第9話:再会の神殿
聖女適正テストの日────
国中の16歳の女子が王宮へと集められた。
王宮の中にある神殿で適正テストを受け、適正のある者にはその後国王立ち合いの元、聖女としての洗礼式があるからだ。
王宮からリラのいる施設へも迎えがきた。どうやら施設にいる子供たちは集合馬車での登城となるようだ。
〝ほっ。よかった。一人だとお城に入ったあとどうしていいかわからないもんね。〟
リラは馬車の中を見た。みんな緊張で黙って俯いて、目が泳いでオロオロしている者もいた。そしてみんなの髪を見るとどの子もリラよりも綺麗な金髪だった。
スッとリラは自分の髪をすくって、また指先でくるくるとしだした。
〝そうだよね…。私以外にはこんな髪色していないんだ…。〟
リラは俯いた。この国では金髪か茶髪しかいない。隣国へ行けば黒髪もいるようだ。だが、それでもリラのようなクリーム色はないらしい。
〝私って…異質なのかな…。〟
リラは顔を上げて馬車の窓から外の景色を見た。
どこまでも続く青空に目が留まり
〝おはよう!空さん!雲さん!〟
いつもの癖で心の中で呟いていた。青空がリラの心を晴れさせた瞬間だった。
***
王宮に到着し、待機していた人がリラたちを全員神殿へと連れて行く。
リラは移動中もミレイアが来ていないかと思ってキョロキョロしていた。
神官長は待機室の窓からテストを受けに来る子たちの様子をずっと見ていた。
〝………………ん?なんだ、あの異質な者は。しかも行儀が悪い。あんなに辺りをキョロキョロと見回すとは……………。けしからん。〟
どうやらリラはテストを受ける前から目をつけられたようだ。
神殿の中に入った途端、みんなが感嘆の声をあげた。
「わぁ~~!綺麗っ!」
口々に呟いている。
だがリラだけは違った。
〝どうしたのだろう……………。ここ、なんだかあまりいたくないような気持ちになるのは……………。〟
何故だか不安を覚えていた。そばにいた女の子がリラに声をかけた。
「あなた、大人しいわね。どうしたの?」
「え、あ。えっと……………。ちょっと怖いかなって思って…。」
「怖い?」
その子は首を傾げた。
「う…ん、」
「あはは!怖いだなんて、あまりにも綺麗過ぎて怖いのね!私達がこんな綺麗なものを目にすることがないから!」
「……………そ、そうだね…。」
リラは戸惑った。本当にそうなんだろうか…。
そのまま席へと案内される。まだ皆は興奮が収まらないようだ。どこかざわざわとしている。
そしてそのあとで貴族たちの入場だ。静かに入ってくる。だが、人が入ってくる気配はあったのでみんなが振り向いた。
「……………。」
一斉に静かになった。
きっと〝貴族〟ってことで固まったのだろう。
〝あ、ミレイアだ!〟
リラは心の中で喜んだ。ミレイアは元気そうだ。顔色もいいし、体格も施設にいた頃よりも少しだけふっくらとしていた。リラは安心した。
〝ミレイア、こっち向いてくれないかな…。〟
心の中で願った。
ふっとミレイアが視線をよこした。
「────あ!」
思わず叫びそうになったのを慌てて自分の手で口を塞ぐリラ。
「……………。」
だがミレイアはニコリともせずにジッツとリラを少しだけ見つめるだけだった。
〝ミレイア…。そっか。ミレイアにも立場があるもんね。〟
リラはちょっとだけシュンとなった。
〝でも、顔を見れただけで充分だわ!〟
すぐに元気になる。
貴族たちも席に着いた。
その後、国王と神官長が入場し、聖女適正テストが間もなく開かれようとしていた。
「これより、国王の名において〝聖女適正テスト〟を行う。みな、心を静かにして挑むように。」
陛下の有難い言葉にみんなは緊張しながら「はい。」と答えた。
テストはまず貴族から行う。
〝やっぱり貴族だとみんな適正があるのね…。みんなグレイかブルーに光っているわ…。〟
リラはテストの行方を見守っていた。ミレイアの番だ。
テストに使われる診断の玉の上に手を乗せるミレイア。
すると玉はシルバーに光った!
「おぉ────────っ!」
「これは凄い!このテストの段階でシルバーに光る人物は大聖女様以来だ!」
神官長と国王は興奮した。
〝凄い凄いっ!昔っから聖女候補間違いないって言われてただけあるわ!凄いわ!ミレイア!〟
リラは心の中で大喜びをしていた。
半面、自分は全然成長しないのがちょっとショックだった。
〝ミレイアはどんどん聖女として成長していくのに、私ってば全然だし…。〟
そして今度は平民の子たちがテストを受ける番だ。
順番に受けていくが、貴族の子のようにハッキリとした色の変化は難しいようだ。だが、少しでも変化すれば聖女候補として認められる。この国では今まで金髪の子で聖女として認められなかった例は一度もなかった。
次はリラの番だ。
リラは指先で髪をくるくるしだした…。
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