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省エネ聖女のわたしが隣国の王太子に溺愛されるだなんて信じられません!  作者: 慧依琉:えいる


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第5話:さようなら、ミレイア。




間もなくして、別の人物が支度の準備にと送られてきた。



「……………。」



ミレイアもルーラも不満が残るものの、施設長からの無言の圧力の前に黙って支度するしかなかったのだ。




「はい、これで全部よ。みんな、手伝ってくれてありがとう。」



ミレイアは荷物を確認してから言った。部屋の中にそんなに物があったわけじゃなかったが、リラは部屋を見回して、何だか広くなったような気がした。





荷物を数人で分けて玄関へと持って降りる。

既に先方からの使者が待機していて、荷物を受け取ると馬車へと積み込んでいく。


リラたちも手伝った。



ケース3つだけの少ない荷物だった。




馬車に積まれていくのを見ていてリラは喉に何かがつっかえるような気がした。





〝────なんだろう…。さっきから、この、喉のあたりが苦しいな…。〟




そのあとすぐにそれがなにかを理解することになる。





応接室から施設長と貴族が出てきた。施設長は満面の笑みだった。




「さあ、それではミレイアさん。今日でみなさんとお別れですね。寂しくなりますが、どうかお元気で。」



「はい、施設長。今までありがとうございました。そして、みなさん、ありがとうございました。お元気で。」


そう言ってミレイアは一瞬、リラを見た。




ミレイアと目が合った瞬間、リラは喉の奥の苦しみが増して、目元がジワリと熱くなった。







〝あぁ…、これが寂しい…ってことだわ。ミレイア…。〟



リラは胸の前で手をギュっと握った。



ミレイアはニコッツとほほ笑んで、みんなにお辞儀をしてから玄関の方へと向いて歩きだした。背筋をピンと伸ばして────




〝ミレイア。最後までミレイアらしいわ……………。幸せになって。〟



リラは目の前が涙で滲んでちゃんと見えていなかった。



〝泣かないよ…。ちゃんと笑ってミレイアを送り出すんだ…。〟



リラはそう小さな胸に誓った。




馬車に乗り込み、ミレイアはチラッツと一瞬だけ施設の方を見たが、あとは前を向いていた。




〝きっとミレイアのことだから泣きそうになってて、それを見せないようにしてるんだわ。〟


リラはそう思った。長い付き合いだ。ちょっぴり意地っ張りなところのあるミレイア。だけどいつだって自分に対しては向き合ってくれていた大切な親友だ。




馬車がゆっくりと走り出した。



リラは施設を出て馬車が見えなくなるまで見送った。





〝ありがとう、ミレイア。あなたと過ごした日々を、私は絶対に忘れないよ!また、いつか会えるよね…。〟




ずっとずっとその場にいたリラ。




いつまで経っても戻ってこないリラのことを呼びに来たルーラ。




「ったく!どうしてリラってこうもどんくさいの?ほら、早く戻るわよ!しなくちゃいけないこと、沢山あるんだから!さあ、早く!」


「あ、まって。ルーラ!まだミレイアを見送りたいのっ。」



「何言ってるの?もう馬車の姿も見えていないじゃないの!ほら、早くしないと施設長に怒られちゃうわよ?!」



「……………。そうだね、ごめん。」


リラは諦めてルーラについて中に戻ることにした。




ダイニングの準備をするために行くと施設長がドアの前で立っていた。




「……………!施設長!?」



リラは驚いて声に出していた。




施設長はリラの顔を見て、大きく息を吐いた。




「リラ。ミレイアがいなくなって寂しくなったのはわかります。ですが、あなたにはすべきことがあるのでしょう?仲間の手を煩わせてはいけませんよ?あなたはもうここでは“お姉さん”グループなのですから。もっとしっかりなさい!」



「はっ、はい!ごめんなさい、施設長!」



施設長はリラをギロリと睨み、



「ごめんなさいではなく、すみません、ですよ。」


「は、はい。すみません。」




「はぁー、仕方ないわね。ルーラ。暫く面倒を見てあげて。」



「は?私がですか?」


「他の子たちはまだ10歳になるかどうかなのよ、同じ歳頃なのはあなただけでしょ?」


「……………。わかりました。」



「じゃあ、ここはいいから向こうへいきなさい、二人とも。」


「はい。施設長。」


そう言ってルーラとリラは施設長に頭を下げて部屋を出た。




廊下に出た途端、ルーラは不満をリラにぶつけた。



「もう、やっぱりあんたと一緒にいるとろくなことがないわ!」



ルーラはこっちを睨んでいる…。リラは小さな声で


「ごめんなさい…。」


と言った。



ルーラは小さく息を吐いて、


「私も早く引き取り手が現れないかしら…。」



そう言ってトコトコと早歩きで炊事場へと向かった。リラも遅れないように着いて行く。





炊事場ではみんなの昼ごはんの用意がされていた。これをワゴンに載せてダイニングまで運ぶのだ。


「すみません、配膳しますね。」


「おう、頼む。」



料理長が返事をした。リラもぺこっと挨拶をする。


料理長は無言でリラを見て何もなかったかのように作用に戻った。




これがリラの日常だった。




彼女はその髪色のせいでいつも「異質」に見られていたのだ。





挿絵(By みてみん)


ご覧下さりありがとうございます。

次週金曜日18:50更新します。

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  火曜日

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