34話「お針子の暴走」
翌日⋯
「アル、エマ、残念なお知らせがあります。」
双子の部屋に入ってそう告げたのはシリル。
「明日の入学式にお母様とお父様は来賓として。僕は在校生として出席するんだ。だから⋯すまない。僕もキースもルーカスも生徒会の役員なんだよ。ってことで入学式の後、少し会場で待っててくれない?その後案内するから!」
シリルの話は双子も理解していた。
だって当たり前すぎたからだった。
「で、本題は?」
アルが告げた。
そう、本題は別なのだ。
「学園の入学式と卒業式に出席する生徒だけはね、制服ではない正装でいいんだよ。つまりだね、社交界の練習なんだ。ちなみに、家の財政が一定の基準を下回ると補助金が出る仕組みなんだよ。えー。で、王宮専属の方々がね、はりきっちゃってですね、僕と一緒に寝た日が何回かあったでしょ?あの時に採寸しまして、アルの服が34着。エマがねー48着あるんですよ。今から1日掛けてどの服が一番いいか決めます。今お母様とお父様はこれに立ち会うために何徹かして仕事を終わらせていらっしゃいます。嫌かもしれないけど許して」
なんと、服を計82着も作ってしまったらしい。
お針子たちに魔法を見られるわけにもいかないので、大人しくしていろという意味らしい。
「うっわー」
「えー⋯」
アルとエマは乗り気ではないようだ。
それもそのはず。
今日は以前の土魔法最強説以降ずっと関係が続いていた魔法師団と魔塔で実験予定だったのだ。
それを王命とかなんとか言って取りやめにされたのだ。
最悪な気分。
なぜ勝手に決めてくれてもいい洋服のために約束を取りやめにしないといけないのだろうか。
「遅くなったわ!」
オフィーリアはたくさんのお針子さんを連れてきた。
「まあ!大きくなられましたね。お会いしたのは生まれてすぐのとき以来ですわね!改めて自己紹介をします。わたくしはシアール・リーメリツァンと申します。王太后様の幼なじみです」
王太后の幼なじみだというその女性は、王宮でお針子をまとめる役割をしているらしい。
腕は王国いや大陸一なんだとか。
ちなみに双子が着ているのはほとんど彼女の手作り作品らしい。
彼女は完璧主義らしく、とても厳しいらしい。
女王ですらも頭が上がらないんだとか。
「ってことで、どんどん行くわよ!あと4時間で終わらせたいわ!」
試着を4時間で終わらせるという。
服の種類は様々だった。
アルのはほぼほぼ形は似ているが、デザインや色が違った。
エマのは本当にすごい。
なぜならフリフリのリボンから大人っぽいドレス、マーメイドタイプのドレス、シンプルなものなど様々。
「始めてちょうだい!」
オフィーリアの声と同時に始まった。
ソファにシリルとオフィーリアは腰掛け、その目の前にとても広い台が2つ置かれた。
その上で恐ろしい速さで双子は着せ替えられていく。
まず着たのは白のタキシードに月の刺繍がされた紺のドレスにおそろいのマント。
「かわいいわ!次!」
次は黒色を基調とし、マントに金の刺繍がされたタキシードに、リボンがたくさんついたドレス。
「これもいいわね!次!」
次は紺のタキシードに白のマント、そして青系のマーメイドタイプのドレスだった。
「かわいいわ!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「終了でございます!」
ようやく終わった。
3時間くらいだろうか?
「シリル。どうしましょう。全てかわいいわ!全部着せるわけにもいかないし、どうすればいいかしら?」
「そうですね。可愛すぎますよ。僕も同意見ですね、お母様」
二人は天を仰いでいた。
「二人はどれがいいかしら?」
オフィーリアは聞いた。
「え?」「んー」
双子はまさか選ぶとは思っていなかったようだ。
読んでいただき、誠にありがとうございます。
本作を読み「本作が面白い!」「続きが気になる!」と感じていただけましたらぜひ【ブックマーク】や【評価★★★★★】で応援してくださると幸いです。
今後も連載を続けていきますので、応援よろしくお願いします!




