26話 「誰もわからない」
「着いた〜!大きいね。家と同じくらいだね!」
家と言っても、双子の家は王宮。
普通の生活スペースに加えて国家運営の機関が集結していたり、騎士団や魔法師団の総本部や訓練所、実験施設などがあり、とても広い。
「ホントだね。敷地だけならもっと広いんじゃないかな?探検したいな」
アルとエマは初めての場所にはしゃいでいた。
「探検は今度にしてください。さ、行きますよ。今日は手をつなぎましょう。私が不安です」
キースはアルのつぶやきを聞き逃さなかった。
それでより一層危機感が増したのか、2人の手を片手ずつ握り、試験会場に向かうことにしたようだ。
3人は髪や目の色は違えど、目鼻立ちはどことなく似ていた。
そのため、歩く先々でこう言われる。
◆◆◆
「あれ?キース様に弟妹っていたっけ?」
「きゃーーー!かわいいわ♡」
「みてみて!お散歩じゃないの?」
「あら?シリル様によく似ているわね?でも、まだ5歳だからありえないかしら?」
「おやキース。その可愛い子はだれだい?」
「キース様かっこいいわ!でもそれ以上にかわいすぎる…」
「双子ちゃんかしら?」
「なんで入試の日に子供が?」
「なんか髪の色や眼の色、それに顔立ちどことなくシリル様に似てないか?」
◆◆◆
こんな声が行く先々で聞こえてきた。
貴族には珍しくキースに兄妹がいないため、皆が疑問に思っているのだろう。
そして何よりも、王城という大きな殻に守られている双子なので、兄シリルとは違って表舞台には全くと言っていいほど出ていない。
それに双子は年相応より小さく、4歳くらいに見えるのだ。
魔力が多い子ほど身体の成長が遅れ、知識の成長が速いという定説の模範解答のような例なのだ。
試験を受ける人はだいたい8歳から10歳くらいまで。
稀に7歳や6歳で受ける人もいるが、めったに合格者は出ない。
基本的に魔法教育は5歳から6歳くらいで始めるのが普通だ。
そのため、習い始めてから3年くらいで受かることが多い。
年齢で言うと双子はその半分くらいなのだから、不思議に思わないほうがおかしいのだろう。
そして、シリルと髪色や目の色はそっくりだがほぼ誰も双子に公の場であったことがない。
だから、誰もわからないのだ。
それに、こんな日なのに生徒会の主力メンバーのキースが子供と一緒にいること自体が不思議なのだろうか。
だが、今言っていた上級生の生徒会や教職員と同等、もしくはそれ以上の実力ということは誰もわからないだろう。
双子は今、体外に放出する魔力を全開の10分の1。
普段の半分まで抑えられているのだから。
双子の本当の実力がこの状態でわかる者などほぼ存在しない。
ベアトリクスという例外はあるが。
もちろん、普段身近に接している人はすぐに気が付くが、ここには日常よく接している人物などほとんどいない。
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