15話「政治と王位争い」
やはり疑問に思ってしまい、エマは直接聞くことにした。
が、そばにはルーカスがいる。
聞かれるわけにはいかない。
【珍しいわね。いつもなら簡単に警戒を解かないのに。義理の姉の実の兄だからなの?】
エマはあまりにも疑問に思ってしまったため、ルーカスに悟られないよう魔力を同調させて念話を飛ばした。
さすがのルーカスでも、ここまですれば手も足も出ない。
【あぁ、無邪気な子供のほうが相手に警戒されにくいし、ポロッと何かをこぼしてくれるかもしれないしね。今回はこっちのほうがメリットが大きいから】
さらっと恐ろしいことを言う。
ルーカスから見れば満面の笑みで返事をしているのに、
エマから見れば悪魔のように見えたのだった。
【何考えてんのよ!ねぇアル!ねぇってば!】
いくら呼びかけても返事はなかった。
「エメライン殿下?どうかなされたのですか?お二方はとてもお体が弱く病弱だと聞いております。もしやお加減が⋯?」
エマがアルのほうばかり無言で見ているものだから、誤解されてしまった。
「あ!いえ。今日は私もアルも体調がいいのです。なので大丈夫ですわ」
一瞬アルもエマも焦った。
なぜなら、体調不良の真の原因を知っているのは
お祖母様・両親・ヘレナ・三公・シリルの8人だけなのだ。
なので、それ以外の人たちには
「小さく生まれ、病弱で、たまに発作が起こると急に苦しみだし倒れてしまう」
という設定になっている。
しかし嘘ではない。すべて真実なのだ。
ただ、
「魔力が多すぎて病弱になり、ステータスが異常」
ということを公表していないだけなのだ。
ちなみにこれは国家機密である。
双子は知っている。
なぜこのような措置が取られたのかということを。
1つ目は国民や臣下を不安にさせてしまうこと。
2つ目は望んでもいない王位争いが勃発しかねないこと。
3つ目は最悪のケース。僕達が魔力を暴走させる可能性がある以上、危険だということ。
特に3つ目はどうなるかがわからない。
当然そんなことが起きる可能性はある。
双子は2歳のときに聞いてはいけないことを聞いてしまった。
禁書庫の帰り道に、シリルのお部屋の前を通った。
その時、双子は本に没頭しすぎて周りが見えなくなってしまっていて、禁書庫を出たのは夜中だった。
2歳児が夜更かしというのは本来ならだめなのだろうが、
双子は異常なステータスのおかげでなんともなかった。
帰り道、仲良く手を繋いで自室に戻っていると、
シリルの部屋の灯りがついていた。
シリルを脅かしてみようと「透明化魔法」を使って背後に忍び寄ったことがあった。
多分、その話を聞いてはいけなかったのだ。
シリルは一人で泣いていたから。
「どうしようっ!もし、もしっアルとエマが最強のステータスってことがみんなに知れ渡ってしまったら?」
双子はまだその時、なぜ泣いているのかわからなかったから、
少し話を聞いてみようと思った。
でも、それは大きな間違いだった。
「まずは、今の現状は体が弱くて病弱ってことになってるでしょう?でも⋯考えられるのは3つ。
1つはみんなを不安にさせること。王族が不安定だとそうなると思う。これは絶対そうだ。
次は、貴族たちは誰を次の王にするかって話になって王位争いが起きかねない。
でも僕は第一王子だから、もしアルかエマが王になりたいってんなら、僕は補佐すればいいだけ。
でも王国の法律上『女王は直系王子がいない場合にのみ即位できる』って記載があったから、
エマが巻き込まれることはないだろうけど、政治にアルを巻き込むのもね⋯。
あとは⋯あ、これ1番最悪パターンじゃん。どうしよう。
秘密を知ってる人たちはなんとも思わないだろうけど、
当然アルとエマが魔力暴走を起こす危険性がある以上、
危険だ!とか言い出す人がいそうなんだよなぁ⋯。
大人たちもこれを理由に公表をやめたらしいけどさ⋯
でも、これ何が起こるかわかんないんだよね。
下手したら内乱かな?だって、あの貴族に僕達が簡単に渡すわけないもん。
でも三公以外の貴族や王国民全員とかが団結してくるとなぁ⋯
うあ!想像したくもない。でも可能性がある以上はねぇ⋯。
まあ、アルは王位に興味ないみたいだし、
今のところ病弱な第二王子を支持する者もいないし、
このまま行くと僕が次期国王だよね⋯。
でもさ、もしも将来僕が王になったら、
絶対にアルとエマは政治に巻き込まないって誓おうかな。
この秘密は知った以上、一生をかけて守り抜く。
あ!なんか今の僕ちょっとかっこいい?あはは」
双子は、その時呆然と背後に立ち尽くしていた。
脅かす気になれない。
二人は思った。
「かっこいいどころじゃないよ。大好きだよお兄様。ありがとう。守ってくれて」
でも双子は兄の言っていることは間違っていないと思った。
その3つにはどれも可能性がある。
それに3つ目だって可能性ゼロではない。
そして双子は感謝した。
僕達を思ってくれている人がこんなにもたくさんいるんだと。
読んでいただき、誠にありがとうございます。
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