12話「アルフレッドの考え」
「ねぇアル。本当に出来ちゃったね!」
嬉しそうに満面の笑みでアルに話しかけるエマ。
「そうだね。エマ。でも僕達はできないことなんてない」
そう自信満々に言い切った。
「アル。こんな言葉が異国にあるのよ。『能ある鷹は爪を隠す』っていうのがね。意味わかるでしょう?」
そう言い返したのはエマだ。
「意味は言われなくともわかる。まぁ確かにそれもそうだが、僕達はそれをさらに凌駕した天才だ!それにエマと力を合わせれば倍どころか三倍位になるしさ!!!」
またも言い切った。
重度のナルシストである。
「うわぁ。自分を過信しすぎると痛い目を見るよ。後々にね」
さすがのエマも引いている。
「あぁ、痛い目みないようにすればいいだけの話さ!」
そう自信満々に言い切った直後⋯
「アル、エマ!愛しのお兄様が来たよ〜!」
そう言いながら勢いよく入ってきた。
「お兄様。まさか今までのお話聞いていらっしゃいませんわよね?」
そう疑い深くエマは尋ねる。
それに合わせるかのようにアルも疑いの目で睨んでいる。
「あぁもちろん聞いていたさ!おかげでアルの可愛い一面を知ることができたよ。扉をいつ開けようかと迷っていたんだけどね、あまりに面白くって、開けるに開けられなかったんだよ。ごめんごめん」
そうお腹を抑えながら、シリルは言った。
『お兄様!聞いていたんですね!ひどい!』
双子はまたもや息ぴったりだ。
二人同時にそっぽを向いてしまった。
「ごめんごめん。でも嘘は言っていないよ?ふふ⋯」
そう笑い声を抑えながら言った。
当然双子をもっと怒らせてしまった。
「お兄様なんて大嫌いよ!」
エマが言い切ってしまった。
「ちょっとエマ。流石にそれはお兄様がまずいかも⋯」
エマは(何がまずいのかしら?)と思ったようだが、理由はすぐに分かった。
「エマ⋯エマァ!あぁエマ君がそう思ってるってことは、アル君も何だね⋯。どうして?どうしてなの?ただ弟妹を可愛いと思って、接しているだけなのに、たくさん愛情を注いできたはずなのに!なんで、最愛の弟妹に嫌われなくてはいけないの?僕あ、私のどこがいけないの?僕は兄失格だ。弟妹になぜ嫌われるのかがわからないだなんて⋯うわああああん!」
シスコンとブラコン発言にネガティブ発言が加わってしまった。
そして、泣き崩れてしまった。
「それ見たことか。だから言ったのに。馬鹿だねエマ。わかってたでしょう?お兄様がこうなること。なんで言ったの?悲しませたくないのに。これ以上負担をかけたくないのに」
そう呆れた顔でアルは言った。
「ごめんね。お兄様。本当は違うの。お兄様のこと、だ、だいしゅきなのよ!」
盛大に噛んでしまった。
でも、本当のことが言えてよかったとアルは思っていた。
「本当なの?本当に!わあ!良かった!嫌われたのかと焦ったよ。うん!私はねアル、エマ君たちが大好きだよ!」
涙を袖で拭ってはいたが、無事機嫌を直し、最終的には上機嫌で去っていった。
「お兄様帰ったよね?エマ。少しお話しないかい?僕と」
真剣な顔つきになった。
「帰ったわよ!いいよ!お話をしましょう!」
この時ばかりはエマはアルが何を考えているのかわからなかったので満面の笑みで答えた。
「エマ。あのね、僕はねお母様とお父様そして何よりもお兄様に愛されたくないんだよ。なんなら嫌いになってほしいくらいだ」
無理やり笑顔を作りながら言った。
「どうして?どうしてそんな事を言うの?アル!」
エマは少し怒っていた。
「あのね、僕達はいつかお別れしないといけないんだよ。みんなと。その時の悲しみが最小限で良いように。僕達にとってもみんなにとってもね。もしそれで感情が揺れて暴走したら、もっと被害を大きくしてしまう。僕はそれを望んでいないんだ!それこそ、大切な家族や国民、家臣を失うかもしれない。僕達のせいで⋯そして、何よりもみんなが僕達を愛せば愛すほど、その分悲しみが大きくなる」
アルは賢すぎるが故にそんなことを思っていたのだ。
そして、国民と家臣を大切にするというのは生まれ持った立場のせいだろう。
だから、当然のしかかっている期待や責任も強い。
さらには、最近兄であるシリルとアルフレッドのどちらを次期国王にしようかという話で派閥ができてしまっている。
3公や王族は中立の立場だが⋯。
そして、中立の立場であるものは望んでいない。
ほんの一部の人なのだ。
アルフレッドはいつも思っていた。
「僕は余命宣告されたようなもの。そんな力を制御しきれず危害が及ぶ可能性がある危険な王よりも、しっかりとしており、健康なお兄様のほうが次期国王にふさわしいのに、なぜ?」と。
ちなみに、エメラインはこの泥沼と化し、アルやシリルを苦しめる王位争いに「王女で第三子」という理由があるために、参加していない。
そして、こんなことをアルが抱えているということを知らないのだ。
そして、知らないのは何よりも、家族がエメラインに知らせることを望んでいないからだ。
「みんなを悲しませたくないのは私も同じ。だけどね、さみしい最後よりも幸せな最後のほうが私はいいと思うのよ⋯」
エマもアルと同じようなことを思っている節はあった。
でも、考え方は根本的に違った。
「そうだね⋯僕もエマと同じ考えだよ。でも、でもね、みんなを悲しませたくないんだよ。特にお兄様にはね⋯」
アルはシリルが大好きなのだ。
当然エマも同じ。
「アルッ!大丈夫。怖くないよ。恐れなくても良い。死なないようにする方法を模索すればいいだけだよ。なんで決めつけるの?まだ、わからないでしょう?それにね、アルはアル!王子とかじゃなくって、私の双子のお兄ちゃん!それに、まだ国民のこと家臣のこと考えなくてもいいよ。だって帝王学や政務そのうえ社交界デビューもしていない単なる子供なんだから!アル?自分の歳忘れた?まだ3歳だよ?私達が生まれたときのお兄様より小さい!」
そう言いながら、エマはアルを両手いっぱいに抱きしめた。
このときのエマの言動や行動がどれだけアルにとっては嬉しかったか。
到底計り知れない。
この三兄弟は兄弟愛が強い。
そしてまた、家族の絆も強いのだ。
読んでいただき、誠にありがとうございます。
本作を読み「本作が面白い!」「続きが気になる!」と感じていただけましたらぜひ【ブックマーク】や【評価★★★★★】で応援してくださると幸いです。
今後も連載を続けていきますので、応援よろしくお願いします!




