31話「合否」
「やっと静かになった!アル、エマ、落ち着いて聞いてね」
《お兄様こそ落ち着いてください!》
双子はそうツッコミたかった。
「試験の結果が出たよ」
双子は複雑な気持ちだった。
知りたいという気持ちも強いが、不安、そして期待……様々な感情が入り乱れていた。
オフィーリアの計らいにより、あの条件の中の入試の条件が1つでも満たされていなければ、不合格の通知が来るようになっているのだ。
「みたい?開けてみて」
2枚の封筒を渡された。
問題はここからだった。
双子はまだ5歳なのでうまく開けることができない。
破ろうとしたが、力が足りず破れない。
それに双子からしたら一辺45cmの封筒は大きすぎるのだ。
それにいろいろなものが入っているらしく重い。
「お兄様、これ風魔法で切ってもいい?開かないわ」
「僕もエマに賛成」
アルとエマはそう考えついたようだ。
「ちょっとまって。それってさ、大事なものたくさん入ってるのに、それを切ったら大変。だから僕が開けるよ。アル、エマ、貸して」
シリルはようやく冷静になったようだ。
双子は何でも自分でしたいお年頃なので少し不満そうだが、紙を斬るのは嫌なので兄に預けた。
「はいどうぞ。2つとも開けたよ。これで中身取れるはず。魔法使っちゃだめだからね?」
中身まで取らず、綺麗に封だけ開けてくれていた。
双子の心をよくわかってくれている。
シリルは器用なようで何でもこなす。
そのあとだいぶ時間はかかってしまったが、無事に取り出せた。
「アル、エマ、主席合格おめでとう。それに全科目満点だよ」
双子が合否の通知を取り出すとほぼ同時にシリルが言った。
結果は、二人とも首席合格だった。
「すごいね。まさか僕の入試の時の最高点の3倍以上取るとは。びっくりしたよ。僕も当時の記録20くらい塗り替えたんだけどな。もうすでにこの記録噂になっててね、伝説扱いされてるよ」
どうやらあの「94」という数字はシリルが出したものだったらしい。
「知ってる?あの筆記試験の問題。アルとエマ用に普通の先生や上級貴族の大人でも解けないような問題作ってって、お母様が依頼して作られたらしいよ。まさか満点だなんてね。それに木刀壊したらだめとか測定機壊したらだめとか、なんとかかんとかいろいろルール言われたでしょ?あれね、アルとエマ専用ルールなんだ」
シリルは、クスリと笑いながら言う。
だが、双子の周囲は氷点下まで温度が下がっている。
「ちなみにキースが言っていた『王族は別の試験場で受ける』って話はね、普通は一般生徒と同じだよ。まあ今年の王族はアルとエマだけだけどね。ベアトリクス様とガリウス様がね、教室別にしろってうるさくってさ。あそこは本来先生たちの訓練施設や会議とかに使われる部屋を教室にしたりしてたみたい!」
シリルが喋ったことはアルとエマは微塵も聞かされていなかった。
知らなかったことなのだ。
つまりずっと騙されていたことになる。
双子はそれに気がつけなかったのがとっても悔しくて屈辱なのだ。
「お兄様、おかしいと思ったんだよ。僕!だって、絶対並の貴族では解けないでしょう?あの問題。魔法はともかく剣術の先生⋯サージェス卿だっけ?あの人、そのへんの近衛騎士より強いよ。学園からの嫌がらせかなって思ってたけど、お母様からの嫌がらせだったとはね」
「本当よ!お兄様。どれだけ王立学園のレベルって高いの!って思ってたわよ。あの条件達成できないかもって」
間髪入れずにエマが突っ込んだ。
「ごめんごめん。僕がアルとエマに言った時点で『不合格だ!』って脅されてたから言えなかったんだよ」
どうやら双子のことを思って言わなかったらしい。
「あーーー!言い忘れてた!」
シリルは叫んだ。
双子はびっくりした。
読んでいただき、誠にありがとうございます。
本作を読み「本作が面白い!」「続きが気になる!」と感じていただけましたらぜひ【ブックマーク】や【評価★★★★★】で応援してくださると幸いです。
今後も連載を続けていきますので、応援よろしくお願いします!




