10話「少女の魔法分析」
「お母様!お父様!おまたせしました!アルとエマも一緒です!」
そう、扉を開けてもらうなり、元気よく返事をしたのはシリルだ。
「えぇ。待っていたわ!」
そう微笑みながら、食卓についていたのは、オフィーリア。
「そういえば、シルは凄いなあ!今日先生たちからやる気が漲っていた。と言われているぞ。問題も今までにないほどのスピードで解いたらしいな」
そう誇らしげに親バカ全開で自慢するのはヴァルドだ。
「あら?そうなの?凄いじゃない、シル!でも、あなたがこんなに頑張るってことはやっぱり、アルちゃんとエマちゃん絡みなのかしら?ふふ⋯」
さすが母である。
なかなかに鋭い。
「い、いやぁ〜、お母様そ、そんなことはありませんょ⋯多分⋯」
シリルは図星であった。
「アルちゃんとエマちゃんなのね。わかりやすいわね。本当に」
本当にそうだと思う。
アルとエマに絡まなければ完璧と言っても過言ではない王太子(候補)なのだ。
アルとエマに絡むと、本音がダダ漏れになり、溺愛っぷりを隠しきれなくなってしまう。
本人曰く、それが欠点なのだとか。
「仕方ないのです!アルとエマは天使が降臨したかと思うような可愛さなのですよ?!誰が、この可愛さを前に、どうしようというのですか?!僕あ、私は無理です!」
相変わらずのシスコン&ブラコンである。
そういえば、最近は一人称を「僕」ではなく「私」というように練習しているのだとか。
「それはそうだな。どうしても、本音が隠しきれなくなってしまう。それも、事実だっ!!」
そういったのは、親バカがエスカレートし続けているヴァルドだ。
「リアム!そんなこと言ったら⋯私も真実だと言わなくてはならないではありませんか!」
ツンデレ感を漂わせるオフィーリア。
(ねぇアル。なんか私達空気ね。でも、あの中に入ろうとは絶対に思わない。それに、何なの。さっきから)
エマは、愛想笑いを浮かべながら3人を見る。
そして、アルに念話を飛ばす。
(うわ!びっくりしたよ。エマ。そうだね。最近僕も何言ってるかわかんない。僕達でも理解できない事があるんだね。まだまだ、知らないことが多いみたいだよ。今度調べる?)
(いい。調べないほうが良さそう)
(僕もそう思った。根拠は何?)
(勘よ)
(エマらしいね)
「あ、そうだ!お母様、お父様、アル、エマ!」
いきなり話しかけられて双子は見つめあってた目を慌ててシリルの方に向ける。
そして、びっくりして肩が跳ね上がる。
「な、なあに?ぉ、お兄様」
「なんですか?」
双子は話を全然聞いていなかったので焦る。
「ぼ、私ね!とってもいい案を思いついたんだ。今度、離宮で隠居生活を謳歌なさっている、お祖母様も誘って、王宮の外れにある、お母様とお父様とよくいったきれいな湖があったでしょう?そこに、ピクニックに行きたいです!だめでしょうか?」
おそらく、前に3兄弟が地下訓練場の帰りによった湖のことを指しているのかな。
「いいわね!予定を空けるわ!ね、リアムも!」
「いいね。たまには。アルとエマは行ったことないよね。きれいな湖なんだよ。行こう!」
やけに乗り気な両親だった。
双子はその時ニコニコと微笑んでいたが、内心はとても落ち着いてはいられない。
【あららぁ〜。お父様とお母様には湖によったこと内緒なんだったわ⋯】
【やばい。余計なこと喋らないようにしないと。言い訳考えよう】
それから自室にもどって、しばらく経った頃…
ばん!!!
「アル!エマ!約束通り来たよ!お母様とお父様が立ててくださった、図書室の本を1冊持ってきたんだ。今日はそれを読んだげるね!」
双子は思った。「文字読めるのにな」と。
そのまま3人はベットに潜り込んだ。
シリルを真ん中にして、右にアル。左はエマだ。
シリルが読んでくれた本は、この国に伝わる童話だった。
簡単に言うと、「少女が、海の上で楽器を演奏する。」というものなのだが、双子の推測はこうだ。
《その少女は、最低で風と水の属性を持っており、その2種類を巧みに操り、得意な楽器を演奏していた》というものだ。
理屈上はこれで可能なはずだ。
つまり、この再現は双子が協力すればにもできる。
だって、楽器は習っていて基礎なら一通りはできるし、風と水の属性を持っているからだ。
ちなみに、楽器はシリルから教わった。
趣味程度には嗜んでいる。
そんな事を考えているうちに、双子はシリルの両腕を枕にして眠ってしまったようだ。
とっても幸せ。
「あぁ。両腕に僕の天使たちが。なんて最高な夜なんだ」
シリルのシスコンとブラコン発言はさておいてだが。




