↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/55

1話「双子の試練」

あれから1年半が経過し、双子たち3兄弟の日常は大変。


二人は双子のせいか何もかもが同時。

魔力の暴走だって、熱を出すときだって⋯いつの間にか一家の中心は双子になっていた。


双子は毎回熱を出している間に大人たちの会話を聞いるため、すべてを知っていた。


自分たちのことも。長く生きられないかもしれないことも。


でも、周りの人たちが言わないようにしていたし、いっぱい愛情を注いでくれたからなにも気にならない。


魔力が高い子供は知力が優れているというが、まさしくそれが双子なのだろう。


1歳頃にはちゃんとした言葉が文章で話すことができた。

それこそ下手したらシリルよりも流暢に話せるかもしれない


「アル〜!待って!エマをおいていかないでえ〜」


「遅いよ。まだなの?エマ?」


相変わらず、1歳半とは思えないような話し方をしている。

双子は今、王宮の庭園で遊んでいるところだった。


「ねぇ、アルここにきれいなスミレがあるよ」


「本当だ」


実は二人にこれがスミレであると教えたものは誰一人としていないのだ。


そんなこんなで楽しい散策が終わると、いきなりオフィーリアとヴァルドに呼び出された。


「私のかわいいアルちゃん、エマちゃん。いらっしゃい〜!私の執務室へようこそ」


そう言って大歓迎してくれたのはオフィーリア。


「大切な話があるの。あなた達に家庭教師をつけようと思って」


その突拍子もない発言から3日後に、雇った家庭教師用ちはすべてがやめてしまった。

2人はは困り果てていた。


「あの2人は何をやらかしたら、みんなから『私にもう教えられることはありません』って、全員に言わせられるのかしら」


「ん〜?なぜだろうなあ?」


悩んでいると、宰相が口を開いた。


「あの加護の多さやステータスの異常が関係しているとしか思えませんなあ⋯」


『そうだ!!!』


二人の声が重なる。


実はこの二人には何をやらせても、だいたいなんでも人並以上くらいにできてしまうのだ。


「なあ、ここまで万能型で凹凸がないのも面白い!ちょっと政治のことでも教えてみようか!ふたりとも王族なのだし」


ヴァルドが名案だと言わんばかりに声を張り上げる。


「それは、やめたほうがいいと思うわ。シリルがまだしていないから、シリルではなくアルが次の王だと思われてしまうかも⋯」


その問いに対して、オフィーリアはとても冷静な返答をする。


「それもそうか⋯」


もっと困ってしまった。


「一つご提案してもよろしいですか?」


そう宰相がゆっくり口を開く。


「なあに?言ってみてちょうだい」


期待をふくらませる二人。


「今の両殿下に足りていないのは知識ではありません。経験です。魔力を消費すれば、もっと長く生きられるかもしれません」


宰相は二人の期待は裏切らなかった。


「そうね!でも、まだ1歳半よ?スピードと体力はまだステータスの値に体が追いつけていないわ。そのへんはまだ普通の1歳児よ」


オフィーリアの言っていることは母らしいごもっともな意見。


「だったらこういうのはどうだ?リカ。騎士団で剣の稽古をつけてもらうんだ。そうして頃合いを見計らって実践に出す。魔物討伐とかのな」


「それはとてもいいだわ」


それからしばらくして、騎士団長《ガリウス》が報告に来た。


二人と宰相はドキドキと心を弾ませながら開く。


◆◆◆


両殿下は普通の近衛騎士団員には余裕で勝てます。

しかし、私や副団長には勝てた試しがございません。

魔物討伐に迎える実力はありますが、年齢が年齢のため一般練習になります。


元帥・騎士団長ガリウス


◆◆◆


との報告だった。


2人は喜ぶ。

やっと二人が真剣にうち込めるものが見つかったのだと。


剣術特訓は厳しさを増していた。何故か近衛騎士団員と同じ訓練を1歳児がするのだ。

さすがのアルとエマもくたくただった。


「ねぇ、アルあと訓練場何周」


息を切らしながら言うエマだった。


「今三周目だからあと2周」


息すら切れず余裕そうな笑みで返されてしまった。


「ええ、まだ半分くらいなの」


そう弱音を吐くエマだった。


「がんばれ〜!エマもたいしたことないな」


余裕そうに笑い飛ばされてしまった。


「ひどい!」


こんな会話を聞いた近衛騎士団員たちは、微笑ましそうに見ていたが、内心はとても焦っていた。


《まずい。僕らでさえ話す余裕ないのに。1歳児に負けるなんて!あり得ない!》


この頃から近衛騎士団は急成長してとても強くなった。

思わぬ副産物である。


「よーし!五周終わり!剣の打ち合いだ!」


そう叫ぶのは騎士団長だった。


「ねえ、アル今日は負けないよ」


「絶対今回も僕が勝つ。エマには負けない」


実はエマはアルに1度も勝ったことがないのだ。


「打ち合い開始!」


カーンカーン


打ち合う音が響く中で、猛スピードな打ち合いをしている組が2組いた。


1組はもちろん団長と副団長。


そしてもう一組はそのまさかである。


アルとエマだったのだ。

もはや二人のレベルは普通の騎士が混ざることのできない域まで10日ほどで達してしまったのだ。


もはや天才を通り越して神童とすら呼ばれていた。


でも、天才いや神童はシリルも同じだった。


この兄弟はみんな突出した才能を持っていた。


「カーン」


剣をはじく大きな音がしたと思うと


「どさっ」


という大きな音がした。


「ふ、まだまだ甘いな。エマ」


エマがアルに負けてしまったのだ。


「なんで、なんでなのよ〜」


そう言いながら泣き出してしまった。


神童とはいえども、精神力も普通の1歳児だ。


「アァ〜ル?なんでエマを泣かせたの!」


どうやらオフィーリアはバルコニーから二人の様子を見ていたようだ。


実は、この訓練場は、オフィーリアの執務室の真下にあった庭園を改造して作られたもの。

すべては、心配性のオフィーリアの采配である。


「だってぇ、エマに負けたくなかっただけだ」


とうとうアルまで泣き出してしまった。


「ごめんなさいね。今日はここまでね」


ガリウスに対し申し訳なさそうにするオフィーリアだった。


「大丈夫だ」


ガリウスは笑う。


ひょいと軽々2人を両手に同時に抱っこした。

やはり母はすごい。


「よしよし。いい子ね。お願いだから泣き止んでちょうだい」


泣き止んだかと思うと、二人はオフィーリアの腕の中でスヤスヤと眠ってしまっていた。


「あら、もうお昼寝の時間だったのね。おやすみ。私の可愛いエマ、アル」


「う〜ん!おはよ、お母様」


寝ぼけた様子のアル。


「おはようアル。あら?ちょっと待って」


すると、二人のベッドの横にある小さな机と椅子で執務をしていたオフィーリアがいきなり立ち上がった。


「熱っっっ!アルがってことはまさかエマも!あらぁ、エマもね」


実は最近の1歳児にしてはハードすぎる特訓をしていたせいでふたりとも疲労が出てしまったのだ。


「僕はらいじょうぶ⋯心配しないでくだしゃいお母しゃま」


アルにはありえないような話し方で答えた。


「アル!呂律回っていないじゃないの!大丈夫じゃないでしょう」


ととても心配している。


そこからは双子にすらもよくわからなかった。


いつものこととはいえども針を刺して魔力を減らすのは痛い。


双子は泣いてしまった。


この膨大な魔力がこのただでさえ悪い体調を更に悪化させる原因なのだ。


だから一時的でも減らす必要があった。


「泣かないで。僕の可愛いアルっ、エマ」


安心感のある笑みで微笑むのが双子の4歳上の兄シリルだった。


「ねね、お母様、お父様。アレをエマとアルに使っていい」


一体アレとは何なのだろうか?流石にこれは僕らでもわからない。


「アレを使うの?まあ、兄弟だから大丈夫だとは思うけれども、大丈夫?習得したばかりでしょう?」


何かよくわからないが心配そうに言うオフィーリアだった。


「大丈夫です。こんな時だからこそ僕の大切な弟妹に使ってあげたいんです」


5歳とは思えないほどの強い意志だった。


「わかった。頼むよ。シリル」


そういったのはヴァルドだった。

毎回神出鬼没である。


「わかったわ。リアムがそういうのなら。あなた達は出ていって」


そう言いながら人払いをするオフィーリアだった。


「アル、エマちょっとびっくりしたらごめんね」


優しくオットリした口調で言うシリル。


何かを呟いたかと思うと、急に体が楽になった。


『お兄様?何をしたの?』


双子の声がぴたりと重なる。

読んでいただき、誠にありがとうございます。


本作を読み「本作が面白い!」「続きが気になる!」と感じていただけましたらぜひ【ブックマーク】や【評価★★★★★】で応援してくださると幸いです。


今後も連載を続けていきますので、応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。