↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/57

9話「溺愛」

双子は今三歳。双子は今三歳。

シリルは七歳である。


この二年間で様々な変化があった。


まず、双子のステータスがカンストしていたがその上限がなくなったのだ。


そのせいで、双子はこの二年間での1.5倍近く魔力が跳ね上った。


普通ならこういうことを神様に授かると、「名誉なものだ!」とか言うのであろうが、双子にとってはいい迷惑である。


そして、もうすぐお兄様が立太子の儀式を予定しているらしい。


最近困ったことといえば、王族や三公の意志は「シリルを王太子に」でまとまっていたのに、他貴族から双子を「次期王に!」という声が相次いでいる。


双子は思うことがある。万能ではないのだ。


現に、人を動かす能力や政治的なセンスではシリルのほうが数段上だ。


それに、双子は政治や社交なんていう人付き合いよりも、剣や魔法をしていたほうが楽しいし好きだ。


そして、お兄様の婚約が決まりそうなのである。

つまり、義理の姉ができるのだ。


「アル、エマいる?」


そう言ったのはシリルである。


実は、両親が三人に好きなことをしなさい。

といったために、それぞれに研究室が与えられた。


しかし、アルとエマは共有できる研究室がほしいと言ったために、合計四つの研究室がある。


『お兄様!』


双子は満面の笑みで振り返る。


今いるのは双子専用の共同研究室。


「相変わらずすごいことになってるね。どうやってそこまで行こうか」


実は、二人は今禁書庫で見つけた特別な魔法や珍しいスキルなどの研究をしているのだ。


シリルの研究は血統魔法だ。

双子は表向きは血統魔法を知らないことになっているのでその全貌は詳しく知らない。


そのため、部屋には何千、何万という本に書類の山ができていた。


ドアを開けると、目の前が見えないのだ。

本と紙に阻まれて。


「ちょっと待って!『浮遊魔法』どうぞ!」


眼の前にあった本と紙がエマの魔法により宙に浮いた。


そして道ができる。

シリルはスタスタと双子の元へと近づく。


「今何してるの?アル、エマ」


不思議そうに顔を傾ける。


「今僕は体術に関する基礎魔法の身体強化魔法の研究をしています。今は、どのように魔力を流せば効率が良いのか調べてます」


「私は全属性の基礎魔法の研究をしていますわ。今は、少ない魔力で威力を増大させる研究をしているのですが、実験するときの威力調節が難しいのです」


シリルは目を見開く。

だって、三歳なのにもう一流の研究者なのだから。


「忙しそうだね。僕はね人脈づくりを頑張ってるよ。特別な魔法の研究もしたいけど、立太子の儀やらで、時間がないんだ。帝王学の教育も始まってしまったし。忙しいからこそ、君たちの癒やしが必要なんだ!あぁ、君たちは今日もほっぺたがぷにぷにでかわいいよ」


そう言いながらシリルは弟妹を溺愛している。


『お兄様、研究の邪魔ですっ!!』


そう双子は同時に言った。


それもそうだろう。

なぜなら、双子の間に座ってほっぺたを触っているのだから。


「そんな事言わないでよ!お兄様は悲しいんだから。頼むからもっと子供っぽくしてよぉ⋯」


それは切実な兄としての願いだった。

シリルもそうだが、この三兄弟は全く子供っぽくない。


精神年齢も知識も魔力もすべてにおいて、周囲の同年代は愚か、大人にも勝ててしまうのだから。


もちろん、同年代と話が合わない。


天才とは孤独なものだ。


だからこそ、三兄弟は互いにブラコン・シスコンが余計に悪化してしまったのだ。

ちなみに親バカもである。


「シリル様〜!どこですか?陛下が探しておられますよ〜!」


そう叫ぶ侍女の声が聞こえた。


「げっ。もう呼ばれたのか。ハァ。この幸せな時間がずっと続けばいいのになぁ」


後半はお兄様の本音だった。

双子はアイコンタクトを取り、決心した。


「お兄様、今日私達のお部屋来て一緒に夜寝ない?さみしいの」


そうおねだりするのはエマだ。


「さみしいは言いすぎだ。エマ!」


そうアルが呟いたのはさておき…


「いいのかい?やったあ!急ピッチで片付けてくる」


シリルは部屋を退室しようと扉に向かって歩いていたのを、猛スピードで戻ってきて、満面の笑みでいった。


バタン!!!


扉が閉まる音がした。


「はぁ……やっと帰ったね」


アルは、呆れた感じで呟く。


「そうだね。アル。続きしようか!」

「そうだね」


二人は黙々と作業を続ける。


そこから、4、5時間位経っただろうか。


「アルフレッド様!エメライン様。シリル様が恐ろしいスピードですべてを片付けられ、今はお二人のお部屋におられます。『一緒に晩御飯食べに行こう!研究は程々にしてさ』だそうです」


そう伝えに来たのはセリーヌ・エルザ・ベルモントである。


彼女はこの王宮の侍女長を務めている人だ。

もともとはお祖母様の侍女をしていたらしい。


「わかったよ。エルザ。今自室に行く」


少し顔がひきつっているが、無理やり笑顔を作った。


「だってよ。エマ。もう終わりだ」


「わかったわ。まさか本当に終わらせるとはね…」


それから、自室に移動した。


「待ってたよ!僕のかわいいアル、エマ!君たちを待つ時間が一番退屈だね。なんで早くこないのさっっ!」


シリルは、双子の部屋にあるソファに座っていた。


「さぁ、お母様とお父様が待っているよ。行こう!」


そのまま両手で双子の手を取った。


シリルや双子の顔は幸せに満ちている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。