第2話:この気持ちの正体
リラはトボトボと施設へと戻った。
ミレイアの事が心配で施設の中を探して回るが、先に戻っているはずのミレイアの姿は見当たらない。
〝ミレイア……………。どこいったんだろう……………。〟
彼女の姿を探すリラ。
小さい子たちが食堂で賑やかに過ごしていた。
〝……………。ミレイアはどこに…。〟
「ねえ、これお部屋に持っていこう!」
「うん、行こう!」
小さい子たちが何かを持って部屋に行くと言って楽しそうにバタバタしている。
〝もしかしたらミレイアも部屋にいるのかも…。〟
リラはミレイアを探しに部屋へと向かう。
ミレイアの部屋の前に来たリラは、
部屋をノックする手が〝ピタリ〟と止まる。
〝ミレイア…まだ、怒ってるかな…。〟
リラはまだミレイアが怒った理由がわからないでいた。
〝ミレイア、私に向かって(寂しくないの?)って言ってた…。と、言うことはミレイアは寂しいってことなのかな…。〟
ノックをする為に上げた手を〝キュッ〟と握りしめてリラは考えていた。
「……………。」
ミレイアの名前を呼ぼうとして声も思わず呑み込んでしまった。
〝こんな…、ミレイアの気持ちをわからないまま謝ったって意味がないわ…。〟
リラはそう思ったから声を掛けるのをやめた。
上げた手、握りしめた手だけが虚しく影を落とす…。
リラは俯いて、その手をとうとう下げてしまった。
「……………。」
ミレイアは部屋の中にいて息を潜めていた。
廊下から聞こえる気配。
きっとリラだ。
そう思った。
けれど扉は叩かれない。
やがて気配は遠ざかっていった。
〝───────っ!〟
ミレイアはシーツを強く握り締める。
ぽたり。
膝の上に雫が落ちた。
〝………なんで、なんでわからないのかな…。リラ…。〟
────────その日、ミレイアは部屋から出てこなかった。
その日の夕方から、リラはずっと考えていた。
ミレイアとの出会い、ツンケンしていたミレイアがいつ、自分に心を開いたのだろうか…。どうしてミレイアは自分にだけよく怒るのに変わらずに接しているのだろうか…。
リラには人の感情を読み取ることがどうやら苦手なようだ。
〝物心ついたときからここにいた私はずっとひとりぼっちだった。〟
この施設には入ってくる子も多いが出て行く子も多かった。
皆綺麗な金髪だからだ。
リラは自分の髪を摘んで指でクルクル回していた。
〝私の髪がこんなだから、誰も必要としてくれないのかな…。〟
リラはクルクルしていた指を止めた。
〝それでも…ミレイアは今までいくらでもチャンスはあったのに………。〟
リラは思い出していた。
「ねぇ、ミレイア。さっきのお話断ったの?」
「ええ!」
「どうして?」
「どうしてって…、もう、リラは分かんないかなぁ?」
「………?」
「ずーっとリラと一緒に居たいからよ。」
そう言ってとびっきりの笑顔を見せたミレイア。
リラは思い出した。
〝そっか…。そうだった。ミレイアはいつだってそう言ってくれていた。〟
リラの頬を一筋の涙が伝う。
リラはこの時初めてミレイアの気持ちを理解した。
その日の夜、リラは中々眠りにつけなかった。
それはミレイアも同じだった─────
翌日、陽は昇って本来であればミレイアもリラも掃除に洗濯にと、大忙しなのだが、この日は貴族が二人に面会に来る日なので仕事は免れていた。
その分、いつもよりも小綺麗にしておかないといけない。
だから貴族との面会時間までリラもミレイアも自分の部屋で待機となった。
〝このままミレイアとお別れになっちゃうのかな…。〟
リラは俯いたまま椅子に座っていた。
キュッツとエプロンの端っこを握り締め、リラは椅子から飛び降りて自分の部屋の扉を開けた。
〝いいですね?呼ばれるまで絶対に部屋から出ないように。廊下を走るだなんてとんでもありません。〟
施設長が昨日言っていた言葉を思い出す。だが、そんなことは今必要ではなかった。リラはパタパタと足音をたててひたすらミレイアの部屋へと走って行く。
ミレイアの部屋の前に着くと、ノックもせずにいきなり扉を開けた。
バ─────ン!
「ミレイアっつ!」
部屋の中にはミレイアが大人しく、背筋を伸ばして座っていた。
「─────ミレイア、綺麗…。」
リラは思わず口に出していた。
振り返ったミレイアは
「リラ?」
驚いた面持ちでリラを見た。
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