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14話「エメラインの違和感」

「エマ。確認ミスない?全部キャンセルしたよね?連絡したよね?」


机の上に散らばった無数の書類を見ながらアルはエマに聞いた。


二人は多忙のため、今日の分を昨日あの話の後夜中まで終わらせていたのだ。


そして、今日の予定のことをすべて『取りやめor延期』という形でなんとかこじ開けた。


「ないと思うよ。まだ時間があるから、もう一度確認しましょう。あら、言ったそばから出てきたわよ。なにかしら?あぁ『この論文の評価をまとめてほしい』だってさ。依頼主は魔法師団ですって。これは期限今日だけど、確か魔法師団団長って現フランメイル家当主のベアトリス様だから、今から終わらせて手渡すのはどう?」


エマは、目をつぶり眉間にしわを寄せている。

そして、ゆっくりと目を開けアルに聞く。


「いいと思うよ。僕は後半、エマは前半だ。ちょうど148枚あるから、74枚で分けよう。わかってるよね?このあとの言いたいこと」


「もちろん」


二人はアイコンタクトを交わした。


「『超速読魔法』『固有速度三倍』」


超速読魔法は、読む速度を通常よりも大幅にスピードアップする魔法で、固有速度三倍は、そもそもの人の速度事態が三倍になる。


これによって大幅な時間短縮になる。


「終わった!アルは?」


エマは自信満々にアルを見る。


「僕も。エマ早速使おうか」


「『超速読魔法・解除』『共有魔法』」


二人は前半と後半に別れた作戦の内容はこうだ。


分けることにより、1人あたりの読む量が半減する。

↓

それに伴って時間も半減する。

↓

そして共有魔法をかければあっという間にすべて読んだことになる。

↓

時間が半分になる。


という寸法である。


「さてと。もう意見まとまったよね?アル」


二人はソファに移動しながら会話をする。


「もちろん!そう言っているあたりエマもだね。意見交換だ!」


「なら私からね。この『一番強力な属性は土属性である』っていう論文ね、作者には申し訳ないのだけれど、違うと思うの。でも、ドーム状にすれば火も水も防げる。防御としては最強クラスだと思う。攻撃だってできるし、形を変えるのも簡単。利点もたくさんある。でもね、どれも同じだと思うの。だってさ、私達が使える魔法だと全部威力同じでしょ。これは土属性メインの人が研究して得た結果の可能性が極めて高いわね!」


「僕も同じことを思ったね。どの属性も同じ力を持っているていうのは僕達だけらしいしね」


「そうだね。問題はね、この評価をどう書くかじゃない?私はありのままを書くのは申し訳ないから、ね?」


「僕はありのままを書いてもいいと思う。だってさ、正直に行ったほうが良くない?回りくどく言うよりもね」


「じゃあこんなのはどう?『とてもよく研究されていますね。わかりやすかったです。特にあの根拠や理由説明の部分をよく調べられていらっしゃいますね。さすが魔法師団の方ですね!私達は全属性でおんなじ力を持っています。一度私達とお会いするのはいかがでしょうか?お返事を心待ちにしています。』って感じでっ!」


「それはいいかもしれない。僕達に合うことで一般論が覆された人なんて計り知れないもんね。ばっちり今の書いたよ!」


「アルなら、それでいいね」


「なら、早馬で届けさせよう」


そう言うと、傍に控えてた侍女の一人に声をかる。


「もう今日の仕事ないよね?アル?なんか忘れてるような気がするのは私だけ?」


そう宙を見上げているエマ。


「僕もなんか忘れてるような⋯あっ!あああああ〜!!」


「うわっ!びっくりしたぁ。で、何か思い出した?」


「エマ!ほら!お母様とお父様からのょ」


呼び出しと言いかけたところでエマが叫んだ!


「ああああ!!!思い出しましたわ!呼び出し!アルッ!急いでいきますわよ!」


そう言うなり、アルの手を引っ張って走り出す。


「エマもう時間がない。人前で使うのはあれだから、僕は自室から使おうと思ってたのに⋯」


「ごめんってアル!あ!この先を右に行けば、あまり人がいない道がありますわ!そこで転移しましょう!」


「ああ、あの道か。いいね」


双子の家はもはや家ではないのだ。

だって王城なのだから。

無駄に広くて人が多い。


「きゃ!!」「わ!!」


双子は誰かとぶつかってしまった。


赤髪金眼の美少年だった。

見た感じ、7歳か8歳くらいの子だった。


「申し訳ない!大丈夫?」


そう言いながら、僕達二人に両手を差し出した。


「あれ?君たちもしかして、アルフレッド様とエメライン様?シリル様んとこの双子じゃないの?」


そう言いながら、首を傾げた。


『誰なの?』


双子の存在は国中にしれているが、見たことがあるのは高位貴族の人か、双子のお茶会に参加した人しかいないのだ。


でも、双子の記憶にこの人はいない。


つまり、見知らぬ人が知るはずもない僕達を知っていたのである。


これは双子にとって恐怖でしかなかった。


双子は互いの手を繋いで、攻撃魔法を無詠唱で展開し始めていた。


「あぁ!攻撃しないでね。怪しい人じゃないよ僕。それに、そんなに怖がられて警戒されると傷つくよ?僕」


双子は、互いでアイコンタクトを取った。


それもそのはずだ。


双子ほどではなくとも、双子の無詠唱魔法を発動する前の微細な魔力が分かる人は、すくなくとも500前後の魔力を有していないと絶対にわからない。


当然双子の警戒度はマックスだ。


「名乗るのが遅くなってしまい、申し訳ありません。アルフレッド殿下、エメライン殿下。私はルーカス・フォン・フランメイルと申します。三公が一角フランメイル家の嫡男で、殿下方の兄に当たるシリル殿下とは御学友です。本日王城に招待され、母と妹と三人で来ました」


ひざまずいてそう言う姿はとても絵になった。


「あなたが、ルーカス様なの?本当に?」


エマが尋ねる。


エマを守るようにして、エマとルーカスの間にアルが立っている。


「疑うようでしたら、僕を鑑定なさってください」


『鑑定』


二人は同時に鑑定した。


彼は本物だった。

言っていることに嘘も偽りもない。


『本当にごめんなさい!』


二人は一気に青ざめ、謝る。


「アルフレッド様、エメライン様。会ったこともない僕を疑うのは当然のこと。ですから、こんなことで王族たるもの謝ってはいけません。品格が損なわれます。それに、立場上命の危機に陥ることが多いとお聞きします。なので、疑うのは良いことなのです。ですが、だからといって完全に自分が悪いことをしたと思ったら謝るのです。今回ははじめに名乗らなかった僕にもおちどはありますから、心配なさらなくても大丈夫です。それから、先程までのタメ口のお詫びを申し上げます。本当にすみませんでした。確信が持てなかったもので」


「ルーカス、大丈夫です。私達は今急いでいるのです。お母様とお父様のところに!行こう!アル!」


「あの、殿下方。多分目的地なら同じです。一緒に行きませんか?実は僕もこのあたりは来たことがあまりないので、迷っていたのです」


「そうなのですか?では一緒に行きましょう!いいよねエマ!」


アルが、家族以外に満面の笑みを向けるのは珍しい。


義理の姉(予定)の実の兄に当たる人物だからなのか。


でも、エマと違って警戒心が強いので、まだ相手のこともよくわからないのに、警戒心を緩めるだなんて不思議だ。


エマは違和感だらけのアルの姿に疑問を持つ。

読んでいただき、誠にありがとうございます。


本作を読み「本作が面白い!」「続きが気になる!」と感じていただけましたらぜひ【ブックマーク】や【評価★★★★★】で応援してくださると幸いです。


今後も連載を続けていきますので、応援よろしくお願いします!

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