。
「校長より挨拶です。」
その声に合わせて、70代くらいだろうか?そのくらいのおじいさんが出てきた。とても威厳があって貫禄がある。
「皆さんご入学おめでとうございます!私は校長のコルデーヌ・カルレ・サン・ジェニュインです。今日この良き日に皆さん324名の入学者を迎えられたことをたいへん嬉しく思います。私のことは長いのでカルレ先生とお呼びください」
校長の挨拶が終わったようだ。
「続きまして、生徒会長及び副会長よりご挨拶です」
キースともう一人男の人が出てきた。その男の人は青色の髪と眼を持つ美丈夫な人。
「はじめまして。生徒会長のレジナルド・ヴィンセント・エドワード・セルリアだ」
セルリアといえば、テーリアの隣国の皇国だ。
しかも、この名前は国王の末弟で優秀だがサボり癖のある人じゃないか!たしか第3王子だったか?
「私は副会長を務めております。キース・フォン・セルヴァンと申します」
キースだ!
「では、今から簡単にこの学園の仕組みをお話いたしましょう。」
どうやらレジナルドは水魔法の使い手らしい。
大量の水がステージの上に作られたかと思うと、いつの間にか水が大きなスクリーンになっている。
どうやら水に何か入れていた粉で固めたらしい。
そのままキースの風魔法によっていろいろな紙が持ち上げられ、話が始まった。
「まず、我が校は選択授業制です。10ある科目の中より5つ以上を選んでいただきます。そして、その都度の成績に合わせ単位が得られます。その単位が多い人は飛び級試験を受けることができます。10ある科目は、剣術・魔法・体術・商売・経営・戦略・法学・礼儀・医学・情報以上の10より選んでいただきます。なお、すべてを選ばれても構いません。ただ、単位は多く得られますが、課題等が重なるのであまりおすすめはいたしません。ですが、必修授業は時間が被ることはありません。なお、その学年の必須単位を得なければ退学となります」
【エマ……聞こえる?】
【もちろん】
【すべて選ぶよね?】
【当たり前でしょ?】
双子は10すべてを選択するようだ。
「昨年、1学年飛び級をした人が4名。2学年飛び級した人が1名。昨年の1学年の進級者は全321名中206名となっております。なお、例年卒業者は50名前後です。あと、クラス分けはS・A・B・C・D・Fクラスです。成績順ですね」
かなり狭き門のようだ。
「これで、生徒会からの学校説明を終わります。皆様も卒業目指して頑張ってください」
そう言うと、ファイヤーボールでスクリーンは蒸発し消えた。
「次に、我がテーリア王国女王オフィーリア様より、お祝いの御言葉を頂戴いたします」
奥から正装姿のお母様が現れた。
「新入生の皆様こんにちは。ご入学おめでとうございます。学園生活がいよいよ始まりますね。ルールをしっかりと守り、学園生活を楽しんでください。皆さんにはたくさんの夢があることでしょう。その夢をぜひ叶えてくださいね。今年は何かとご迷惑をおかけするかもしれませんがよろしくお願いいたしますわ!」
大きな拍手が起こった。
さすがお母様だ!
「続きまして、首席挨拶。なお、今年は首席が2名のため、2名に挨拶をお願いします。」
結局双子は避けられなかったのだ。
挨拶を。
二人が席を立つと、会場全体にどよめきが広まった。
「子供?」
「4、5歳くらいよね?」
「シリル様に似てない?」
「なんであんなに幼い子が?」
みんなのどよめきも当然であった。
なんせ史上最年少での入学だったのだから。
「今挨拶に預かりました、アルフレドです」
「エメラインですわ。」
「柔らかな春の日差しが差し込む今日この良き日に、新入生として王立学園に入学できたことを誇りに思います。私達のためにこのような式を開いてくださり、ありがとうございます」
アルフレッドがはじめの言葉を述べた。
「私達は、校長先生をはじめとした諸先生方並びに先輩方のような方になるために、王立学園で日々学び新しいことに触れ、一日一日を大切にし、生活していきたいと思っておりますわ。以上をもちまして、新入生代表の挨拶とさせていただきます。新入生代表エメライン・ローズ・キャロライン・テーリア」
「アルフレッド・オーウェン・ブライアン・テーリア」
会場全体がどよめき、拍手を忘れているようだった。
でも、両親・兄・キース・校長をはじめとした人が拍手をしたことで、会場全体に拍手が響き渡った。
「今、挨拶をしてくださった殿下方は本学園史上最年少の合格者で、首席である。まだ5歳と幼いが、どうかこの2人に協力してほしい」
校長は言った。
「これにて入学式を終了といたします。この後、このプラチナホールを出た廊下にクラス分けの紙が貼ってありますので、ご確認の上各クラスに行かれてください。なお、保護者の皆様も各教室にお願いします」
ここはプラチナホールと言うらしい。
なんでも王立学園の中で一番大きく格式が高いんだとか。
今日は臨時で椅子を並べていたが、本当は舞踏会場らしい。
なんでも礼儀のときに使うんだとか。
「ねぇアル。お兄様に待っといてねって言われたよね」
「だね。待とう」
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