17話「東屋で自己紹介」
赤い屋根が特徴的な東屋には、すでにお菓子と紅茶が5人分用意されていた。
「さぁ!みんな座って座って!」
みんなはシリルの言ったとおりに席についた。
ただ、ここで1つ問題が発生した。
「アルッ!エマッ!なんて可愛いんだ!頭しか出てない!ぷ、ふふふ、あはははは!」
いきなり笑い出したシリルに加えて、向かい側に座っていたスカーレット、そしてルーカスまで笑い出した。
無理もない。
この東屋は普通のよりも椅子と机が低く作られているが、双子は頭がやっと出るか出ないかという状態だった。
どうやら双子からしたら大きすぎたらしい。
ほか三名は普通に座れているのに、と双子はすねていた。
しかたがない。
だって双子は同年代に比べるとかなり小さい。
そしてスカーレットは年相応。
シリルとルーカスは大きい方なのだ。
「あ!気付かず申し訳ありません!今クッションをお持ちいたします!」
侍女の一人が走っていった。
彼女はシェーリーン。
あのヘレナの娘で、双子の専属侍女でもある。
二人の体調不良の原因を詳しくは知らないが、なんとなく察している。
そして母譲りの医学の知識が多少なりともあるため、双子付きの侍女となってくれている。
ちなみに双子やシリルに乳母は存在しない。
オフィーリアが自ら育てると言ったからだ。
「おまたせしました!お持ちしましたよ、クッション」
双子はようやくスカーレットと同じ目線くらいになった。
「あの、少しいいか?シル様?」
そう遠慮がちに尋ねたのはルーカスだった。
「なんだルカ?」
「僕達兄妹も、アルフレッド様とエメライン様をアル様、エマ様とお呼びしたく。よろしいでしょうか?」
どうやら双子の呼び方に関することらしい。
「なんだ?そんなことか。いいよね?アル、エマ?」
二人はお菓子を食べていて返事ができなかったので、大きく頷いた。
「いいってよ。良かったね。じゃあ僕からもスカーレットのことをストって呼んでもいいかな?婚約者なんだし」
そう言うと、スカーレットが少し喜んでいたように見える。
それを微笑ましく見つめるルーカスであった。
「じゃあ僕達はスカーレット様をお姉様!ルーカス様はルカ兄様!お兄様はシル兄様って今度から呼ぶことにします!」
アルは元気にそう言った。
もしもこれが計算範囲内だったとしたら怖い。
横でエマが頷いている。
「よろしいのですか!では、僕達もそのようにお呼びください。いいよな?スカーレット?」
「はっはい!とっても嬉しいですわ⋯」
とても嬉しそうだ。
こうして3人は仲良くなった。
「シル様、あの少々お聞きしたいことがあるのですが、いつもご自慢なさってますよね。『自慢の弟妹だ!』と」
そう笑いながら言うルーカスの言葉を聞き、シリルは誇らしげにしているが、当の本人である双子は少し引いている。
「ああ!本当にかわいいんだよ。だってさルカ!普段はこんなに大人びていて頭の回転が早いけどさ、寝てる時とか疲れた時とか風邪ひいた時の姿のギャップがね!だってさ普段大人の前じゃ猫かぶってるけど、僕の前で見せてくれる本当の姿はとっても甘えん坊で⋯」
シリルは双子のことになると饒舌になってしまう。
「シル兄様!は、恥ずかしいのでおやめください!」
そう我慢しきれずにシリルの言葉を遮って反論したのはエマだった。
「えぇー、せっかくいいところだったのに」
そんな会話をしながら笑い合っていた。
「シル兄様!せっかくですし、自己紹介を行うのはいかがでしょうか?あんまりみなさんが揃うこともありませんし」
アルの意見にみんなが頷いた。
「そうしよう。ではまずは私からだな。テーリア王国第一王子、シリル・フォン・イグア・テーリアだ。歳は今年で7歳。来年度にはルカとともに王立学園に入学予定だ。で、ストの婚約者だ。得意なことは主に魔法と剣術かな?あと座学も好きだ!」
「では次は僕から。テーリア王国第二王子、アルフレッド・オーウェン・ブライアン・テーリアです。みんなからはアルと呼ばれているよ。第一王女のエメラインとは双子で、僕は双子の兄だ。歳は今3歳です。僕はどちらかと言うと剣術のほうが好きです。あと、本も大好きです」
「じゃあ次は私ね。私はテーリア王国第一王女、エメライン・ローズ・キャロライン・テーリアよ。みんなからエマと呼ばれているわ。アルフレッドとは双子で私は双子の妹よ。歳はアルと同じで3歳よ。私の得意なことはどちらかと言うと魔法ね!大好きなことは魔術書を読むこと。本好きに関してはアルも同じよ」
「では次は僕から。僕はテーリア王国三公が一角、フランメイル家嫡男ルーカス・フォン・フランメイルです。好きなことは座学と魔法。ちなみに剣術はからっきしです。シル様とは御学友でもあり幼馴染です」
「さっ最後に私ですわね。えっと、フランメイル家の長女でルーカスの妹です。得意なことは刺繍と座学と魔法かな⋯?こ、この度はシリル様のこっ婚約者になっなることができて、と、とても光栄ですわ」
みんなの自己紹介がひと通り終わった。
スカーレットはとても緊張していたようだ。
それも仕方がない。
なぜならここには第一王子・第二王子・第一王女、そして普段シリルと交流のあるルーカスがいる。
スカーレットはあまり王宮には来ず、王都にある屋敷にいる。
「ところでさ、ルカ。もう芝居はやめにしないかい?どうせアルとエマ、そして何よりも妹にいいとこ見せたいだけなんだろう?」
そう呆れたような顔でシリルは言った。
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