28話「諸注意」
「はじめまして。私はジュリアと申します。お二人の試験総監督を務めます。まず諸注意をご説明いたします。こちらの魔道具の的に正確に魔法を当てていただき、その点数を記録します。記録をするのはここにいるリエナ先生です。剣術担当の先生と木刀で試合をしていただき、先生の助言のもと点数をつけます。試験官はサージェス卿です。筆記は基礎的な問題、応用問題など多岐にわたります。具体的には計算・戦略・魔法陣・剣の名前・歴史・地理・言語、そして礼儀作法です。試験監督はアイル先生です。なお、不正を防ぐために別々に受けていただきます。ご理解のほどよろしくお願いします。それと、オフィーリア様の手配によりヘレナ先生も念のためいらっしゃいます」
2人が通されたのは待合室のような部屋だった。
座っているだけで感じるのは、各部屋に数え切れないほど張り巡らされた結界魔法、そして膨大なジュリアの魔力だった。
ジュリアは他の先生よりも1.5倍ほどの魔力を有していると判断できた。
それしても、オフィーリアはヘレナまで試験に呼び出したのか。
一般試験からも怪我人が来るだろうに、双子のところにいてもいいのだろうか。
「わかりました」
「了解した」
二人は素直に従うしかないと思った。
「ではまず、エメライン様は筆記を受けられてください。アイル先生お願いします。その間にアルフレッド様は剣術と魔法の試験を受けましょう。サージェス卿、リエナ先生お願いします。ヘレナ先生は私とここに待機でお願いします各位、試験が終了したらここに戻ってきてください。解答や記録表は私が預かりますので」
ジュリアはテキパキと指示を出した。
指示と同時に、アルとエマは別々の部屋に連れて行かれた。
ここでもアルは大誤算だった。
(てっきり同時に受けるとばかり思っていたが、それはできないようだ。)
【エマ。キースの言う通りにしよう。剣術はいつも通りで、魔法は初級魔法全開で。筆記は全科目満点だ。実力や習ってることは同じはずだから、ほぼ一緒になるのは間違いないだろう】
【了解ですわ。この部屋、結界があるからもう念話は飛ばせないわ。運を信じましょう】
そして二人はしばらくのお別れとなった。
アルが入室した部屋は巨大な地下訓練場と、その横の小さな魔力測定専用の部屋だった。
エマが入室したのは広い教室。
壁一面の黒板。どうやって書いているのだろう。
その中にぽつんと机が置かれていた。
椅子の上にはなぜか分厚いクッションも。
なんだか前にも同じような光景になったことがあったような気がする。
『では試験を始めます!』
エマは計算・戦略・魔法陣・剣の名前・歴史・地理・言語の混合問題をもらった。
この問題、なかなかに難しい。
問題文章がバラバラの言語で書かれている。
得意な魔法の魔法陣を正確に書く。
歴史は年号を外国語で書く。
戦略は「学生4人(魔術師2・騎士2)がゴブリンジェネラルと戦うときの陣形。
古代語2種類(リーン語とトーナ語)で書かれた歴史問題。
8歳くらいの子供は英才教育でも受けていないと解けない難問揃いだった。
エマが一番めんどくさいと思ったのは古代語の問題。
リーン語は禁書庫で慣れているが、トーナ語は隣国ヴィルトーナ周辺の言語で、あまり読んでいない。
そのため少々解読に時間がかかってしまう。
「礼儀作法はその問題が解き終わり次第、後ろで行いましょう。なお、試験の制限時間は2時間。時間いっぱい頑張ってくださいね。あ、そうそう。魔法は攻撃魔法以外なら使って構いませんよ?カンニングしないならですが」
(普通にしていたら2時間なんて迷いもせず筆を走らせ続けて終わるか終わらないかぐらいね
でも、速読魔法と速筆魔法を使えば?よかった、終わる!)
問題自体はエマには問題なかったが、時間が少なすぎた。
魔法使用可が救いだった。
時を同じくしてアルも難題に直面していた。
エマとは系統が少し違うけれど。
『では試験を始めます!』
「ルールを説明しますね。まず初めに魔法測定機というものに魔法を打ってもらいます。なお、このときに魔道具を破壊した時点で不合格となります。理由は、魔法の制御ができない生徒は危険だからです。次に剣術は何の変哲もない木刀を使用します。この木刀を折ってはダメです。折ってしまった時点で不合格です。理由は先ほど同様に、力の加減ができないとダメです。試験はそれぞれ1度だけ。それぞれ1時間以内です。1時間以内に試験が終わるのならば作戦を立てられても構いません。ただし、魔法測定機使用時以外、魔法の使用は認められておりませんのでご注意ください」
アルは魔法測定機を破壊し、さらに木刀も破壊してしまえばいいと思っていたが、簡単に合格はさせてくれないらしい。
実はアルとエマは力の制御が大の苦手だった。
(アルも、無理難題ふっかけられてるよねぇ……)
(エマも同じく無理難題なのかなぁ……)
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