↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/58

32話「打診」

「アル、エマ、あのね、だいぶ速いけどデビュタントしない?」


それは突然降ってきた。

双子は唖然としている。


当然だ。

デビュタントするには年齢が幼すぎる。


「あのね、貴族と王族の慣例は違ってね、王族のほうが早いんだよ。大体王立学園入学直前くらいか、10歳になる前にするんだ。貴族は卒業くらいなんだけどね。理由は、早いうちから人脈を作る必要があるからだよ。貴族も必要だけど王族はもっと必要なんだ。デビュタントは王族は8から10歳くらいなんだよ」


シリルは、状況を説明しだす。


「ちなみにそのへんから人脈づくりをして、国政を教わるのは13、14くらいからかな?僕はね、まだデビュタントしてないんだよ。だから一緒にしない?2ヶ月後の王宮主催のアルとエマの合格祝のパーティーで!ちなみに僕は去年少人数でしたよ。色々あってね。」


シリルの口から何も聞いていないようなことが、さっきから飛び出してくる。


「お兄様、私達はまだ5歳ですよ?」


「まだ社交界は嫌です」


⦅社交界に出始めると、魔法の研究ができなくなる。それは絶対に嫌だ!意地でも断ってやる⦆


「そんな事言わないでよー」


シリルとて引き下がる気はないようだ。


「嫌だ。だって、大変じゃん。礼服着るぐらいなら僕は魔法陣書いてたほうが楽しいし幸せだよ!」


「社交界ってめんどくさそう。お兄様一人ですればいいじゃない。合格祝は昨年と同じでいいわ!」


「むぅー……オルカーいるー?」


オルカーとは誰なのだろうか?


「はっ!何でしょうか?」


双子にはわかった。

今まで天井にいた魔力が、目の前にいることを。


「ああ。紹介するね。オルカー」


オルカーは全身黒ずくめで、よく素顔が見えなかった。


「お初にお目にかかります。私はシリル様の護衛を陰ながらしています。そしてオフィーリア様との連絡役を担っております」


オルカーはシリルの護衛らしい。

いかにも怪しい。


「オルカー、お母様に『デビュタントはしないらしい。僕はしないといけないだろう』そう伝えてくれるかい?」


シリルはオルカーに頼んだ。

すると一礼した後、消えた。


「さてと。んー……やっぱり出たくないのかい?」


シリルはもう一度確認した。


「嫌です」「嫌よ」


二人は即答で否定した。


「あのね、魔法学園に行く以上はね、社交しないといけないんだよ。君たちの年齢ならば、本格的な社交はしなくてもいい。強いて言うならば、お母様と一緒にお茶会に行くとかかな?」


シリルは説得を試みた。


「お兄様、よくお考えください。私達は学園には行きますが、普通の生徒とは違うのです。計画では、1ヶ月に1度行われる早期卒業制度の審査の試験に連続で受け続けます。そうすれば1年足らずで卒業できます。授業には『病弱』という理由を使って出席しません。受験に必要な単位は研究と論文で取ります。生徒会も事務しかしない。書類は転送魔法でどうにでもなる。表舞台に一切出ないつもりだ。入学式の挨拶も他人に任せる!」


アルはシリルが絶対に抵抗できないようなことで制した。


「ああー。どうしよう。ぐうの音も出ないよー」


ついにシリルは反論できる手札を失ってしまった。



シュン!



オルカーが戻ってきたようだ。


「伝言を預かりました。『仕方ないわね。貴方たちのデビュタントはシリルの立太子のお披露目パーティーよ!』だそうです」


今回は諦めたが、双子が兄のことが大好きなのを知っている母は、兄の大切な日ならば断れまいと踏んだようだ。


「げ⋯」「うっわー」


双子は渋っていた。


「お願いだよ。僕の一生に一度の大切な日なんだ。特別な日だからこそ家族みんなで出席したい!だめかい?」


シリルはもう一押しすれば納得してくれると思った。


ここには3人しかいないが、もし誰かいたならば、このセリフに涙ぐんでいてもおかしくない。


シリルのそれは双子以外から見れば、こう言っているふうにも聞こえたのは気のせいだろうか?


「僕の大切な日だからこそ、アルとエマも元気な姿で出席してほしい。そしてその日もそれ以降も元気でいてほしい」と。


それは誰よりも切実な願いなのであろう。


「あーも!わかったよ!」


「そうね⋯それなら仕方ないわね⋯」


双子は母と兄に押し切られた。


このとき双子は気づけなかった。兄の切実な願いに。

読んでいただき、誠にありがとうございます。


本作を読み「本作が面白い!」「続きが気になる!」と感じていただけましたらぜひ【ブックマーク】や【評価★★★★★】で応援してくださると幸いです。


今後も連載を続けていきますので、応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。