3話「禁書庫にて」
「今日は1日なにもないね」
「そうだね」
普段は毎日地獄の訓練である騎士団の訓練の休みの日。
「なにする?アル」
「王宮探検?街に遊びに行く?図書館に行く?魔導書よむ?」
エマに目をキラキラと輝かせて提案するアル。
「魔導書読まない?エマ?」
もうアルの中では答えは出ていたようだが。
エマはその答えに、クスリと笑う。
「そうだね。そうしよう!行こっかアル。王立図書館の禁書庫へ!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
王宮には4つの図書館がある。
◆◆◆
1つ目は「王立図書館」
王都の一角にあり、平民も入ることができる。
教養や一般常識に関する本や生活・生きるために役立つ知恵などがメインで置かれている。
◆◆◆
2つ目は「王立図書室」
王立図書館の半分程度の広さしかない。
王侯貴族しか入ることができない。
ここは主に政治や外交、多国語等に関する本がメインだ。
主に王侯貴族の教養や仕事に関する本しか置かれていない。
◆◆◆
3つ目は「禁書庫」
ここは王族しか入ることができない。
歴史的価値が高い本、貴重な本、著者が王族とゆかりのあるもの、世の中に出回ってはいけないもの。
などがメインである。
◆◆◆
4つ目はシル・アル・エマのためだけに建てられた「小さな図書室」
基本的には3兄弟と王城の使用人あとは、出廷してきた役人の子供の待合場所などとして活用されている。
本当は、3兄弟のために作ったのだが、「つまらない」と言いあまり使わなくなってしまった。
そのため、本来の目的を忘れ役人の子供の待合場所として有効活用されることになっている。
これは、宰相のアイディアである。
主に、童話・辞書・絵本・基礎魔術書・基礎魔導書などがメインである。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「あら、両殿下どこにいかれるのですか?」
口々に聞くのは侍女や衛兵だ。
『禁書庫だよ!』
元気よく答える二人。
みんなニコニコしながら手を振ってくれる。
ちなみに、周囲の使用人はまさか本当に金書庫に向かっているだなんて一切思っていない。
「ついた!アル、魔力の扉の鍵を外そう!」
実は魔力というものは血縁者、特に魔力の強い者の影響を受けやすい。
そのため、魔力を扉に流し込むだけで王族だと認識されるため、魔力を流し込む必要がある。
特に、双子は瓜二つの魔力を持っているので、1人が流し込めばほぼ問題ない。
しかし、双子はこれで警備装置が作動してはめんどくさいので、二人で行う。
「そうだね。エマ。流そっか!」
二人の膨大な魔力が注がれる。
ガチャ!!!
大きな音を立て、その扉は開いた。
地下に降りる長い長い螺旋階段が続いている。
「ねえ、エマ」
アイコンタクトを取る二人。
「うん、アル。多分私もおんなじことをかんがえましたわ。」
笑い出す双子。
いったい何を考えているのか。
双子はまさしく以心伝心。そのため、言葉にせずともだいたい伝わる。
『浮遊魔法』『三重』
二人は息ぴったりに魔法を発動した。三重の魔法を。
魔法師団団長ですら、二重がせいぜいなのだから相変わらず規格外だ。
「さすがエマ!よくわかったね。僕なんて考えていたと思う?」
猛スピードで下りながら会話をする。
「こういうことでしょアル。『僕ら1歳児には流石にこの階段降りるの体力とペース考えたら、まともに降りるの無理だから、浮遊魔法をかけよう。でも、なぜ三重かは、早く禁書庫につきたいから。それとも、そうでもしないと日付変わって城中大騒ぎになるから?』そんなところでしょ。」
とても1歳児なんて思えない。
この会話は、普通に15歳くらいにならないとできない。
発達が早い子でもせいぜい10歳少し上だろうに。
「大正解!特にお兄様だよ。ただでさえ、僕らの余命のこと知ってるし、やはり周囲に天才って言われるだけあって、内容も大体わかってるみたいだし、これ以上心配かけたくないんだよ。それにこれ以上シスコン・ブラコンが悪化したら僕らが大変だ。」
アルは、笑っているのか不安なのか何とも言えない複雑な気持ちである。
「そうね。それにはいちりあるわ。それに、これ以上心配かけたくないのは私も同じ。」
納得した様子だった。
そうこうしているうちに、ついてしまった。
「さて、魔術書を読もうか。さすがの僕らの能力も万能ではないからね。一度読んだり、聞いたりすれば新たな魔法が使えるようになるけれど、そうでもしないと魔法を使えないから」
「そうね。アル。今回はできるだけたくさん読みましょう」
「エマ、読む速度上げる魔法と浮遊魔法は必須だね。」
「超読速魔法は妥当として、なぜ浮遊魔法なの?」
「僕らの身長では届かないからだよ。」
実は3m近くの本棚が壁一面に並んでいるのだ。
「それもそうね」
二人は読み進めていく。
「エマ、エマ、エマ!!!来て!!」
アルが大声でエマを呼ぶ。
その声が、禁書庫に木霊し跳ね返る。
いくら禁書庫が広くとも双子はすぐそばで本を読んでいた。なのですぐに声が届く。
「うるさいわね。何よ?」
その本の題名は《テーリア王国・王族血統魔法について》
「これじゃない?お兄様が使った魔法!」
「かもね。だってここに、『5歳になるまでは使ってはいけない』体に過度に負荷がかかってしまうから。って記述がある。お兄様は今5歳だ!【それにお母様が覚えたばかりでしょう?】とおっしゃっていた。それにわざわざ人払いをしたんだ!ほぼ間違いないと思うよ」
そこには3つの魔法が書かれていた⋯
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